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●繊維筋痛症に対するリフレクソロジー●

線維筋痛症とは?

関節や筋肉に疼痛、強張り感、圧痛などを引き起こす慢性疾患。睡眠障害、不安、うつ症状を特徴とする。

線維筋痛症の原因は今のところ未解明だ。罹患者は消耗性の痛みを感じるが、痛みを感じる部位の組織には炎症は見られない。このことから、リウマチのように組織の損壊や骨の変形によって生じる疼痛でないことが分かる。

線維筋痛症を患う人の10人に9人は女性である。30代から60代に発症するケースが多いが、子どもや高齢者にも稀にみられる。英国では年間約14,700人が新たにこの病気に罹っている。

 

線維筋痛症の症状

線維筋痛症に共通して見られる症状は痛みだ。患者の痛みの限界点は異常に低く、通常であれば気づかないくらいの微細な感覚的刺激さえも、線維筋痛症の患者にとっては全身の力がなくなるような痛みに感じられる。痛みは全身に感じる。“特異的圧痛点”と呼ばれる 敏感なポイントがあり、そこを触ると全身や広範囲が痛み、筋痙攣を起こすこともある。圧痛点の場所は以下の図に示した箇所である。

線維筋痛症患者の90%が倦怠感を併発する。これは睡眠の質が低下していることに大きく関与している。睡眠中にも感じる痛みと不快症状から、患者はレム睡眠の段階に入れず、結果、目覚めても疲れが残ったままになる。線維筋痛症は、筋肉の痛み、痙攣と全身の不快感を引き起こすため、患者は本当の意味で身体をリラックスさせたり、くつろぐことができない。

この症状に相関した様々な精神的問題がある。うつ症、集中力欠如、気分のムラ、健忘症に不安感などが挙げられる。線維筋痛症と診断できる検査がないため、患者はうつ症と誤診されることが多い。

上述がこの病の主な症状だと考えられているが、頭痛、偏頭痛、過敏性腸症候群、重い生理痛、レストレスレッグス症候群(※)、嗅覚過敏、その他多くの随伴症状がある。

(※訳注 むずむず脚症候群:脚にむずむずとした不快感が生じる病気で、日中よりも夕方や夜間の安静にしている時に増幅する)

 

診断方法

血液、レントゲンなどの検査では線維筋痛症は診断できず、診察と病歴を診断基準としている。身体の広範囲にわたる痛みを訴える患者には圧痛点が診断材料として使われる。全身18箇所の圧痛点のうち少なくとも11ヶ所に痛みがあり、それぞれの組織に腫れや炎症が診とめられなかった場合、線維筋痛症の可能性がある。類似症状を示す各種疾患の可能性を取り除くための検査を行い、線維筋痛症だと断定していく。中でも慢性疲労症候群、甲状腺機能低下症、副甲状腺疾患や骨疾患の疑いを調べられることが多い。

 

治療法

線維筋痛症の特効薬はなく、治療は痛みの軽減と患者のQOL(Quality Of Life=生活の質)向上を目的として行われる。

この疾患の研究から、エクササイズが線維筋痛症の症状を大きく改善することが明らかになった。筋肉に負荷をかけるエクササイズではなく、身体に負担が少ない有酸素運動はエネルギーレベルを向上させ、睡眠パターンを改善する。線維筋痛症を患っているクライアントにエクササイズを勧める場合は、個人の症状改善に効果的なエクササイズプランを提案できる理学療法士や専門家の指導を受けるよう言及しよう。

症状の緩和のために処方されるだろう薬が何種類かある。

  • 低用量の抗うつ剤 → 痛みの軽減、睡眠をもたらす
  • 痛み止め、抗炎症剤 → 慢性痛の緩和
  • 麻薬性鎮痛剤 → 上記の痛み止めより強く、激痛を訴える場合に処方
  • 副腎皮質ステロイドを混ぜた局所麻酔 → 一時的な症状緩和をもたらす
  • 弱い精神安定剤 → 不安感の軽減に処方

健康的な生活を送り、バランスの取れた食生活を心がけることもアドバイスされる。睡眠を助けたり、倦怠感の影響を軽減したりする目的で行われる各種療法や、リラックスまたはストレス対策のためにできるものはいずれもプラスになる。

線維筋痛症が完治することはほとんどない。症状が治まり健康に過ごせる期間が続くこともあるが、再発しやすい。

AoRガイドライン

診断が極めて難しいことで知られる線維筋痛症。
この疾患と診断されるまでに、幾度となく検査を繰り返し、他の疾患の可能性を排除していかなければならず、患者にとってこの過程は非常にもどかしく感じられるものだ。

クライアントに線維筋痛症の患者がいる場合、栄養指導を受け、整骨医またはカイロプラクター(脊椎指圧療法師)/マッサージセラピストの下で、線維筋痛症に伴う筋肉症状の治療を受けるようアドバイスするのが賢明だ。サポートグループに参加して、症状の管理を行っていくようにクライアントに薦めよう。自分の病のプロセスを理解すればするほど、患者自身のためになる。

リフレクソロジートリートメントにおいて、施術者はホルモン(特に副腎)のバランスを取り、消化管の調子を整え、血行を促進することに細心の注意を払いたい。施術中にできる他のリラクゼーションテクニックがあれば、できるだけ多く取り入れよう。緊張をほぐすために、クライアントが心身ともにリラックスできる環境を万全に用意することが重要である。太陽神経叢の反射区を押さえるときには、クライアントにあなたと合わせて深呼吸してもらうよう誘導する。

定期的にリフレクソロジーを受けることで、患者に自分の病気をある程度コントロールできると自信を持たせることができる。クライアントの痛みの限界を超えないように慎重にトリートメントしていかなくてはならない。痛みのレベルと症状のパターンは日によって様々だ。直観力のあるリフレクソロジストならば、クライアントと密接な関係で施術を行っていくことで、心と身体を更にサポートできるようになるだろう。

 

Baryl Craneの症例

線維筋痛症

線維筋痛症のクライアントを何人か施術したことがある。医師の診断を受けた人もいたが、ほとんどは激しい筋疲労と全身倦怠を伴って現れる。この疾患は、ウイルス感染後に関係があり、さらにショックや大きなストレスが同様の症状を引き起こすということを私は発見した。ほとんどの人は医師の診察を受け様々な薬を投与されているが、症候が長引くため補完療法を試したくなるようだ。

 

線維筋痛症という言葉は、あらゆる筋骨格系疼痛または筋肉の過剰な硬直に用いられる。英語ではFibromyalgiaといい、医学用語でFibroとは線維性組織、Myalgiaは筋肉痛を指す。 筋肉に痛みまたは不快感が突発したら、それがどんな場合でも医師の診察を受けるべきだ。ウイルス感染の後に突発したら特に注意しなければならない。説明のつかない慢性の痛みが関節にあり、それが他の疾患との関連がない場合はリフレクソロジーを施してもよい。

目的はリラックスした状態を取り戻すことにある。そうすることによって心身のストレスが少なくなっていく。ストレスが全身機能にホメオスタシス(恒常性)のアンバランスを引き起こしてしまうのだ。ウイルスまたはバクテリア性の感染症全タイプに対して、体内の天然由来ビタミンCのレベルを上げることは有効だ。ビタミンCは柑橘類、ほとんどのベリー類、緑色葉野菜全般、トマト、カリフラワーと芋類に豊富だ。合成のビタミンCはさらなる毒性反応を示すこともあり、ほとんどの場合は数時間以内に尿に放出され失われる。

施術箇所

問題が起きている主な部位

でん部、肩、脚はたは腰の反射区。副腎の反射区をトリートメントすることで、過度の副作用も起こさず、ほぼ全身の痛みや炎症をすばやく緩和する、副腎皮質ステロイドの自然分泌を促す。リフレクソロジーによって全ての筋肉とじん帯が緩んでくるため、可動域が広がり、ほとんどの場合痛みが少なくなる。

補助部位

肝臓と腎臓の反射区。過剰に蓄積された毒素がないように働く。どんな慢性的な炎症過程でも、ほとんどの場合は毒素が体内に放出され、きちんと排出されないとさらなる組織損壊を引き起こす可能性もある。

手のつぼ

第二中手骨にある合谷。
基節骨から中手骨の基部へと下がり、身体とコンタクトをとるつぼ。このつぼは様々な痛みに対して使われる。(注:急所なので妊娠中には使用しない)

  • 外関
    上肢の主治によいつぼ。手首のしわから指2,3本、背側面の橈骨と尺骨の間に取る。
  • 霊道
    上肢の疾患によいつぼ。掌側面の手首のしわから指2本分に取る。
  • 養老
    下肢関節のあらゆる痛み、腰の問題によいつぼ。手首の裏側、尺骨の骨突起の内側に取る。
下肢のつぼ
  • 曲泉
    膝を屈伸したときにできる横じわに取る。四肢のいずれも助けるつぼで、胆嚢、肺、胃と脳に連絡しているため、これら代謝過程の調整に関わる臓器に対して広範囲に影響している。
  • 懸鐘、陽陵泉
    外果から上に指4本分に取る。上下肢の麻痺、硬直して痛む首と坐骨神経痛、全ての神経痛によい。

耳ハリの治療点:耳尖、対珠の尖端
あらゆる炎症に、鎮痛効果。この点を毎日指圧する。

通常医学のつぼ:大脳皮質下部への反射箇所(訳注:耳尖、対珠の尖端から後ろへ進んだへりの部分)
線維筋痛症の患者は自律神経系に機能不全があるため、このつぼは鎮痛剤と同じくらい強く作用する。

中医学

三角窩にある神門という治療点が、痛み止めによい。

リフレクソロジーと併せてこれらの経穴を刺激すると、身体の自然な免疫力を高めてくれる。

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