NATURAL THERAPIES OVERSEAS

●為せば成る 為さねば成らぬ なにごとも●
~サロン開業、オリジナルブランド開発――挑戦すればなんでもできる!~
宮武直子

「アロマサロンを開業して、ボランティア団体を主宰して、IMSIの講師をして、オリジナルコスメブランドを展開して……」というとよく驚かれるのですが、「気持ちと行動力さえあれば、後はなんとかなる!」というのが私の考えです。
そんな私の生き様が、少しでもみなさんのお役にたてれば幸いです。

私がアロマエステサロン・Aroma Dolphinを横浜に開業したのは2005年のこと。それまでの私は、実は全然違う業種に就いていました。

ケーブルテレビ局、企業調査会社などで働いていました

大学卒業後に私が経験したのは、ケーブルテレビ局での番組制作、企業調査会社での企業評価、IT企業でのWEBマーケティング、ダイレクトマーケティング会社での国家レベルのプロジェクトなど、一見てんでバラバラです。

が、もともと「将来起業しよう」と思っていた私は、実は計画的にそれぞれの会社でスキルを学んできました。

とはいえ、どれも「未経験」で入社していることに変わりはなく、勉強はよくしました。

 

ビジネススクールのテキストの一部

IT企業時代の同僚たちと

ケーブルテレビの会社では先輩がいなかったのでカメラの取扱説明書を読むところから始めました。

企業調査の会社では、夜間にビジネススクールに通ってMBAの基礎を学ぶことで経営のいろはを学びました。

IT企業ではあまりのPCスキルの低さに年下の子にバカにされ、猛勉強してなんとか人並みに追いつきました。

それぞれ大変でしたが、おかげで「勉強すれば、なんでもできる」と考えられるようになりました。

 

馬車馬のように働いた日々

最後に入社した会社での経験は貴重でした。私が入社した後に買収され、いきなり「大企業のグループ会社」になったのです。

すると突然、取り扱い案件が変わりました。
今までは中小企業のアナログマーケティングだったのが急に、国や大企業の最先端マーケティングに変わったのです。

この頃は、本当に忙しかったです。
1カ月に400時間以上働き、2~3日の徹夜もよくありました。(仮眠もなしです)
食事をする時間もなかったので日持ちのするお菓子を机の下に抱え込み、お菓子で飢えをしのいでいました。家にもなかなか帰れないので会社から徒歩3分の場所にもう1軒家を借りましたが、その家にさえなかなか帰れない状態でした。誰もがそんな状況でした。

そんな会社だったので、当然のことながらバタバタと人が倒れていきました。
体調を崩す人。ウツになる人。ガンになる人。

そんな中、一人元気だった私ですが……それでもついに、影響が出ました。

32歳でホットフラッシュ!

ある日のことです。
いつもどおりデスクでPCとにらめっこをしていると、急に頭部がカーっと熱くなったのです。
「頭」でも「顔」でもなく、「頭部全体」に、まるで全身の血が集まったかのような感覚です。血が集まり過ぎて、皮膚が痛いのです。このまま顔が破裂するんじゃない!??と心配になりました。

が、頭部はそんなに熱いのに、身体は石のように冷たいのです。手がかじかんで、キーボードがうまく打てないほどです。
なに?なに??なに、この感覚???!

焦りましたが、幸いすぐに「これが噂のホットフラッシュか!」とわかりました。32歳の出来事でした。

さすがにこれはマズい、と思いましたが、仕事は山積み、立ち止まる暇はありません。
幸いそのプロジェクトは終盤を迎えていたので、「この山が終われば解放される……!」とそれだけを希望になんとか乗り切りましたが、もしあのプロジェクトが長期的に続く時期であれば、今の私はないかもしれません。

そして面白いことに、この経験はその後の私にとって非常に重要な意味をもつのです。

偶然選んだIMSI

実はこの会社に転職したほぼ同時期に、IMSIに入学しました。
「将来開業しよう」と思っていた私でしたが、何屋さんになるかが決まらない。
そんなある日、アロママッサージを受ける機会がありました。

初めて受けるアロマトリートメントはとても気持ちがよく、
「こんな幸せな世界があるのか~!」
「がんばってる世の中の人みんなにこんな幸せを感じてもらいたいな~!」。
そこで、「よし、アロマトリートメントで開業しよう!」と決めたのです。

決めたら行動の早い私です。すぐに学校を探し、IMSIの英国IFPA認定アロマセラピーディプロマコースに入学しました。
とはいえ、IMSIを選んだ理由は単純でした。

1つは、英国IFPAの認定資格が取れること。
1つは、授業の振り替えができること。

どうせ取るならアロマテラピーの本場・英国の資格の方がかっこいいし、プロジェクトに入ってしまうと学校どころでないので、「振り替えができること」は絶対条件。
IMSIはこの2つの条件を満たしていた。ただそれだけの理由でIMSIを選びました。

衝撃のIFPA授業

取扱化粧品原料製造元のラベンダー

アロマの世界は私にとって衝撃的でした。
当時の私の仕事はITや数字を駆使していたので常に「正解」がありました。ところがアロマは同じ精油でも本によって「覚醒する」と書いているものもあれば「鎮静する」と書いてあるものもある。
今となっては理由もわかり納得できるのですが、当時は「なんてテキトーな世界なんだ!!」とびっくりしました。

そしてトリートメントの授業も衝撃でした。
そもそも普段、見知らぬ人の身体に触ることなんてありません。
しかも、直接素肌に触るのです。それも、背中やお尻まで。
それだけでもドキドキなのに、感じ方が人のよって違うのです。同じ圧でも「強い」と感じる人もいれば「弱い」と感じる人もいる。「正解」がなく、「すべてはお客様の所感で決まる」、という未知の世界。

1回目の授業が終わった時には、正直「進むべき道を間違えた……」と愕然としました。

とはいえ、大金を払ってしまった以上、通うしかありません。
がんばりました。毎回ドキドキ・ビクビクしながら通いました。

そうこうするうちに、慣れてきました。
英国IFPA認定アロマセラピーディプロマコースが25回1セットでよかったです。これが分割であれば、おそらく途中で挫折していたと思います。

 

柔軟な思考のIMSI講師陣

なんとか手にした英国IFPA認定アロマセラピーディプロマコースの卒業証書

IMSIを選んだことも私にとっては正解でした。
講師陣がよかったのです。思考が柔軟な方がとても多いのです。

私はいきなりIMSIに通い始めたので「アロマの世界の人はこんなものか」と思っていたのですが、開業しいろんな同業者と交流するうちに、実はこれはIMSIの特徴の1つであることに気づきました。

学校によっては「自然療法絶対主義」「べき論」が非常に強いところも少なくないのです。
「どんな病気でも西洋医学を使うのは邪道。なにがなんでも自然療法で治すべき」
「この手技が絶対。他の手技は認めない」……

アロマの世界は、そしてトリートメントの世界は、上述の通り「精油1本1本が違う」「人によって感じ方が違う」とてもファジーな世界です。その世界を絶対論の枠の中に入れるのはかなり難しいことだと思います。

その点IMSIの教えは
「○○といわれています。でも人によって、時のよって違うかもしれないので、その感性を大事に選ぶのも大切かもしれませんね」
「世の中にはいろんな手技があって、それぞれの手技にはそれぞれの理論があるので、『○○の考え方はこうなんだなー』と思ってもらえれば……」

はじめは「なんてテキトーなんだ!!」と驚いていましたが、でも、たしかにその通りなので、だんだんその教えが心地よくなってきました。(笑)

激務のプロジェクトの合間に通っていたので、「通える時は集中的に通うけど、通えない時はまったく来ない」という状況だった私は、みんなが半年で卒業できる過程を2年かけてようやく卒業しました。

 

IFPA卒業、いきなり開業!

卒業した後は、少し友人のサロンを手伝わせてもらった後、いきなり開業しました。
無謀とも思える行動ですが、実は少し、自信がありました。
というのも、IMSIの授業中「サロンでの施術は勉強だから、私はプライベートで施術を受けても絶対に寝ない」と言っていた方が私の施術ですやすやと眠ってしまったのです!

今思えば、単にお疲れだったんだと思います(笑)。ですが当時の私は勝手に「もしかして私、うまいんじゃない!?」と勘違いをしました。勘違いってすごいですね、それでいきなり開業しちゃうんですから。

でも、周りの人に恵まれ、うまく開業することができました。
未経験からの開業なのでもちろん顧客もおらず集客が心配だったのですが、すぐにリピーターがついてくれました。
というのも開業前、とにかく練習したいので友人達に練習台になってもらっていたところ、友人が「お友達も呼んでいい?」と。そして、そのお友達がまたお友達を連れてきてくれて……。もちろん練習台なので「無料でアロマトリートメントが受けられるよ~!」ということでみんな来てくれていたのだと思うのですが、その方達がなんと、開業後、正規料金になってもずっと通いつづけてくれたのです。これには本当に助けられました。

おかげさまで当店は今でもお客様はほとんどクチコミで、9年目を迎えさせていただいています。

 

阪神淡路大震災での経験

阪神淡路大震災 自宅裏の町並み

自宅の玄関

私は阪神淡路大震災の時は西宮市(兵庫県)に住んでおり、その後神戸のCATV局で仮設に取り残された高齢者たちの取材もしていました。

その時、感じたのです。「震災は直後も大変だけど、その後はもっと大変」。

直後は「日本中が応援している!」と言われ、励まされます。

ところが半年もするとブームは去り、やがて「いつまでも甘えるな」と冷たくすらなる。そんな中、自殺をする方も増える。そして自殺はたいてい家(仮設住宅)の周辺で行われるので、残された者は友人・知人が自殺した木の前、部屋の横で生活を続けなければならない。その姿にはかける言葉も見つかりません。

 

ボランティア団体の設立

そんな経験から私は「災害ボランティアをするなら、絶対に長期的にする」と考えていました。

ボランティアについて詳しくはまた別の機会に改めさせていただきますが、長期的に継続するためには組織化するしかないと考え「JILCA」という団体を設立しました。

「心のケア」を軸とし、フロア・ボディセラピーやお茶会、ランチづくりやガテン作業などを通じて仮設の人々に「まだあなた達のことを気にかけている人がいますよ」ということを行動で示しています。現在10代から70代まで、700名ほどのメンバーが登録してくれていますが、もっと多くの人に協力をしてもらえればなー、と思います。

 

オリジナルコスメブランド・jolveとガブリエル先生

テキストテキストテキスト

とはいえ、私も自分で生計を立てる身なので、ボランティアばかりやっているわけにもいきません。

お客様からの要望や私自身が過去にホットフラッシュを起こした経験などから、女性ホルモンに着目したスキンケアブランド・「jolve(ジョルブ)」を創設することになりました。

このブランドの開発でもIMSIにはお世話になりました。精油のブレンドに関してガブリエル・モージェイ先生にアドバイスをいただくことができたのです。

 

ガブリエル先生との2ショット

イギリス人のガブリエル先生は、とても背の高い、まるで芸術家のような情熱と穏やかさと自由さを兼ね備えた方でした。jolveの香りはジャスミンをベースにしているのですが、そのジャスミンのイメージとガブリエル先生が著書『スピリットとアロマテラピー』の中で結び付けられている神話の女神・イシスのイメージがあまりにぴったりでそれについてお伺いすると、熱く語ってくださった姿が印象的です。

ブレンド案について見ていただくと「すごくいいブレンドだと思うよ!」と言ってくださいました。そして光毒性の影響から使用を悩んでいたレモンの精油については「2%以下なら影響ないから、(代替案のローズマリーより)レモンの方がいいよ」とアドバイスをくださいました。
そんな貴重なアドバイスをいただき、「すっきり爽やかな香り」で女性ホルモンに着目したjolveが誕生しました。
ガブリエル先生をご紹介くださったIMSIにはとても感謝をしています。

 

IMSIでの講師

そんなご縁もいただき、今年からIMSIで講師もさせていただくことになりました。
先述のとおり私はIMSIの教え方がとても気に入っていたので、お話をいただいた時はとても嬉しかったです。

これまで私が経験したさまざまな出来事や習得してきた知識が少しでもみなさまのお役に立てば幸いです。
授業では、ボランティアでも使っているフロア・ボディセラピーやホルモンの話、開業の仕方などを担当させていただく予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。

以上、長文におつきあいいただきありがとうございます。

横浜・元町のアロマエステサロン:Aroma Dolphiin
http://www.aroma-d.com/

東日本大震災ボランティア団体:JILCA
http://www.jilca.org/

女性ホルモンに着目したスキンケア:jolve
http://www.jolve.jp/

タッチセラピー・ボランティア養成コースはこちら
http://www.imsi.co.jp/course/skill/volunteer.html

 
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