NATURAL THERAPIES OVERSEAS

●スポーツとアロマセラピー●
スポーツトレーナー、健康運動指導士として活動する体育会系アロマセラピストとして
横山 亜希

ジャージでアロマ

いつもジャージ、異色のIMSI講師、横山です!
アロマセラピストなのに、スポーツトレーナーで、健康運動指導士。

活動の場もプールサイドだったり、河川敷だったり、はたまた、スポーツクラブだったりと、どう見てもアロマセラピストがいるとは思えない場所ばかり。

そして、担当授業も「筋コンディショニング」と、どこから見ても体育会系!

そんな私の経歴と活動をご紹介いたします。

 

人生を変えた水泳の選手コース

バレエの発表会

私という人物を語る上で絶対に外せないもの、「水泳」。
実は、小学生になるまでは全く泳げず、バレエをやっていました。

 

初めての大会

決して、人より泳げた訳でも、速かったわけでもなかったのですが、スイミングスクールに通い始めて1年、突然選手コースに誘われました。

今でもこの時のコーチがなぜ私を選んでくれたのか本当に不思議でたまりません。

当時の私は、「バレエの先生はすっごく恐いから、水泳の選手になる!」と、選手コースの道を選びました。しかし、選手コースのコーチも物凄く恐い人で、結局、どちらに進んでも指導者は恐かった訳です(笑)。

 

選手からサポート側へ

体育大生時代は全然ジャージを着ていませんでした

高校まで選手を続けていましたが、高校最後の大会で0.01秒差で決勝を逃し、「私は水泳では生きていけない」と現実を受け止め引退を決めました。

そして、「選手はやめても水泳に関わりたい!でも水泳以外の運動はできない。

そういえば健康には水泳がいいらしい。
ならば健康学科だ!」と考え、順天堂大学スポーツ健康科学部健康学科に進学しました。

 

体育大に入学したものの、水泳以外のスポーツは全くできないので教員免許も取らず、「なんで体育大にきたの?」と聞かれる体育大生でした。

とはいえ、順天堂に入った目的は水泳に関わり、健康科学と水泳をどうにか結び付けることだったので、水泳部のマネージャーになって選手のサポートをしながら、日本水泳連盟の学生委員会で大会運営に携わりました。

大学の垣根を超えて協力し合い、大会の舞台裏で活動できたことが、後のトレーナーとしての活動に生きるのです。

アロマセラピーと運命の出会い!

大学3年生のタイ合宿の直前、監督の鈴木大地さんから「亜希、アロマ好き?」と訊かれ、
水泳部のOG、嵯峨先生に会うことになりました。

既にIMSIの講師をされていた嵯峨先生から、「選手のケアにアロマセラピーを試してみない?」との提案を受け、ラベンダーを使った日焼けケア用のスプレー、ブレンドオイルを合宿に持って行き、本を見ながら見様見真似で人生初のアロマトリートメントを行ったのです。

ちょうど就職活動まっただ中。

「もうこれは、アロマトリートメントができる仕事に就くしかない!」「アロマ = エステ」と思い込み、某大手エステティックに就職を決めました。

 

エステで脱毛、脱毛、脱毛の日々……

期待に胸を膨らませ臨んだ新入社員研修で、愕然としました。
「脱毛班に配属となります」。

今では、あまり耳にすることのなくなったニードル脱毛。研修を終え店舗に出ると、脱毛、脱毛、脱毛……。
たまにフェイシャルのお客様にパック中にハンドトリートメントをすることが唯一の救いでした。
やはり、お仕事なので売り上げを上げることがメイン。ノルマと戦い続け、他店のヘルプで他県まで行くこともしばしば。

次々に同期が辞めていく中、自分自身も今まで経験したことのない肌荒れに陥ったことから
「健康があってこそキレイになれるはず!」と健康科学を思い出し、ようやくエステと自然療法は違うのだと気づきました。

運動と自然療法が一緒にできる施設をネット検索で偶然見つけ、求人も出ていないのに、直接電話をして勢いで採用してもらい、タラソテラピーの施設に転職をしたのです。

 

ようやくたどり着いた自然療法「タラソテラピー」

テルムマランパシフィーク

タラソテラピーリゾート・テルムマランパシフィークは、海水を使ったプールがメインの施設。

「プールで自然療法だなんて、私のためにあるとしか思えない!」と、エステを退職した次の月には南房総の勝浦に引っ越し、念願のセラピストに。
しかし、体育大卒ということで、運動指導するセクションに配属。

海水を使って行うハイドロセラピーや海藻のパック、アルゴセラピーなどは担当出来るようになったものの、ボディやフェイシャルを担当するのはビュティーセクションのセラピストだけ。

諦めずに直談判して、何とかビューティーの研修に入れてもらいボディやフェイシャルメニューも担当させて頂けるようになりました。

新人にも関わらず、自分のやりたいことを押し通すわがままっぷり、あの頃を振り返ると当時の上司に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

IFPA資格取得! そして東海大学水泳部トレーナーに!

インカレ帯同中!

タラソテラピーリゾートで働きながら、更にステップアップするためにIMSI に入学。
この年は、勉強の年と決めていたため、IMSIのIFPAコースと並行し、スポーツアロマトレーナーのための勉強も始めました。

また、健康の3要素「運動・休養・栄養」を軸としたセラピーを専門にしたいとの思いから健康運動指導士の資格も取得することに。さすがに勝浦からの通学が難しくなり、退職しました。

IFPAのケーススタディ60症例とスポーツアロマトレーナーの30症例を取り始めた頃、幸運なことに友人から東海大学水泳部を紹介してもらうことになりました。

とにかくアロマセラピーの良さを知ってもらうために、真新しい精油ボックスとタオルを持って、コーチにアロマセラピーを体験してもらいました。そして、勢いと熱意が伝わり、東海大学水泳部のトレーナーとして受け入れてもらえることになったのです!

水泳は、オリンピックでもメダルが常に期待される競技。
日本人が世界で戦っていくため、緻密なトレーニング計画が組まれ、世界最先端のスポーツ科学を駆使したトレーニングメニューが取り入れられています。

トップ選手が所属する東海大水泳部は、最先端のトレーニングが行われているだけでなく、医療との連携もとれていて、管理栄養士、薬学博士、理学療法士、鍼灸あん摩マッサージ師、整体師、フィジカルトレーナーが所属し、サポート体制が充実しています。

様々な専門家と一緒のチームの中でアロマセラピストとして活動することは、とても良い経験になりました。
そのような環境で仕事をする中で、解剖生理学や体表解剖の必要性を痛感し、必死に大学やIMSIの教材で復習したものです……。

 

スポーツアロマトレーナーとして国内外を飛び回る日々

北アリゾナ大学プール

フリーランスのアロマセラピスト、健康運動指導士としても活動をしながら、スポーツアロマトレーナーとして、日本水泳連盟が定める記録を突破している選手のみが参加できるインターナショナル合宿、世界大会の代表合宿などに帯同するなど、目まぐるしい日々を送ることになりました。

日本選手権や日本学生選手権では、期間中、早朝から深夜までフル稼働で1日に数十人ケアすることも。

ハードな仕事のお陰で、過酷な環境に耐えられる強靭な体と、体力の限界までケアにあたれる精神力が得られました(笑)。

 

乳酸値測定のお手伝い!

ここでのアロマセラピーを使ったケアは、筋疲労を取ることがメインの短い施術。

更に冬場で風邪などをひく選手が多かったため、各部屋にスイートオレンジ、ユーカリラディアタ、ラベンダー、クローブなどの精油を焚き、感染症対策も行いました。

 

スポーツアロマの独特な活用例

IFPA同期とスポーツクラブで体験イベント!

チャリティー大会パラカップでスポーツアロマ!

① 選手のモチベーションアップに!

以前、40名ほどの選手のいるチームを担当したのですが、全員へのケアは、時間やコスト等、様々な要因で叶いませんでした。
そのため、「トップチームの選手は、いつでもアロマを希望すれば受けられる」「その他は、ケガからの回復期の選手、コーチから指示があった選手のみ」と、同じチーム内で区別してみました。
一見マイナスのようにも見えるのですが、選手たちの反応を見ると、「JAPAN(日本選手権標準記録)を切ったら受けに行きます!」「今度は絶対に決勝に残って、アロマ受けます!」など、アロマトリートメントを受けることができることがモチベーションアップの1つの要因になっていたのです!

② 香りと記憶の結びつきを活用!
スポーツの世界は、厳しいものです。いつも勝てるとは限りません。
香りは記憶と結びつきやすいため、特にレース前はブレンディングにはとても気をつけ、8~10種類の精油を使い、特定の記憶と直結しないよう複雑な香りに仕上げます。
レース後は、もし結果が良ければ好きな香りをさらにプラスして、成功体験と好きな香りを結びつけるということもあります。これを活用して、大事なレースの前にモチベーションが上がらない時、以前の成功体験と結びついた好きな香りで軽いトリートメントをするということもします。

「アロマで予防医学!」 一般向けの地道なセラピー普及活動
現在は、トレーナーとしての活動に加えて、一般向けにスポーツアロマを普及させるために、スポーツクラブ内でのイベントも行っています。

 

スポーツクラブ内サロンイベント!

東京でのオリンピック開催が決定したことで、さらにスポーツへの関心が高まり、マラソン大会など様々なスポーツイベントが開催されるようになってきています。

スポーツ人口が増えることはとても嬉しいことですが、一般の方が競技としてスポーツに取り組むとなると、心身のメンテナンスも必要になってきます。
しかし、今までケアする習慣がないため、ケガをしてからその必要性に気づくということが多くなってきました。

アロマセラピーなどの自然療法は、本来持っている自然治癒力を高め、より健康になるための1つの手段。ケガをしてから治療やケアをするのではなく、自然療法を活用して、「なる前に、ケア!」ができると、より楽しく長くスポーツをすることができます。

これは、スポーツに関わることだけでなく一般の人々に対しても言えることで、健康を害してから治療やケアをするのではなく、より健康な状態を維持して、長く生き生きとした生活をしていきたいですよね。
この考えを広めていくため、地道にイベントを開催しています。

 

健康運動指導士として

国が進めているヘルスプロモーション政策に「健康日本21」という、健康のために運動を取り入れていくものがあります。

この政策では、健康の3要素のうち「運動・栄養」に特に焦点を当てていて、特定保健指導、いわゆるメタボリックシンドロームの予防・改善を行っています。
ここに、健康の3要素の最後の一つであり、アロマセラピーなどの自然療法が最も得意とする「休養」をもっと積極的に組み合わせることができれば、更に良いものができていくと思い、活動しています。

私は、高齢者への健康運動指導も行ってきました。
健康のための運動は、大会で勝利するなどの目標ではなく、今後起こる可能性のある疾病の予防や、健康寿命をできるだけ長くするためのものなので、モチベーションを維持し、継続するのが難しいのです。

ここで、アロマセラピーなどの自然療法を取り入れ、痛みなどがあり動かすことの困難なところを緩和したり、または、トリートメントを受けることをご褒美として活用したりすることできれば、もっと普及していくのでは考えています。
その取り組みの一つとして、現在スポーツクラブ内でのイベントやセルフケアセミナーなどの活動を通して、運動と自然療法を組み合わせた新しい健康増進プログラムを提案しています。

これからの高齢化社会、そして医療費削減対策として、治療ではなく、予防医学の観点で行うことのできる運動と組み合わせた自然療法の新しい形を皆さんに発信していきます!

 

IMSI講師として

パートナー、Mr. Bone!

私が担当する授業は実技が多く、担当講座も「筋コンディショニング」「解剖生理学」「体表解剖ワークショップ」など、筋肉について語ることが多いので、完全に筋肉マニアだと思われていると思います(笑)。
ただ、これにはちゃんと理由があるのです。

アロマトリートメントの手技は、スウェディッシュマッサージが基本となっていて、筋肉や軟部組織にアプローチし、血液循環を良くしたり、筋肉や軟部組織の柔軟性を高めたりすることが目的です。
でも、実技の練習をすると、どうしても自分の手に目が行ってしまい、筋肉や軟部組織にアプローチしていることを見失ってしまうことがよく起こります。

セラピストの方には、まずは人体の構造を知り、「何を触れているのか?」「何を目的でしているのか?」ということに興味を持って頂きたいのです。

 

人体を知って効果的なセラピーを

筋肉に対するスポーツアロマであっても、リンパや経絡、エネルギーにアプローチするセラピーであっても、人体に触れるのは一緒。

人体の基本構造を知り、常に意図を持って触れるということを意識してみてください。

今までよりセラピーが、もっと意味のある効果的なものになっていきますよ!

担当授業では、人に触れる全てのセラピストにとって役立つ「筋」「骨格」「組織」など……人体の魅力を、どこよりも分かりやすく、じっくり、タップリとお伝えしたいと思っています!

これからも、よろしくお願いします!

 
ページトップへ