NATURAL THERAPIES OVERSEAS

●「サロンワークから一歩外へ!」ノマディック・セラピストのススメ●
2011年(小松ゆり子)

「セラピスト」という人種に、皆さんはどんな印象を持っているでしょう?そしてどのような活動をしているイメージがあるでしょう?

まだ私がほんの卵だったころにほんのり思い描いていた一人前のセラピストとなった自分は…「心穏やかで、落ち着いた立ち居振る舞いでクライアントの話に耳を傾け」「小さくても居心地の良い自宅サロンを中心とした活動」をしているはず…でした…が…??

セラピスト活動を始めてもう10年弱になるにも関わらず、描いていた理想とは大きくことなる自分の姿(笑)「相変わらずバタバタと落ち着きなく」「かろうじてセラピー中は静かで落ち着いているものの」「いったん授業で口を開けば数時間よくしゃべり」「一つの場所にいるのが苦手なために、拠点を持たずにあちこちでセラピーを行うイベント揉みの達人!?」という我ながら「セラピスト」という、「穏やかで安定感があり、優しくて知的」という巷のイメージを崩す活動ぶり…。

とはいえ、私も最初はこんな風来坊ではありませんでした。隠れ家エステや高級ホテルのスパに勤務したことだってあるのです!どこで当初の理想から道を踏み外してしまったのか…?いや、きっと道は踏み外してないのです。むしろ個性を生かした新たなセラピストのあり方を切り開き、自分だけの道を作ってきたと思いたい(笑)!

そして、そんな唯一無二の自分だけの道となるものは「普通はセラピーしないような場所でセラピーをする」という「イベント出店」によって磨かれてきたように思うのです。

おかげ様で最近では「IMSIセラピストフォーラム」で「イベント会場における出店ノウハウ」について語らせていただく機会も増え、多くのセラピストさんが「実は外に出たがっている」というのを感じています。

いつでもどんなところでもセラピーができる「ノマド=遊牧民」のようなセラピストのあり方。ひょっとしたら皆さんの参考になることもあるかもしれません。

ひょんなことからスタートした「イベント揉みの達人」「ノマディック・セラピスト」への道。そんな、王道を外れたセラピスト誕生ストーリーをちょっと聞いていただきましょう。

主食はラーメン!なレコード会社時代

私の前職はレコード会社の宣伝マン…いわゆるバリバリの業界人、というやつです。朝は遅く夜も遅い。土日の出勤はあたりまえ!代休ってなんですか?なお仕事。

といっても、私にとってはそういった出勤形態は何も特別なものではありませんでした。実は私の父もミュージシャンを経て音楽業界で働いていたので、子供の頃から「大人の仕事とは、こういうものだ」という感覚が染み付いていたのです。大学卒業後の就職先として音楽業界を選んだことも、ごく自然なことでした。

毎日出版社やラジオ局を外回り、あるいは取材や撮影、ライブの立会いで会社に戻るのは夜10時くらい。一日一食のこともあれば、四食する日も。

主食はラーメンや中華丼、飲み屋のご飯。コッソリ仕事の合間に買い物したり、帰り道でマッサージ屋に立ち寄るのが主な娯楽…そんな8年間を過ごしていました。

しかし、意外なことでこの時の経験が役に立っています。一日中でもしゃべり続ける強靭な宣伝マンの口!そのおかげで講師になった今、7時間授業の日でも疲れ知らず!(笑)

そして、勤務時間や休日のことは深く考えず、あちこち飛び回って数足のワラジを履きながら活動するのが苦にならないという今の私の働き方のスタイルも、このときに知らず知らずに培われていたものなのです。

 

自然療法への目覚め

そんな感じで健康とはほど遠い生活を送っていた当時、点滴打ちながら職場に行ったことは何度もあっても、倒れたり病気になったりしなかったのは、若さと幸運が重なったためでしょう。

「音楽」という趣味が仕事になっていたのは幸せなことだったと思いますが、その一方でプライベートと仕事の境目が非常に曖昧になるので、ストレス発散の糸口が徐々になくなっているのを感じていました。 周りの人が体調不良で倒れて行くのも「明日は我が身か?!」と、気になり始め…。

「何か仕事以外の趣味を作ろう!」

そう思い立ったときに「アロマセラピー」というものに興味が出ました。 それまでも、とにかく疲れたときには沢山の自然療法、セラピー関係によく足を運んでいましたが、自分が学びたくなったのは初めてです。

もともと「香り」は好きでしたが、「嗅ぐだけで香りが心理面に作用する」ということを知ったとき、それがとても神秘的に感じられ、惹き付けられてしまったのです。 早速、外回り勤務の利点を生かし(笑)、仕事の合間をぬってアロマセラピーやハーブの単発講座に通い始めました。

異業種への華麗なる転身!?

三十路を越えた頃、長年勤めた会社を辞めました。社会人になって初めての長いお休みに突入です。休みの後は音楽業界に戻ることを想定していたものの、「後5年は今のスタイルのまま走り抜いていける…でもその後もこの仕事を続けられるのだろうか?」という問いかけも心の中に生まれていました。

せっかくの長期休暇ですから、「とりあえず資格だけでも取っておこう」と、アロマセラピーの講座に本格的に通うことに。授業の中にはアロマの知識だけでなくフルボディ?トリートメントも含まれていました。「六十の手習い」とまではいきませんが何しろミソジの手習い。「人を揉む」ことにそんなに興味があったわけではなかったし、人を施術する前にまず自分がガチガチで力が抜けない状態!でも、トリートメントの授業は毎回爆睡してしまうほど気持ちよく、へたくそながらも「確実にスキルを習得している!」という手応えと、身体の不思議への興味が日々深まり、気づけば夢中になっていたのでした。

興味は精油からボディーワーク、自然療法全般へと拡大し、様々な授業に出まくる日々。その中で「セラピストというのは、女性としてのライフ・イベントを余すことなく仕事にフィードバックしてすることができる、一生を通じてできる職業なのでは…?!」という想いが日に日に強くなり、「異業種でキャリアを積むなら善は急げ!」ということで、音楽業界の復帰はひとまず先延ばしにし、セラピスト修行に邁進することに決めました。

「将来はステキな自宅サロンを開いて~♪」という夢を抱いていたのです…そう、この頃までは(笑)

 

ミソジのセラピスト・デビュー

とりあえず、セラピストとして現場で研鑽を積まないことにはお話になりません。「入れるとこならどこでも!」という感じでサロンでのアルバイトをスタートしました。しかし、まだまだ技術的には未熟で、身体に触るのもおっかなビックリなために肩に力が入りまくり。そんな「クオリティ・オブ・タッチ」などとはほど遠い状態でしたから、とりあえず「身体に触れる仕事ならなんでもやろう!」と、平行して介護のお仕事も始めました。

しかし、この介護のお仕事が大変勉強になりました!利用者さんはとてもデリケートな身体の状態です。毎日その身体を支えたり、動かしたり…気がつけば「自分の身体を守りながら、人の身体に安定感をもって触れる」というセラピストとしての身体の基礎ができあがっていきました。

また、当時は思ってもみなかったことですが、この時の経験から腹部に大胆に触れる「アブドミナル・テクニック」や「介護とアロマセラピー」「ヘッドスパ基礎」などのクラスの素地ができたのです。

派遣登録でエステサロンに入店し、二十歳のセラピストの子に「コマツさん、手がぁ~全然~密着してないッス~」と、ダメ出しをされていたのもこの頃の話(笑)。でもおかげさまで贅肉の揉みだしから、脱毛、「セラピーを売る」という意識まで、アロマセラピースクールでは教えてもらえないことを学ぶことができました。そういえば、ハーバルスチームやハーブボールと出会ったのもこのサロンです。

世界初!?ロックイベントにアロマセラピーを♪

さて、その頃世の中は第一次ホテル・スパ立ち上げブーム!「一流ホテルのスパ・セラピストなんて夢のまた夢…」と思っていたのですが、生来の運の強さが幸いして、あるホテルのオープニング・スタッフとして就職できることになりました。

ホテルの研修はまるで「スチュワーデス物語」のごとく(笑)。「ロミロミ」「バリニーズ」「リフレ」「ゴマージュ」などなど何種目ものセラピーと、ホテルマンとしてのホスピタリティを一ヶ月で叩き込まれました。しかし一ヶ月もみっちりと特訓というのは、オープニングならではのことなので、非常にラッキーだったと言えるでしょう。今のホテル・スパでは「即戦力」が求められますから、そういった技術的な要求にすぐ応えられるようにスクールでも「IMSI認定ボディーワークプロコース」を作ったのです。

そんな猛特訓のさなか、もう一つの試練が私に与えられました。音楽業界時代の先輩が「summer sonic(以下、サマソニ)」という幕張で12万人を動員する都市型音楽フェスティバルを仕切っているのですが、彼から 「フェスにアロマセラピーの癒しを導入してよ!」とオファーが!

聞けば沢山の音楽フェスが乱立し、それぞれの個性や主催者側のホスピタリティも求められ始めているとのこと。そして2日間朝から深夜まで会場を動き回り、踊りまくり、飛びまくりのお客さん達…疲れない訳がありません!音楽業界にいたときに自分もあらゆるフェスに参加しましたから、そのニーズはわかります。

しかし、真夏の8月に、ロックなお兄さんたちに、汗まみれの中でアロマオイル…!?(汗)。ましてやセラピストとしてまだかけだしの上に、初めてのイベント出店がこんな大型フェス!?人手は?備品は?お金の出所は?メニューは???

頭のなかがパンクしそうになりながらも、「最大限のサポートをするから、とにかくやってみて!」という先輩のお言葉に、イベント出店の第一歩を踏み出しました。

 

イベント組み立てのノウハウ

時は大きく流れて現在。数々のイベントをオーガナイズしてきた今となってみても、初回のサマソニ出店のノウハウが役に立っていますので、どんなことをポイントに考えてイベントを進めているのかを御紹介してみたいと思います。

イベントありき!のメニューづくり

お客様はセラピーを受けるのが目的で来るのではありません。そのイベントやライブを楽しむのが最大の目的です。なので、まず主催者がどんな想いを込めたイベントなのかを理解し、お客さんがどんな人たちなのかを想像することが大切です。

例えばサマソニであれば、お客様はライブのタイムスケジュールを見ながら動いていますから、そのすき間にさっと手軽に受けられることが求められます。なおかつお疲れがひどい人もいますので、ある程度長めのコースも必要です。そこで、まずは必ずニーズがあるであろうパイプ椅子を使って座位で行う10分の肩首を設定しました。都市型フェスなので直前まで仕事をしてから駆けつけた人向けの、ヨガマットで行えるミントのアロマジェルを使った10分のリフトアップのヘッド。また足が疲れることを想定して、同じくヨガマットの上で受ける20分のオイルフット(膝下)も。

さらに「アロマトリートメント」という特色を満たすこと考え、女性限定の30分~60分のトリートメントコースも用意。こちらは仕切り布で個室をしつらえ、脱衣して受けて頂けるようにしました。 またサマソニでは、皆さん足が疲れている&蒸れている(笑)ことが予想できるため、フットバスをつけることにしました。主催者には水場の近くの店舗設定をお願いし、湯沸かし器を何台か持ち込んでいます。多少手間ではあるのですが、今ではフットバスに浸かりながら肩を揉まれる姿を、道行くお客様がヨダレを垂らしそうな顔で眺めてらっしゃるので(笑) 看板代わりとして外せないものとなっています。

経費の計算と収支の想定

値段は10分1000円単位。これはフェスで出るご飯が大体700円程度であることや、3000円~4000円のロックTシャツをフェスで購入する人が多いため、その財布事情を考えて、セラピーに出せるのは1000~3000円くらいではないか?と思い設定したものです。

イベントによっては若い客層だったり、イベント内で1~2時間しか稼働しない場合など、「1コインマッサージ!5分500円~」という風にお手軽感を大事にする場合もあります。

サマソニでの施術スペースはヨガマットが4枚に個室が一部屋。そしてパイプ椅子が4個。ここから割り出されるものが収入の全てです。あとはその予算内で備品を買ったり、セラピストの人件費や交通費を捻出したり、出店料を納めたりしなければなりません。

しかし多くの経費はイベント前に必要になるものですから、その間は「自腹」です(笑)また、購入した備品はその後保管しておかなければなりませんから、その場所を確保しておくのも大変です。例えばイベント後は白いタオル200枚!を洗濯&保管しなければなりません。現在ではサマソニ出店も6年続き、一日あたりの売り上げが大体想定できていますし、様々なイベントに備品を使い回しているので問題ありませんが、最初の数年間はイベント前になると、ホントに黒字にできるの?!この備品どこに置くの?!と日々お腹が痛くなりそうな思いでした(笑)

飾り付けと看板

「癒しの空間」であることがわかることと、そのイベントの空気感を壊さず、むしろ場を盛り上げるのに一役買うような飾り付けを心がけています。

といってもそんなことができるようになったのは最近の話で、最初は主催者の方やわが家のエスニックな布やよしず、クッション、間接照明などあらゆるものを総動員してやっと形にしていました。

その後「布」は非常に有用性があることがわかり、イベント以外の時期でも、街で布を見かけると思わずチェック!旅先などでもステキなものを見つけたら積極的に購入。モロッコに行ったときに買ったベットカバーやカゴ、バリで購入したクッションなどは今では私が主催するイベントのトレードマークとなり、大活躍しています。

 

イベントでも自宅でも使えそうなインテリア雑貨を中心に購入することで、備品と収納の問題も解決。つまり、イベント時期になるとわが家から一切合切、インテリア用品が消えてしまうのです(笑)

布類も日頃からオシャレなカゴに収納しておけば、いざイベントの時も持ち出しが簡単で、会場にそのまま置いておいても美しい!また、最近ではセラピストの衣装にドレスコード(色の統一など)を設けることで、「人」もインテリアの一部であるような演出をしています。

メニューが記載された立て看板も作成します。実はわりとお金がかかるのがこの看板(汗)ポスターサイズくらいの大きなものになると、プリント&ハリパネするので数千円かかってしまいます。

もしイベント会場が許可していればハガキサイズ程度の手持ちのチラシを配ったり、A3程度に出力したものを壁に貼らせてもらったりすることも。事前にイベント会場のお客様導線を確認しておき、こういった物をこまごまと用意するのですが、どんなイベント会場であっても、最も宣伝になるもの…それはやはり「人が揉まれている姿」!!

特に人が少ないイベントスタート時などは、関係者を接待がてら積極的にサクラをお願いしたり、セラピスト同士で練習したりしていると、最初は遠くで眺めていた人がついには近寄ってきて「私も…お願いできますか!?」となるわけです(笑)

どんどん広げよう!セラピストの輪

持つべき者は仲間…。これはこの数年間で最も実感していることです。どんなイベントであっても一人ではできません。至る所で人の協力が必要になってきます。

まずは搬入搬出!実は私がイベントで一番大変と感じるのはこの時です。「イベントの真髄は搬入搬出にあり!」と言っても良いぐらい、主催者は当日よりもその前後の方が大変なのです。サマソニであれば前日から泊まり込みで準備し、イベント当日はお客様が捌けてから夜中に撤収です。

「大量の備品をどうやって運ぼう…??全部一人で建て込み&飾り付け&後片付けするの?!」そんな途方に暮れそうな時「車あるよー!運転できるよー!手伝うよー!」と言ってくれる仲間が登場すると、ほんとうに白馬に乗った王子様のように思えます(笑) 。

また、当日待っているのは「馬車馬のように揉む!」という過酷な労働(笑)一人で10人以上施術することもざらですから、お願いする側としては「こんな過酷な現場に来てくれるセラピストがいるのだろうか…?」とヒヤヒヤするものですが、なんと幸せなことに、沢山のセラピストさんが毎年サマソニをお手伝いしてくださっています。こちらが用意できるのは薄謝と、好きなライブを一本見て頂くことぐらい…でも「文化祭みたいで楽しい!」

「いつもサロンワークで閉じこもってるから、色んな人と出会えるのがうれしい!」と、皆さん楽しんで参加してくださっているようです。イベントをやり遂げると「同じ戦場で戦った!」というような連帯感が沸いてきて(笑)セラピスト同士の横のつながりも強くなります。同業他種のトリートメント技術交換もできますし、お互いの働きぶりもよくわかるので、イベントでのご縁が就職につながることも!実際私がこうしてIMSIで講師をするきっかけをくれたのも、サマソニで出会った方なのです。

 

最初は一人の友だちが別のセラピストを連れてきてくれて…という地道な所から始まり、今では何十人も仲間が増えました。

自宅サロンで活動している人、ホテルスパ勤務の人、セラピーのスキルは学んだけれど普段の生活で生かせていない人、週末セラピスト…色んなセラピストさんがイベントの日には、サーカス一座のように集まってきます。

サマソニは今年で6年目になりましたが、このイベントを通じて出会ったセラピストさんのつながりは、本当にお金にはかえられない私の財産と呼べるものだと思っています。

 

イベントがイベントを呼ぶ

いきなりサマソニという大舞台でイベントデビューして以来、「一年に一回のお祭り」という感じで年月と経験を重ねてきましたが、ここ数年は加速的に様々なイベントに参加することが増えました。

「どうやって企画を持ち込むのですが?」と、よく聞かれるのですが、実は自らイベントの企画を持ち込んだことはほとんどありません。たまたま来場していた昔からの知人に再会して、他の出店のオファーを頂いたり、以前出店させて頂いた主催者の方から他のイベントを紹介されたり…など、多くの場合「イベントがイベントを呼ぶ」というような感じで、舞い込んでくるのです。

また最近イベントに出店するときは「Love&Communication」という数人の仲間で組んでいるチーム名義の場合が多いです。こうした仲間が増えたことで、様々な実務だけでなく、イベントごとにMTGを行い「コンセプト」を明確にしていく作業もずっと楽になりました。実際以下のネーミングのほとんどが、仲間が考案してくれたものです。

出店のお話が進み始めてからは、大枠ではサマソニと同じです。自分や仲間のスケジュールを確保し、主催者とミーティングしてテーマやメニューを決め、人や備品、車の手配をし、搬入&設営して当日を迎え、搬出して、翌日は洗濯しながらお金の計算…という一連の流れをこなします。

こちらの手の内にあるのは「自然療法」「ボディーワーク」などのスキルのみ。ともすればマンネリに陥ってしまいがちなそれぞれの出店に色を付けていくのは「主催者とのコラボレーション」という意識です。最近のイベント・ワークをいくつかご紹介しましょう。

「おやすみ!ペア・トリートメント」@ap bank fes 09 「hug・momi」@ap bank fes 10

ap bank fesはMr.childrenの桜井さんや音楽プロデューサーの小林武史さんが中心となって開催されている、音楽とエコをつなぐイベントです。 こちらへのトリートメント出店は友人が行っており、私は日中はそこに一セラピストとして参加しつつ、夜は誰でも簡単にできるトリートメント方法をレクチャーするワークショップを開催しています。 ライブ終演後、グッタリしたお客さん達の前で「みなさん揉まれたいですか~!?」とマイクで声をかけると「揉まれたいデース!」と声が返ってきます(笑)そこで全員を揉むことはもちろんできませんので、お友達同士でできる方法を教える、というわけです。

「effective humming 10 ~地球のハミングにゆだねる、カラダ」@Alley pleasure vol. 風を探す歌

「世界一おいしい朝食」を食べれると評判の「Bills」というレストランをご存知ですか? その「Bills」がある、七里ガ浜の駅の目の前の「Alley」というすばらしい景観の複合施設で行われた音楽イベントにも出店しました。

ライブはCaravanとイシイモモコさん…その音楽を聴きながらの「海を目前の部屋でセラピー!」ということで、俄然盛り上がりました!「海」という自然の象徴とコラボレーションしたいと考え、「ホットストーン=鉱物界」「ハーブボール=植物界」「タッチワーク=動物(人間)界」という地球コラボメニューを実現(笑)友人のYOGAティーチャーによるYOGAクラスや、料理ユニットの「南風食堂」さんにお願いしたオリジナルレシピのハーブティーなどが出揃い、主催しながらもまったりゆったりくつろげる、最高のイベントとなりました。

「sweet aroma treatment」@sweet collection 2010

前述のALLEYイベントの主催者の方に誘われて、夏に千葉の海で行われたモデルのSHIHOさん主催のサーフ・コンペティションにも出店しました。そのときに再会したのが今や飛ぶ鳥を落とす勢いの激売れ雑誌「SWEET」の編集長です。私は音楽の仕事をしていたときずっと雑誌社を担当しており、中でも宝島社は一度宣伝に行ったら5時間ぐらい居座って「まだいるの!?」と編集部のみなさんに驚かれるくらいしつこいプロモーションを繰り広げていた、かなり力を入れてお仕事させて頂いていた出版社なのです。

再会に驚いて、すかさず「まあまあ、ここに座ってください。揉みますから!」とモミュニケーション(笑)したところ、「来月のウチのイベントにもぜひ!」とお声をかけてもらい、SWEET主催のファッションショーにも出店させていただくことになりました。このときは可愛く着飾った女の子がお客様ですから、脱衣や髪型のくずれなどを気にされるであろうと予測。また、ファッションショーの合間の短い時間が営業時間だったため、「5分500円お好きなパーツをケアします」という、ざっくりしたメニュー設定にしました。

「PHANTOM tent」@坂本美雨さん主催「DIRECT MIUsical」

ここ最近の集大成といえるのがこのイベントで、現在Vol.2まで開催されています。

坂本美雨さんとはもうかれこれ10年以上のお付き合い。私が音楽の仕事を辞してからもよく連絡を取り合っていました。彼女は歌詞をとても大切にする人ですが、最近は「身体表現」や、「声」という音を出す楽器としての「からだ」にも意識が向いているとのことで、彼女の企画するライブイベントで何か出来ないか?と相談を受けました。

「美雨ちゃんのような癒しの生声を聞きながら揉まれたら、どんなに素敵だろう…」

ということで、彼女のアルバム「PHANTOM girl」をイメージしつつ、ノマディックな要素に欠かせないもの=テント!を掛け合わせて…PHANTOM tentを作ることにしました。

ライブ会場内のシャンデリアがついた素敵な小部屋を借りれたので、布やフラッグで飾り付けてドリーミーなテントを演出。

「PHANTOM=女の子の眠れる本性」というテーマに合わせて、さわやかな柑橘系精油とラベンダー、カモミールの奥でイランイランやパチュリをにじみ出るようにブレンドした香り「PHANTOM drop」をライブ会場内に漂わせ、オイルor ジェルでトリートメントも行いました。

このときも「5分500円1パーツ」でメニューを設定。ライブでは美雨ちゃん自身がコンセプトを説明し、「私が歌っている間も、どうぞ遠慮なく揉まれて下さいね」と宣伝してくれたこともあり、大盛況。

私たち自身も生演奏をBGMにトリートメントができる至福の時間となっています。

Vol3以降も予定されていますし、今後も楽しみなイベントです。

 

イベントで求められるセラピストの資質

さて、このようなイベント現場で求められるセラピストの資質とはどんなものだと思いますか?まずメンタル的な面で求められるのは「臨機応変」!これに尽きます。「丁寧で落ち着いた接客」というのは一度忘れなければなりません(笑)時に大挙してくるお客さんを手際よくさばきながらも、みなさんにご満足していただく、という使命の元に空気を読んで行動することが求められます。

同じく技術面においても臨機応変さは求められます。特に「着衣のままで受けたい」というご要望を頂くことが多いので、通常のアロマセラピストさんは「オイルが使えない…どうしよう?」と戸惑ってしまうことが多いようです。また、お客様から見たら私達の専門分野に「ロミロミ」「リフレ」「アロマ」などバリエーションがあることなどは全く関係なく、「とにかくしっかり揉んでください!」ということだけをリクエストされます。そこで無理をしてしまうと指圧の真似事で無理して強く揉んだあげく、自分の指を壊してしまう…なんていうことにもなりかねません。

実は私もドライハンドで行う施術は習ったことがありません。でもイベントをこなしているうちに、120分くらいまでなら素手のみでの施術を行えるようになってしまいました。その過程で役に立ったのは、IMSIの講座で言えば「ディープティシュー」で学ぶ筋肉の知識の応用や「マッスルリリース」「セラピーコンビネーション」「ヘッドスパ」など着衣のままでできる技術です。

「どんなときでも正しい姿勢や無理のない効率良い力の入れ方を意識すること」と、オイルトリートメントの修行で得た知識の応用力とが合わさった結果、「与えられた時間と環境の中で最大限の満足度を」というニーズに答える施術ができるようになっていったように思います。サマソニのような大きなイベントの前は事前に技術研修を行うこともありますが、ほとんどの場合は「求ム!即戦力!」。上記のクラス受講済みでイベント・ボランティア希望の方がいらしたら、ぜひ!名乗りをあげていただきたいと思います(笑) 。

「触れる」ことで世界とつながろう

さて、私がなぜイベントをするようになったのか、どんな感じでイベントを運営しているのか…少しお分かり頂けたでしょうか?

「どうしてそんなに飛び回っているの?」と、よく聞かれるのですが、イベントにしてもセラピーや講師のお仕事にしても、次から次へと数珠つなぎのようにして「ほとんど成り行きまかせ」で来た…というのが正直なところ。気がついたらこんなノマディックなセラピストになってしまっていました。

もちろん少しは自分の意思もあります。「これが学びたい!」と思って、アロマセラピー、エサレンボディワーク、ストーンセラピーetc…色んな修行をしてきました。その流れに横からイベントが絡み付いてきて、そこで出会う人々に導かれ…講師兼、セラピスト兼、イベント揉みの達人(笑)という異色の活動形態ができあがったのです。

最近では自己紹介をする時に「講師をしていまして、イベントもよく企画していて、セラピー活動も…えーとあとは…」と困ってしまうことが多くなってきたので、ついに自分の活動に「Touch for World」というプロジェクト名をつけることにしました。このプロジェクトでは様々な自然療法の知識をベースに、「Touch=触れる」ということから始まる様々なことに関わっていきたいと考えています。人に、世界に…「触れる」という世界共通の言語「Body Language」でつながっていく…これからも、そんな活動をしていく中で沢山のノマディック・セラピストとの出会いを大切にしていきたいと思います。

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