NATURAL THERAPIES OVERSEAS

●病院でのリフレクソロジー・ボランティア●
IMSI学院長 冨野玲子

病院内ではピンクの制服がリフレクボランティアの目印

都内大学病院で、入院患者さんにリフレクソロジー・ボランティアをさせていただいています。

月一度しか行けないのが心苦しいのですが、患者さんの「気持ちイイ~!」という言葉や笑顔が私にとって何よりも嬉しいご褒美となり、毎回ボランティアの後は、ホカホカな気分で家路につきます。

そして、様々な疾患をお持ちの患者さんと接することで「セラピストとして常に勉強しなければ!」という前向きな気持ちになるのです。

 

禁忌はナシ!様々な出逢いがある病院での活動

病室でのハンドトリートメント

大きな病院では、様々なタイプの患者さんと出逢うことができます。
「明日退院するんです!」という笑顔の方もいれば、病状がとても重い方もいらっしゃいます。

場所が病院で、医師の許可がある患者さんが対象ですから、どんな病気の方も「禁忌」ではありません。点滴の管が入っている方、人工呼吸器を付けている方、無菌室に入院されている方にも施術を行います。感染症の方には、グローブやエプロンを付けて施術を行います。

ほとんど意識がないような方にも、看護師に確認しながら行うこともあります。

 

病室でのセラピー

「医師が許可し、本人が希望すればどなたにでもセラピーを行う」という考え方は、9月に訪れたロンドンのロイヤルフリーホスピタルと同じです。

ただ、私のボランティア先では、精油やオイル類の持ち込みは禁止されています。少し残念ではありますが、ボランティアは、受け入れ先のルールに絶対に従わなくてはなりません。

ちなみに、患者さんご自身がいつも使われているローションやクリームをお借りして施術に使うのはOK。「自分の乳液でマッサージして欲しい」といった女性からのご要望も時にはあります。

 

リフレクソロジー+α、臨機応変の施術内容

車椅子の患者さんへのリフレクソロジー

施術の部位は、足がメインです。医療器具が付いている患者さんであっても、足は触れやすい部分。そして、多くの方が足の冷えやむくみ、運動不足から来る便秘、精神不安から来る不眠などの症状に悩まされているため、リフレクソロジーは病院ではどなたにも喜ばれるセラピーなのです。

リフレクソロジーに加えて、首、肩、腰のリクエストも多いです。その場合は、サイドポジションになっていただき、着衣の上から行います。顔、頭のリクエストがある場合は、(患者さんが起きあがれる場合は)座位で行うことが多いです。毎回、自分の持っている知識と技を総動員させて、患者さんへのオーダーメイド・セラピーを行います。

病院のベッドは高さの調節ができませんし、柵があったり、医療機器が置いてあったりしますので、通常のサロンワークの様な立ち振る舞いはできません。無理な姿勢で、最初は全身筋肉痛になったことも!でも、おかげで「どんな環境でもセラピーができる!」という臨機応変な対応を身に付けることができました。

 

病院ボランティアで気を付けること

先ほど述べましたように、病院でボランティアをする際は、病院のルールに絶対に従うことが重要です。さらに、あらかじめ担当看護師に、触れてはいけない部分や、気を付けることを確認しておかなくてはなりません。

腹部の手術後の方に「お腹をやって欲しい」と言われたり、「医療機器を外してやって欲しい」と言われたりするなど、予定外のリクエストをいただいた場合は、施術を中断してナースステーションに戻り、看護師に確認する必要があります。稀ですが、施術中に患者さんの容態が急変したり、気分が悪くなったりすることもあります。ナースコールの位置を最初に確認して置くのも重要です。

また、通常のワロンワークではよく使う言葉も、病院ではNGワードだったりすることがあるので注意が必要です。私の失敗談なのですが、「お辛いところはありませんか?」とつい聞いてしまい、「病気なんだから全身が辛い」と言われてしまったことがありました。

また、フワフワでとても温かい足をしていた患者さんに、つい「足、温かいですね」と言ってしまいましたが、その方は病気で微熱が続いていらっしゃる方でした。幸い、いずれの患者さんも笑って許してくださいましたが、現場で猛省することも多々あり、日々勉強の毎日です!

 

“治療”ではないからこその、スゴイ効果!

「足揉み」に大きな効果が!?

リフレクソロジーは、もちろん“治療”ではありません。だからこそ、患者さんが安心して、リラックスしてくださいます。時には、医療スタッフや家族にも言えない弱音を吐いたり、涙を見せたりすることも。

リフレクソロジーという技術を提供することだけが目的ではなく、患者さんと共にその場にいること、辛い状態にある患者さんに寄り添い共感することも、ボランティアの重要な役割です。

そんな風に、患者さんがリラックスして心身共に緩んでいるからでしょう。リフレクソロジーの施術が、素晴らしい現象を引き起こすことがあります。施術中に、便秘がちだった患者さんのお腹がグルグルと鳴り出したり、「痛みで眠れない」と仰っていた患者さんが寝息を立て始めたり。

看護師から「あの人は暴言を吐いたり暴れたりするので気を付けてください」と言われていた気難しくて有名な男性患者さん。恐る恐る訪ねてみると、なんと「病気になる前は100回以上リフレクソロジーを受けた」という超・リフレクフリーク。笑い声が病室の外まで響き渡るほど盛り上がり、看護師さんが仰天されていました。

時には、医師や看護師が「どういう風にやっているの!?」とご興味を持って見に来ることも。ある看護師の方は、私の施術を見て「なーんだ、足を揉んでいるだけ?」と思ったそうですが、みるみる顔色が良くなる患者さんを見て、その「足揉み」に大きな効果があることが分かり、とても驚かれていらっしゃいました。

 

ボランティアは絶好の学びの場

毎回、患者さんと素敵な時間を過ごしつつも、セラピストとして学ぶことも忘れてはいません。その1つが、足の観察! リフレクソロジーにとって、足へ施術を「与える」だけでなく、足から「読み取る」こともとても重要なのです。

私が病院ボランティアを始めた年は、ちょうど南アフリカのインガ・ドーガン先生のセラピューティック・リフレクソロジーを学び始めた年でした。ですから、毎回のボランティアでは、「眼を皿!」にして、東洋医学的に患者さんの足を観察させていただいているのです(写真を撮ったりすることはできないので、眼に焼き付けてくるだけですが)。

これが、実に興味深い! 外反母趾、巻き爪、ハンマートゥ(槌状趾)など……。通常は「靴のせい」と言われる足の疾患が、病棟ではとても多いのです!ある男性患者さんは、第一趾が第二趾の上に乗り上げてしまうほどの進行した外反母趾。なんと、病気になって入院してから、どんどん悪化していったのだとか。これは……「靴のせい」ではないですよね???

脾経の経絡(南アフリカDI認定リフレクソロジー・
ディプロマコース教本より)

インガ・ドーガン先生のセラピューティック・リフレクソロジーによると、外反母趾は、足の第一趾の正中線側を走る脾経の経絡の問題が外見上に現れたもので、身体からの重要なメッセージ。脾経の経絡は、足の第一趾から、鼠蹊部、前立腺、卵巣、胃、脾臓、膵臓、肝臓、胆嚢、乳房を通り、その内枝は甲状腺、喉、口を通っていますので、この通り道にある器官の状態をよく確認する必要があります。

実際、外反母趾の方は、消化の問題や、血糖値、甲状腺の問題を持っている方が多くいらっしゃいます。もちろん、ボランティアが患者さんの病状についてあれこれお聞きしたり、治療のためのアドバイスをしたりはできません。でも、この病院での足観察の経験は、セラピスト活動において、病気の予防や早期発見に大変役立っていると思っています。勉強すればするほど、病院での活動はますます興味深く、学びの宝庫となるのです。

 

「病院ボランティアをやってみたい!」と思っている方へ

ボランティアをするのに決まった道はありませんが、病院で活動をしてみたいという方へのアドバイスを挙げてみたいと思います。

① とにかくセラピー経験を積む!
技術に不安があれば、絶対に病気の方へ施術することはできません。まずは、トコトン技術を学び、解剖学をしっかり身に付けて、セラピー経験を積みましょう。

②医療スタッフに説明ができるよう、知識も磨く!
病院の面接などでは、医師や看護師、事務局の方(たいていは、とてもエライ人)に対して、自分の行っているセラピーの説明をし、質問に答えられなければなりません。「施術は得意だけれど理論は苦手……」という方、是非理論もしっかりと勉強しましょう!

③身内のケアをしよう!
私は、初心者の頃から、祖母や母など、身内に常にトリートメントをしていました(練習台、とも言えますが……笑)。特に祖母には、元気だった時代も、骨折して入院した時も、寝たきりになり、亡くなる直前まで、セラピーをし続けました。どんな環境でもできる臨機応変なセラピー、病気の方や高齢者への触れ方など、ボランティアで大切なことを身内のケアから学びました。
(祖母へのセラピーに関しては、ブログで紹介していますので、良かったらご覧ください。http://www.imsi.co.jp/tomilog/1594/
近くに身内がいらっしゃらない方は、友人や同僚、近所の方でも良いのです。困っていらっしゃる方がいたら、是非飛んで行って手を差し伸べてみてください。

④とにかく、ボランティアの門を叩いてみる!
セラピーにこだわらず、まずはボランティアの門を叩いてみることをお勧めします。「高齢者施設での傾聴ボランティア」「病院での案内係」「ホスピスでのガーデニング」など、ボランティア活動できる所は、

巷にたくさんあります。経験を積み、施設の職員の十分な信頼を得てから、「実は私、セラピストをやっているんですけど……」と切り出してみるのも良いですね。

宮武先生の東北震災被災地ボランティアJILCAなど、単発で参加できるボランティアでもありますよ!ご興味のある方、是非参加してみてください。

 

おわりに

ちょっと大げさな言い方かもしれませんが、「触れる」技術を身につけるということは、それまでの人生とは全く別の人生を歩むくらいの、ものすごく素晴らしい体験です。特に日本人は、欧米人の様に家族や友人でハグとかキスとかしませんので、わざわざ「触れる」ということは日常であまりありません。

でも、人のタッチには、特別な力が宿っているのではないかと思います。相手を大事に思って触れる時、その手から、驚くほどの愛や慈しみのエネルギーが噴き出てきます。そして、触れる人、触れられる人、周りにいる人もみんな笑顔になります。

毎回のボランティア活動では、本当に充実した時間を過ごさせていただき、たくさんの学びと感動があります。患者さんや医療スタッフの皆さん、そして関係者の皆さんに感謝の気持ちを持ちながら、これからもセラピストとして学び続け、患者さんに少しでも喜んでいただけるようなトリートメントをしてけたら……と思っています。そして、活動で得た知識や経験を、IMSI受講生の皆様に惜しみなくシェアしていきたいと思います。IMSI受講生の方でボランティアを希望される方、是非気軽に声をおかけくださいね。

 

緊急告知!
南アフリカよりインガ・ドーガン先生来日決定!

私のリフレクソロジーの師匠、インガ・ドーガン先生の来日が決定しました~! 南アフリカではリフレクソロジーは国家資格ですから、「ホリスティックな方法でシッカリと結果を出す!」ことにこだわったメソッドなのです。インガ先生のセラピューティック・リフレクソロジーは、「東洋医学的な診断学」+「イタ気持ちいい反射学&経絡の施術」+「栄養学的アドバイス」の3点セット。クライアントを診る洞察力と、本当に効果のあるリフレクソロジーテクニックを学びたい方、是非インガ先生から学んでみませんか?

 

インガ・ドーガン来日ワークショップ
セラピューティックリフレクソロジー ~腸内環境と東洋医学~

2015年6月13日(土)、14日(日)

 

見どころその① 「腸内環境」を制する者は健康を制す!

アレルギー、肥満、皮膚疾患、うつ……etc。現代人に見られる不調につながる腸内環境がテーマ! 腸内環境を学ぶことで、クライアントの状態を深く考察し、的確なアドバイスをするための知識が身に付きます。

 

見どころその② 創始者から直接実技が学べる!

2014年のワークショップでは「インガ先生から実技を学びたい!」という声が多く聞かれました。ご要望にお応えする形で、今回は実技指導を行います!創始者から直接「反射区と経絡」の秘伝の技を伝授してもらえるまたとないチャンスです!

 

見どころその③ 食事について確信が持てる!

「世の中に溢れるたくさんの食事療法。どれを信じていいのか分からない……」という方、「30年間病院に行っていない! 健康保険にも入っていない!」というインガ先生の、東洋医学に基づいた栄養学を学べば、きっと確信が持てますよ!

 

見どころその④ 起こりうる病気を予測し、未然に防ぐ術を学ぶ!

経絡と反射学が分かれば、人の顔や足を見て、どこの経絡の気が滞っているのか分かるようになります。そうすることで、起こりうる病気を予測し、未然に防ぐためのアドバイスが可能になるのです!セラピストとしてはもちろん、自分や家族の健康のために、必須の知識です!

インガ先生の斬新なアプローチを知れば、セラピストとしての世界が、180度どころか360度開けますよ~! セラピストとしてブラッシュアップしたい方、家族や自分を病気から守りたい方、是非学びにいらしてください!

 
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