NATURAL THERAPIES OVERSEAS

●パリ出張報告●
~自然療法先進国で学んだディエンチャン顔反射療法~
2017年(IMSI学院長 冨野玲子)

「本当に効果のある世界の自然療法を日本にお伝えする」というのがIMSIの使命。イギリス、ベトナム、南アフリカ、バリ島、アメリカ、タイ、スペイン、スコットランドetc・・・、IMSIの活動の歴史と共に、私も多くの国と地域で自然療法を学び、お伝えしてきました。出産後、しばらく海外での学びはお休みしていましたが、1歳半の娘の心臓手術も無事に終わり、家族やIMSIスタッフの皆さんのサポートも有難く受けつつ、また海外での学びを再開することにしました。

 

パリに到着

真っ先に向かった先は、ヨーロッパ。パリで、ディエンチャンの最上級モジュールが開講されるのです。12時間のフライトも、何だかウキウキ。

フライトは朝4時半着のため、アカデミーが空くまでの時間、空港で時間を潰すつもりだったのですが「そのままタクシーでアカデミーに来なさい」という校長のイエン先生のお言葉に甘えて、暗闇の中、パリ市内のディエンチャン・アカデミーへ。

なんと、先生が前日から泊まり込んでくださったのだそうです。ベトナム的な温かい心遣いに、何だかほっとしました!

 

今回は、イエン先生の計らいで、ホテルではなく一般のご家庭に泊めていただけることになりました。

私を迎えに来てくださったのは、こちらの女性。

 

失礼ながら、お年を聞いたら、「娘は56歳です」と。「え!?」と聞き返すと、なんと、77歳なのだとか!

アパルトマン敷地内のガーデンで、お友達と昼間からビールを飲んで語り合う姿は、人生を楽しんでいる感じで、素敵ですね!

「すごい〜! さすがパリ!」と、到着早々、ワクワクしてきましたよ。

 

ベトナム医道センターとパリのディエンチャン・アカデミーとの違い

私は、2008年~2009年にホーチミン市のベトナム医道センターでディエンチャンのモジュール1~6を学びました。
ここでは、受講生の多くが病気を持つ患者やその家族で、あとは「困っている方を救いたい」という仏教の僧侶やキリスト教のシスターなど。

ベトナム医道センターでのディエンチャンの授業の様子

一方、ヨーロッパ各地や北アフリカから受講生が集まり、本場ベトナムを凌ぐほどの勢いでディエンチャンが発展しているパリでは、受講生は自然療法のプロフェッショナルが多く、ディエンチャンを仕事に使っている方が多くいらっしゃいます。

日本の受講生にも、「ディエンチャンを仕事として使いたい」という方が多いため、参考になる情報も得られるのでは? と思っていたのです。

イエン先生とは?

ベトナム系フランス人のイエン先生。元々はチャウ先生の一生徒だったイエン先生が、ディエンチャン・インストラクターとなり、あっという間にパリにディエンチャン・アカデミーを立上げ、欧州にディエンチャンを広めたのです。

まさに、ディエンチャン世界進出の立役者! プライベートはフランス人の旦那さんと息子さんと暮らす、スーパー・ワーキング・マザーです。

2010年のディエンチャンディプロマコース第一期

日本初めてディエンチャンディプロマコースを開講した2010年と2011年には、創始者チャウ先生と共に来日。朝はチャウ先生のために朝ごはんを作り、コース中はチャウ先生のアシスタントとして立ち回り、時には母のように、時には女房のように(本当にチャウ先生の奥さんだと思っていた受講生もいらっしゃいました!)チャウ先生を支え、無償の愛を注ぐ姿がとっても印象的でした。

そのイエン先生が切り盛りするディエンチャン・アカデミー in PARIS での最上級モジュールに突入です!

 

最上級モジュールの参加者たち

最上級モジュール(モジュール9&10)ともなると、参加者は既にディエンチャンを仕事にしている人が多く、指圧やリフレクソロジー、レイキ、キネシオロジー、植物療法、スポーツマッサージのプラクティショナー、そして、医師と看護師など医療職の方がいました。

どんな療法との組み合わせも可能で、即効性がありつつも「気持ち良い!」と喜ばれるディエンチャンは、フランスの専門家達にも一目置かれているようで、嬉しく思いました。

もちろん、医療・健康関連以外の職種(教師、銀行員、会社員)もいらっしゃいましたが、さすが上級コースの皆さん、健康や美容への意識の高い方が多いようです。

プロフェッショナルだらけのクラスとはいえ、お堅い雰囲気は一切無し! 皆さん明るくてフレンドリーな方ばかりです。「ボンジュール」と、誰かが教室に入って来る度に全員にキス&ハグをするものですから、なかなか授業が始まりません!

 

オイルを使ったディエンチャン・ボディ&フェイシャル

授業では、オイルを使ったディエンチャン・ボディ&フェイシャルを行いました。リラックスしたムードで授業が進んでいき、「先生の姿が見えないな~」と思ったら、(奇数だったため)施術の中に入って、スヤスヤと寝息を立てていらっしゃいましたよ(笑)。

見た目は普通の(!?)オイルトリートメントのようですが、ここに、反射学、ツボ、同型説など、ディエンチャンの全ての理論が駆使されています。例えば、「脊柱キワの痛み」に対して、前腕の橈骨と尺骨のキワ(前腕と背中は同形)や、下腿の脛骨のキワ(前腕と下腿は同一)をフリクションするなど、シンプルな動きの中にも、ディエンチャンの世界観が満載です。

ここに、ベトナム医道センターのこだわりが込められています。
「最初のモジュールでは、リラックス目的のトリートメントを学び、後半に行けば行くほどセラピューティック(治療的)になる・・・」という教え方ではないのです。何故なら、ディエンチャンそのものがセラピューティック(治療的)であり、リラックス目的ではありません。だから、基礎コース(モジュール1~3)から、病気や症状を改善していくためのアプローチ(例えば、内臓の反射区やツボなど)をシッカリとお伝えし、「初心者であっても自分で自分の主治医になりなさい」と指導しているのです。
そして、モジュールが上になるにつれて、ディエンチャンで仕事ができるように、「気持ち良さ」やアート性を高め、クライアントのニーズに対応できる応用力を付けていくなど、プロフェッショナリズムを追求していくという考え方なのです。

確かに、私もこの考え方には同感です。IMSIの自然療法は、「初心者は“リラクセーション”で、上級者は“セラピューティック”」という図式は当てはまりません。初級のコースであっても、しっかりとそのセラピーのセラピューティックな部分は土台としてお伝えし、上級コースに行くほど、その土台にプロフェッショナリズムを加えていくという考えなのです。

さて、話は戻りますが、オイルトリートメントしながら生きたツボを見つけ、反射区やツボと重ね合わせながら体の声を聴き、そして、優しくほぐす・・・、というオイル・ディエンチャン。手と道具を交互に使うことで、ウトウトと寝てしまうような気持ちの良さに、しっかりとディエンチャンの要素が加わっています。終わった後は、腕と顔しか触っていないのに、首、腰、足が楽になっていました! 

私がペアを組んだのは、医師のナタリー。指圧とディエンチャンを学び、これからは自然療法をメインに活動していくのだそうです。ノートを写させてもらうなど、期間中とってもお世話になりました!

 

パリのこの季節は、夜の22時くらいまで明るいのです。
家に帰っても、夜遅くまで練習です。

77歳のホームステイ先のお母さんに練習したら・・・
なんと、顔にディポジットがない! さすが、フランス美魔女!

このお母さん、姿勢が良くて、いつも笑顔。
そして、性格も美人で、ほんと、惚れ惚れしてしまうくらい、素敵なのでした。

 

症例ディスカッションとテスト

ディエンチャンアドバンスコース(モジュール4~6)でも、症例については随分学ぶのですが、最上級コースともなると、先生から教えてもらうよりも、自分たちの症例を報告し合うことがメインになってきます。

眼振、高血圧、中耳炎、癌、お腹だけポッコリしている人のダイエット法など・・・、色々な症例が飛び出してきました。

お疲れ気味だった私は、患者さん役に抜擢していただき、皆さんから愛情タップリのディエンチャンの施術をしていただきました。

顔に対するツボのフォーミュラの刺激の後、最後に、水に「愛情のフォーミュラ」を転写してその水を飲むという、ディエンチャンワールドならではのトリートメントでした。

顔へのトリートメントがメインのディエンチャンですが、元々は気功法がベースとなっているため、遠隔や転写などの手法もあるのです。

 

そして、予告なく(あったのかな・・・?)、いきなりペーパーテスト!

みんなが同じ問題を解くのではなく、クジを引いて、当たった問題を2問をエッセー形式で書くという斬新なスタイルで、私が当たった問題は、「乳がんについて書きなさい」と「オイル・ディエンチャンのフェイシャルについて書きなさい」。

  もちろん、フランス語はかけませんので、メチャクチャな英語とベトナム語と絵の混ぜこぜで、なんとか答案を仕上げました。

 

選ばれるセラピストになるために

先生も受講生も何だかとってもマイペースで、クラスはホンワカしていましたが、さすがにディエンチャンを仕事で使っているフランス人たちの施術は、上手でした。特に感激したのが、こちらの男性です。

有名ミュージカルにも出演していた元ダンサーで、スポーツマッサージにディエンチャンを取り入れ、ダンサーのケアの仕事をしているそうです。彼の施術は、サポートハンドが常に絶妙な場所にあって、ワークハンドは迷いが無く、圧とリズムが一定で、ブレない。とても正確できちんとした施術なのに、優しさもあって、彼らしい個性も感じられました。

休憩時間に数分施術をしてもらっただけでしたが、忘れられない体験となりました。
「スゴイ! 私ももっともっと技術を磨かなければ!!」と、セラピスト魂に火がついてしまいました(笑)。

日本と同様、フランスにもたくさんの自然療法の種類があり、セラピーを受けたいと思うクライアントには、たくさんの選択肢があります。その中で「選ばれるセラピスト」になるためには、プロになってからも、謙虚に知識と技術を常にブラッシュアップしていかなければなりません。

今回は、プロフェッショナルなクラスメイト達と机を並べることで、私自身、とっても刺激を受けました。
これが、スクールに入って学ぶことの一番の醍醐味です。素晴らしいクラスメイト達のお陰で、セラピストとして原点に立ち、初心に返ることができました。

卒業記念に、イエン先生から全員にディプロマと、チャウ先生のデザインによる「ディエンチャン・コスチューム」が贈られました(フランス人男性用のフリーサイズ?なのか、ブカブカ~!)。

皆さん、最上級モジュールで学んだという自信を胸に、新しい知識や技術をそれぞれの現場へ持ち帰り、活用させていくのでしょう。
たくさんのクライアントが、ディエンチャンの新技を待っているのでしょうネ。

 

おわりに

アカデミーの目の前は公園で、授業の合間にたくさん散策しました。素敵なカフェやベーカリーやレストラン、オーガニックのスーパー、蚤の市などもあり、いくら時間があっても足りません! 短い期間でしたが、プチ留学することができて、本当に充実した時間を過ごすことができました。

パリですから、授業はもちろんフランス語で行われます。
フランス語のできない私は、たくさんのクラスメイト達に助けてもらいました。特に、ディエンチャン・セラピストでパリ在住のAikoさんとご家族にも、大変お世話になりました。ありがとうございます。留守を守ってくれたIMSIスタッフの皆さんも、ありがとうございました!

今回のたくさんの学びと経験を、セラピスト活動に活かしていきたいと思います。そして、ディエンチャンコースの受講生・卒業生が、仕事でディエンチャンを活用できるよう、精一杯サポートしていきたいと思います。

 
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