NATURAL THERAPIES OVERSEAS

●英国のアロマセラピー協会IFPAとは?●
2013年(冨野玲子)

「マニアックなセラピーが盛りだくさん!」

と、いつもお褒め(?)の言葉を頂くIMSIですが、元々は1994年に神戸で産声をあげた小さな“アロマセラピースクール”。メニューは、最初はアロマセラピーだけだったのです。

開校5年にして、日本で初めて英国ISPA(現IFPA)の認定校となり、今年、なんと“65回目!”となる英国IFPA認定アロマセラピーディプロマコースが開講しました。“IMSI初の国際ディプロマコース”、そして、“IMSI史上最もロングランのコース”です。これまで、300名以上の英国IFPA認定プロフェッショナル・アロマセラピストが、IMSIから巣立ちました。たくさんの方にサポート頂いたお陰様で、こんなに長くコース開講を続けることができ、本当に感慨深いです。ありがとうございます!

アロマセラピーの業界ではとても有名なIFPAですが、「IFPAって何?」「他の協会とどう違うの??」という方もまだまだいらっしゃるかと思います。そこで、こちらの誌面をお借りして、IFPAという協会についてご紹介させて頂きます。

 

IFPAとは?

The International Federation of Professional Aromatherapists(IFPA)は、イギリスに本部を置く国際的なプロフェッショナル・アロマセラスト連盟です。

昨年10周年を迎えたこの組織のルーツは、1999年に、それまで3つに分れていた国際的なアロマセラピー協会、the International Society of Professional Aromatherapists (ISPA)、the International Federation of Aromatherapists (IFA)、the Register of Qualified Aromatherapists (RQA)が、合併して新しい協会を設立する為の協議を始めた事に遡ります。

英国唯一の国際的なプロフェッショナル・アロマセラピスト協会を目指し、規律や教育システムの構築等、様々な協議が進められていきました。新協会の名前は、3つの名前が融合されたIFPAに決定しましたが、結果的には2002年4月1日にISPAとRQAのみが合併してIFPAに生まれ変わり、現在に至っています。RQA会長だったガブリエル・モージェイ先生は、この合併のために尽力され、初代IFPAの共同代表を務められました。現在は、Penny Price先生がIFPA会長を務めています。

<IFPAが認定校を置く国名と認定校の数(2012年12月現在)>
バルバドス(1校)、カナダ(1校)、中国(4校)、イングランド(15校)、日本(7校)、マルタ(1校)、ニュージーランド(1校)、北アイルランド(2校)、アイルランド共和国(2校)、スコットランド(2校)、スペイン(1校)、台湾(3校)、アラブ首長国連邦(1校)、ウェールズ(2校) 合計43校

 

IFPAの目的と教育内容

現IFPA会長のペニープライス氏

IFPAは、その協会名に「プロフェッショナル」と付くように、誰でも簡単に入れる訳ではなく、あくまでも「プロ」のための協会です。その主な目的は、「補完療法としてのアロマセラピーを普及させる事」「高い教育水準を維持し、アロマセラピーの専門家育成に努める事」「アロマセラピーの臨床に関する科学的リサーチを進める事」の3つです。特に教育には力を入れており、各認定校は、100ページに及ぶ、ぶ分厚いスクールマニュアルを元に、認定コースの構成を行っています。

<IFPAスクールマニュアルに定められた科目とミニマム時間数>
■解剖生理学・病理学 65時間
■アロマセラピー実技 80時間
■アロマセラピー理論 70時間
■その他(プロフェッショナリズム、ビジネススタディ等)35時間
合計250時間以上

認定コースには、上記に加えて、60ケーススタディと試験が含まれ、450時間相当ものホームスタディが推奨されています。試験内容は、外部のエグザミナー(試験官)によって厳しくチェックされ、高い水準が保たれています。

 

このIFPAの教育プログラムは職業訓練として国が設定しているNational Vocational Qualifications(NVQ)のレベル4~5の水準にあるとされており、これは大学1、2年のレベルに相当します。イギリスでは、実際に4つの大学でIFPA認定アロマセラピーコースが設けられているのです。まさに、最高水準のホリスティック・アロマセラピーですね。

「プロ」のための協会ですから、禁忌なども一般の方が参加する協会とは考え方が違うのも特徴です。もちろん、妊産婦や疾患をお持ちのクライアントに対しても、IFPAでは「禁忌」ではありません。「精油の薬理作用をしっかりと学び、補完療法としてどのように精油を使っていくか……?」という所が、IFPA認定コースで学ぶ最大の醍醐味だと思います。

IMSIにおけるIFPAコースの特徴

スクールマニュアルで大枠は定められているものの、認定校が個性を出すことも許されているのが、IFPAの良いところです。

IMSIでは、私(冨野)と嵯峨慈子先生、中村あづさAnnells先生の3名がイギリスでIFPAを取得しましたが、「イギリス式のクリニカルな情報はふんだんに取り入れつつも、やはり日本的な、きめ細やかなサービスも取り入れたい」という想いがIMSIのコースには込められています。

例えば、実は、ここだけの話ですが(笑)、イギリスのIFPAコースでは、殆どフェイシャルを習わなかったのです(ボディの施術のついでに、手も洗わず、メイクもそのままで、ちょこちょこっと顔を撫でるだけ……)。ところが、日本ではクレンジングを含め、きちんとしたフェイシャルトリートメントが出来ないと、就職や開業が難しいのが現状です。IMSIでは、フェイシャルはもちろんの事、冷えやむくみに有効なリンパドレナージュや、眼精疲労や肩こりに効果的なヘッドスパなど、日本人特有の症状に合ったテクニックを適宜使えるように実技トレーニングを行うことで、どこのサロンやスパでも即戦力となる人材育成を行っています。

また、61期からは、東洋医学も必修にさせて頂きました。これも、IFPAのマニュアルにはありませんが、「日本でセラピストとして活動するなら、もちろん、世界で活躍するにしても、是非、東洋の智恵・陰陽五行の考えをセラピーに取り入れてほしい!」というIMSI講師陣の願いが込められているのです。

会員にとってのIFPA

認定校を卒業すると、IFPA本部に会員申請をして、晴れて「IFPA認定アロマセラピスト」となります。会員になると、協会の名簿の他、政府認定の補完・自然療法委員会である「Complementary & Natural Healthcare Council (CNHC)」に登録する事ができます。  会員には、最新の精油研究や臨床報告等、貴重な情報が満載のジャーナル“In Essence”が送られます。また、会員になると、毎年イギリスで開催されるIFPAカンファレンスに優待価格で参加する事ができます。会員の多くが補完療法の分野で活躍しているIFPAでは、カンファレンスの内容も大変アカデミックであると評判で、毎年海外から遥々参加する会員も多くいます。

 

日本の現状と今後の展望

現在、日本には7校の認定校があります。認定校ミーティング、合同講師研修等、交流を図りながら、日本での補完療法としてのアロマセラピー普及の為に活動しています。

他校のIFPAの先生方は、気さくで本当に素敵な方ばかり! お互い、10年以上にわたってイギリス式アロマセラピーの普及に尽力してきた同志ですから、久し振りに会うと楽しいお喋りが止まりません!

<日本におけるIFPA認定校(2013年6月現在)> (認定年月順)
■IMSI ザ インターナショナル メディカルスパ インスティテュート
■MH スクール・オブ・ホリスティック・スタディーズ
■ジャパン エコール デ アロマテラピー
■ギルフォード カレッジ オブ アロマセラピー
■フレグラントスタディーズ・ジャパン
■ペニープライスアカデミーオブアロマセラピー日本校
■ニールズヤード スクール オブ ナチュラルメディスンズ

2012年11月に大阪で行われた第2回IFPAジャパンカンファレンスでは、述べ362名が来場しました。帯津良一氏、前田久仁子氏、IFPA教育担当理事のViv Hinks氏等の講演や各種分科会が行われ、熱気に満ち溢れた2日間となりました。

物販や展示ブースも華やかでした

ここで、IFPA会長のPenny Price氏が、ビデオ講演の中で次の様に語りました。「私の夢は、IFPAが真の国際的な組織である為に、各国に支部が開設され、その国の言語で会員にサポートを行う事です。」

過去10年間、IFPAは、イギリスを中心に補完療法としてのアロマセラピーを確立するために邁進してきました。これからの10年は、日本を含め海外のサポート体制を充実させる事を目標に活動を広げていく予定です。

日本の7校の認定校も、日本支部創設を目指して話し合いを開始しました。日本のアロマセラピスト達が、仲間を増やし、活動の場を広げていく、そして、それが刺激となって更なるレベルアップに繋がっていく……、そんな仕組みを作って日本のアロマセラピーの発展に少しでも貢献する事ができたら……。そんな願いを込めて、前向きな一歩を踏み出したところです。

IMSIでは、この秋、66期が開講します。これから、どんなIFPA認定セラピストがIMSIから巣立っていくのか……? そして、日本のアロマセラピー業界を、全国に広がる卒業生さん達と一緒にどうやって創っていこうか……? 私たち講師一同も、楽しみにしています!

IFPA教育担当理事Viv Hinks氏とIFPA日本校講師達

SPECIAL THANKS:ジャパン エコール デ アロマテラピー様、ペニープライスアカデミーオブアロマセラピー日本校様

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