NATURAL THERAPIES OVERSEAS

●エーゲ海&アドリア海、カリブ海 クルーズSPA事情●
2015年(宮武 直子)

世界をめぐるクルーズ船

国際色豊かなIMSI受講生の中には、旅好きな方も多いのではないでしょうか。実は私もそんな一人です。

現在、日本いきいきライフ協力機構(JILCA)というボランティア団体の代表を務め、IMSIでもボランティアセラピスト養成コース等を担当する私ですが、普段は横浜で天然100%にこだわる旅気分のアロマエステサロン・【Aroma Dolphin】を運営したり、女性ホルモンに着目した天然100%スキンケアブランド・【jolve】の開発などをしています。

【アロマ・ドルフィン】http://www.aroma-d.com/
【ジョルブ】http://www.jolve.jp/

サロンのコンセプトは、天然成分100%の素材とオリジナルの手法で、クライアント様をお好みの情景にお連れすること。私自身、サロンメニューに「ボラボラ」「バハマ」など、自分が訪れた島の名前を付けてしまう程、旅が大好きなのです!

そんな私が今もっともハマっているのが、クルーズ旅!
一度体験すれば誰もがハマると言われるクルーズ旅行の中でも、今回はクルーズSPA事情をご紹介したいと思います。「しばらく海外には行けそうにないわ……」という方も、写真をお楽しみいただければ幸いです。

そうだ、クルーズ旅行に行こう!初めてのクルーズは、カリブ海でした。私はカリブ海が大好きです。カラッとした気候、ラテン的な解放感、ほどよく残る欧米文化……。将来、カリブに移住したいほどカリブが大好きです。

しかし、そのカリブ海クルーズを選んだのには、理由がありました。それは、「タークス&カイコス諸島に立ち寄るから」。

 

ウェルネスの聖地、タークス&カイコス諸島

タークス&カイコス諸島(T&C諸島)。

おそらく、ほとんどの方は耳にしたことがない島だと思いますが、実は今、「ウェルネスの聖地」「ヨガの信奉者やスパ業界で憧れの地」と称されている地です。私も5年ほど前に雑誌で素敵な写真を見つけ、「ぜひ一度訪れてみたい」と思っていました。

 しかし、そんなマイナーな場所に行こうとすると、非常に高額になってしまうんですね。「いつか、行けたらいいなー!」と夢見ていたところ、なんと、T&Cに立ち寄るクルーズ船があることを発見。「これは行かねば……!」

 

実はお得な、クルーズ旅行

ここでの食事も無料

「クルーズ旅行も高いでしょ?」と思ったあなた。 大間違いです。

日本ではクルーズ旅行は「セレブ旅」として高額設定されていますが、外国ではそんなことはありません。実際、「バス並み??」と思うほどたくさんの巨大客船が航行していて、お値段もびっくりするほど安いです。上手にとれば、7泊8日・4万円ぐらいで旅行できます。

これ、島々を移動する交通費(船代)はもちろん、船での宿泊代も、船での食事代も含まれたお値段です。

 

プールも、ジャグジーも、ショーも、すべて無料

それどころか船の施設は使い放題なので、ジャグジーも、プールも、映画も、生バンド付のショーも、すべて含まれてこのお値段です。
(※日本から港までの航空券は含まれていません)

 

手前にはデスクと大きなクローゼットがあるお部屋

お部屋はさすがに一番下のランクにはなりますが、それでも室内にはふわふわのベッドがあり、お掃除も毎日2回来てくれて、日本のビジネスホテルよりよっぽど快適です。

日本は地形的な問題もあり、クルーズ旅はどうしても「セレブ」「ラグジュアリー」になりがちです。実際、日本の港に立ち寄る船は「ラグジュアリー船」と呼ばれる少しランクが高い船が多いのですが、カリブ諸島やエーゲ海のような島が点在する地域では「レギュラー船」「カジュアル船」と呼ばれる大型船があり、もっとお手軽です。

それでも、この程度のレベルは保たれるので、低コストでゴージャス感が味わえるクルーズ旅は、本当にお勧めです。

 

ウェルネスの聖地・タークス&カイコス諸島

真っ白の砂浜が続く美しい海岸

さて憧れの、ウェルネスの聖地・T&C諸島。
行ってみてどうだったか?というと……

結論から言うと、ワタクシ、大きなミスを犯してしまいました。
「T&Cに行けるー!」と浮かれて、毎晩写真を眺めてウキウキしていたのですが……

 T&C諸島は約40の小さな島から形成されています。その中で、雑誌で紹介されていたのは「パロット・キー」というラグジュアリー・リゾート・アイランド。

今回、私達の船が訪れたのは、「グラン・ターク」という、T&C諸島のメイン・アイランド。メイン・アイランドといっても人がほとんど住んでいないとても小さな島なのですが、とりあえず「パロット・キー」ではありません。日本の沖縄を知った外国人が「日本に行きたいー!」と東京にやってきて、「あれ?青い海がないね?」というようなものでしょうか。私としたことが、浮かれ過ぎてとんだケアレスミスを犯してしまいました……

グラン・タークも白い砂浜と青い海が美しいとても素敵な場所だったので海好きな私はそれだけでも大満足だったのですが、ちょうど「BEACH MASSAGE」の看板を見つけたので、せっかくなのでチャレンジしてみることにしました。

 海外のマッサージ、というと、みなさん、どのような印象をお持ちでしょうか? 私達日本には世界に誇る「おもてなし」文化があり、特にセラピストのような「心で施術する」仕事をしていると、「絶対に、日本のサービスの方が素敵なはず」という気持ちが心のどこかにあります。

たしかに昔はそうでした。しかしここ十年ほどでその傾向はずいぶん変わってきているのを痛感します。ここ、グラン・タークでもそうでした。

 

波音を聞きながらビーチでマッサージ

施術してくれたのは、大柄な黒人のお姉さん。決して愛想がいいとはいえないし、ささっと行うビーチ・マッサージなので、もちろん丁寧なカウンセリングもありません。

ただ、それでも施術はとても丁寧で上手でした。オイルをたっぷり使い、大きな手で全身をくまなくほぐしてくれます。しかも、カリブの太陽で灼けた素肌をいたわるように……

白い砂浜にたてられたカバナの中で、爽やかな海風に吹かれ、波音をBGMに施術を受けるだけで極楽なのに、施術もとっても丁寧で心地よい。これ以上のサービスがどこにあるでしょう。こういう素敵なサービスに出会うたびに、「日本のビーチには、なぜこういうサロンがないんだろう?」と不思議に思わずにいられません。いつか、私もこんなビーチで施術をしてみたいなーといつも思います。

 

クルーズ船のSPAに行ってみた

クルーズ旅のもう1つのお楽しみは、船での生活です。7泊8日の航海の場合、1~2日は「SEA DAY(※船によって呼び方が異なる)」があります。一日中航海していて、陸に降りない日です。

「一日ずっと船の中なんて、退屈なんじゃないかなー?」と思っていましたが、とんでもありません。船が大きすぎて、1週間乗っていても遊び足りません。ちなみに本当のセレブの方々は島についても船から降りず、私達庶民が島でキャーキャー遊んでいる間に、ゆっくりのんびり船のサービスを満喫されるようです。

さて、船のSPA。SPAの予約は出発前に日本ですることもできますし、船に乗ってすぐにSPAで予約することもできます。「混む」と聞いていたので乗船するなり大慌てで予約に行ったのですが、クルーズの後半になると空き時間を利用した「ディスカウント」が出るので、そちらで予約した方がお得かもしれません。

ただ、船によっては、「SPAを使う人は、航海中ずっと、サウナやリラクゼーションルームが無料」というサービスがあります。これらは本来1回数千円かかるものなので、私達のようなSPA好きは最初に予約をいれてしまうのも1つの楽しみ方です。

クレイパックし浸透中

カリブ海クルーズのSPAで施術してくれたのは、フィリピン人のお姉さん。国に子供や家族を残して出稼ぎに来ているのだそうです。

クルーズ船でセラピストとして働くためには、9ヶ月間船に乗り続けます。その間、家族の下に帰ることはできません。

「小さな子供を残して、よく来るなー!」と驚きますが、船で働いているスタッフの方にはそういう方が少なくありません。

 

ベッドメイキングの方が毎日タオルアートをつくってくれる

しかし、みんな非常によく教育されていて、特にこのカリブ海クルーズのスタッフは素晴らしかったです。SPAのセラピストはもちろん、ベッドメイキングをしてくれるブラジル人も、レストランで働くインドネシア人のウェイターも、常に笑顔でフレンドリー、サービスは常に満点、日本で「超一流」と呼ばれる外資系ホテルよりよっぽどサービスレベルが高かったです。

そして、SPAセラピストの施術レベルは?

これまた、とても上手でした。彼女は船に乗るためにクルーズ船SPA専門のセラピスト学校に1年通って初めて技術を習得したのだそうです。(入学審査に通れば、学費・生活費は無料)

クルーズ船のセラピストのお給料は一応固定給もあるのですが、それは最低限で、基本は「チップ」と「物販による販売マージン」で成り立っているそうです。お給料は決して高いとは言えませんが、チップが重要なので、一生懸命練習をするそうです。そして一生懸命サービスをしてくれます。彼女は特に熱心な方だったので、それはそれは丁寧に施術をしてくれました。「ここまでしてくれたら、気持ちよくチップも払えるなー」と多めのチップをあげ、クルーズ船使用のトリートメントオイルも購入しました。

そのオイルはもちろん、私のサロンのお客様へのお土産として、そのオイルをつかった特別メニューをご提供しました。Aroma Dolphinは「天然100%にこだわる旅気分の隠れ家アロマエステサロン」をコンセプトにしているので、そんな遊び心でお客様も私も楽しんでいます。一石二鳥の船旅です。

 

船によって違いはあるのか?

エーゲ海のサントリーニ島(ギリシャ)

では、他の船はどうなのでしょう?別会社・別地域の例としてエーゲ海&アドリア海クルーズの様子をご紹介したいと思います。

北アメリカと南アメリカの間を航行するカリブ海クルーズの船はアメリカのC社でしたが、ヨーロッパのイタリア界隈を航行するエーゲ海&アドリア海クルーズの船は、イタリアのM社でした。

船によって違いはあるのか?
はい、大いにあります!

 

ドレスアップのフォーマルデー

船のつくりはそれほど大きく変わりません。ロビーは似たようなデザインだし、客室のつくりもほぼ同じです。上層階にレストランやラウンジがたくさんあって、屋上にプールやジャグジーがある、というのも同じです。

船に乗ってすぐに避難訓練があるのも一緒だし、航海中に1~2回、「フォーマルデー」というドレスアップする日があるのも同じです。

ただ、細かい内容は大きく異なります。たとえば、C社のトイレはどこに行ってもまるでリッツ・カールトンのホテルのようにピカピカで本当に優雅な気分になりますが、M社は「従業員用?」と思うような扉で、中もまるで場末のスーパーのようでした。

クルーズ旅が初めての方はそれでもあまり気にならないようでしたが、一度C社のレベルを知ってしまっていると、M社の状況には愕然とします。

 

C社の無料ビュッフェは飽きさせない

サービスも随分違い、たとえばC社の食べ放題ビュッフェは24時間OPENで、飽きさせないように常に違うジャンルのお店が出ていましたが、M社は時間制、毎日同じでちょっと残念でした。

 

エクセレント!なSPA施設

全面ガラスの洋上SPA

スタッフにもあまり笑顔がなくいろいろ残念なM社のクルーズ船でしたが、SPAの設備だけは「エクセレント!」でした。

まず、トリートメントルーム。
カリブ海のC社では、クルーズ船なのに、トリートメントルームはすべて船の内側にあり、窓がありませんでした。

しかし、エーゲ海&アドリア海のM社のトリートメントルームは、すべて窓際!壁一面がガラス張りで、部屋に入るなりまばゆいばかりに輝く波のキラキラが迎えてくれます。

窓の外には海しかないので、もちろん、着替えや施術の際にカーテンを閉める必要もありません。解放感にあふれた中で、「クルーズ船のSPA」気分を存分に堪能できます。

 

絶景リラクゼーションルーム

そして、リラクゼーションルームがこれまた素晴らしい。

よい写真がないのが本当に残念なのですが、こちらは船首にあり、あたり一面、海・海・海!

しかもエーゲ海&アドリア海は小さな島が非常に多く、水平線が見えていたかと思うと島が現れ、通り過ぎたと思うとまた島が現れ……、と次々と島が登場するので、「こんなところに住んでいる人がいるんだなー」「どんな生活をしているのかなー」と想いを馳せるだけで、あっという間に時間が過ぎてしまいます。

 

C社はサウナの窓から海が見える

C社のSPAは「一度トリートメントを受ければ、航海中のサウナ・リラクゼーションルームはすべて無料」でしたが、M社のSPAは3回トリートメントを受けなければ航海中のサウナ・リラクゼーションルームが常に無料にはならなかったのでとても空いており、美しい島々を眺めながら、涼しいお部屋で、デイベッドに寝転がってごろごろする生活は「まさに、楽園」でした。

 

肝心のトリートメント技術は…?

ほかにストーンやキャンドルも

私は2回トリートメントを受けたのですが(※2回で航海中のサウナ等の利用を無料にしてもらう交渉をした)、1回目はなんと、男性セラピストでした。

サウナに入って待っていると、インドネシア人の男性が迎えに来ました。「お迎え専門スタッフかな?」と思っていたら、「こちらへどうぞ」とまばゆいお部屋にご案内。お部屋の説明まで始まり「あなたが施術するの?」と聞くとにっこり。 えぇぇっ!

「サウナは全裸にバスタオルを巻いて入っていい」と言われていたのでその時ショーツも身につけていなかった私は大慌てです。「あ、あのっ、紙ショーツ、ありますか??」

すると彼はまたしてもにっこりしながら紙ショーツを差し出してくれました。……あぁぁ、なんとも変な気分……。

ただ施術はとても丁寧で上手でした。この日私が受けたのは、「ヒマラヤン・ドリーム」という、ヒマラヤ岩塩を使ったオイルトリートメント。岩塩にオイルをつけて行う施術は岩塩のざらざらが痛かったのですが、ハンドのトリートメントは手が大きいので気持ちがいいし、優しく丁寧に触れてくれるので、男性であることを忘れるほどです。男性セラピストにはびっくりでしたが、大満足でした。

ちなみに2回目のトリートメントはインドネシアの女性セラピストによる「シー・シェル・トリートメント」。こちらは貝にオイルをつけて肌の上を滑らすものでしたが、貝同士がかちかちあたる音も海っぽくて楽しいし、肌触りもなめらかで、うちでも取り入れようかと思ったほどです。ただ、手もつめたいままだし、上の空で施術している感じのなげやりなハンド・トリートメントで、トリートメント好きにはちょっと残念でした。やはり、施術は「どこに行くか」ではなく、「誰が施術するか」が重要ですね。

 

島では遊ぶのに忙しい

エーゲ海&アドリア海クルーズでは、島で施術をうけるチャンスはありませんでした。

観光メインの島だと、そうした時間をとるのがなかなか難しいので、何を目的としたクルーズにするのか?で行き先や船を選ぶのもよいかもしれません。

 

セラピストとしてクルーズ船で働くことも

空き時間には遊びにでかけてもOK

私のサロンでは、私がクルーズ旅行を絶賛しているため、「あなたに背中を押されて、予約しちゃったわよ♪」というお客様が出てきました。上手に予約すれば、とても安く便利に行けるクルーズ旅なので、興味のある方はぜひご相談くださいね!

ちなみにクルーズ船SPAにセラピストを斡旋する会社は日本にもあります。簡単な日常会話程度の英語ができれば世界をめぐるクルーズ船SPAセラピストになれる可能性はあり、IMSIのような専門学校で資格を習得している場合には、短期間でクルーズ船専門のセラピスト学校を卒業させてもらえることもあるそうです。

こちらもご希望の方にはご紹介いたしますので、ご相談くださいね(笑)
セラピストとして世界中を巡る。 そんな生き方も楽しいですよね!

普段はIMSIで「タッチセラピーボランティア養成コース」や着衣のままで床で行う「全身ほぐしセラピー」などの授業を担当しています。

また、10年のサロン経験を活かした精油ブレンディングの講座や女性ホルモン講座、ディプロマコースのビジネスのクラスなども担当しています。

ご興味のある方には、旅の話やSPAのお話も喜んでさせて頂きますので気軽に声かけてくださいね! IMSI受講生の中から、クルーズ旅デビューやクルーズ・セラピストデビューする方が出ることを楽しみにしています♪

 
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