NATURAL THERAPIES OVERSEAS

●不器用と言われる人が、自分らしく輝いていくために●
器用になりたい人に贈るブレインジムと原始反射の統合
嵯峨 慈子

不器用だった私が「器用」をサポートする側に

「わ〜〜っ! すご〜い! この歳で、器用になってる〜!!」

日頃、ブレインジムや原始反射のレッスンでよく聞く言葉です。
神経回路を作りにくいと思われる大人でも、身体を使うプログラムによって行動が変化します。ポジティブな変化を体験として積み重ねていくことで、人はいつでも成長することができます。

私のところには、
「昔から不器用で、その理由が原始反射にあるというのをサイトでみたのですが……」
とか、
「私の息子のことですが、不器用なところがあって運動や勉強が苦手なようで……先生、一度見てもらえませんか?」

という、問い合わせがよく入ります。状況をお話されるときに「不器用」と表現する方が多く、そのことがネックになっていると感じているのだと思います。私自身も子どもの頃、ラクに習得できることがほとんどなく、学校に行きたくない日がたくさんありましたし、学生から社会人になっても上手く作業ができずに苦労した経験があります。そんなこともあって、脳と身体について学びを深めて自分自身が器用になっていく体験をしたときは、すごく嬉しく、感動しました。

器用になりたいと思っている方、お子さまの成長に不安を感じていらっしゃる保護者の方の中には、何かの参考になることがあるかもしれませんので、是非この先も読んでみてくださいね。

※ブレインジムとは
脳を活性化していく学習プログラム。米国で開発され、教育、福祉、スポーツ、ビジネス分野にて、80ヵ国に普及している。

※原始反射とは
脳や身体の発達の土台となっている胎児から乳幼児期の身体の動き。運動能力や知性、感情との結びつきが深く、反射の影響を受けていると、思考や動きの質が低下することがある。

 

「不器用」の意味・「器用」の意味

心地よく脳力開花をサポートする「才能」を磨いている

ここで、ちょっと「不器用」と「器用」について国語辞典をみてみます。(三省堂「大辞林」から引用)

「不器用」
① 器用でないこと。手先ですることなどが下手なこと。また、そのさま。ぶきっちょ。
② 物事の処理の仕方が下手なこと。要領が悪いこと。また、そのさま。
他、古く浄瑠璃に語源をもつ、このような説明も。
③人道にそむくこと。卑劣なこと。また、そのさま。

と、あります。不器用=器用でないこと、とありますので、今度は「器用」をみてみます。

「器用」
① 細かい仕事を巧みにやりとげる・こと(さま)。 「手先の-な人」 「 -者」
② 何事をも巧みにやりとげる・こと(さま)。 「何でも-にこなす」 「 -貧乏」
③ 要領よく、抜け目なく立ち回る・こと(さま)。 「政界を-に泳ぎ回る」
他、日本古来に語源を持つ、このような説明も。
④ 役に立つ才能のあること。また、その人。
⑤ いさぎよいこと。潔白であること。
⑥ 容貌。人柄。

と、あります。

「器用になりたい!」と思っている方、これを読んで何か感じることはあったでしょうか?

私は器用の意味を見たとき「あれっ?①〜③の意味は、そんなに欲しくないな」と感じました。と同時に、④〜⑥の部分に興味を持ち「えっ?! 器用という意味に、こんなことがあるの?! これ、いいじゃない! こっちを優先にしていこう!」と思ったのでした。

 

役に立つ才能としての「器用」を輝かせていくために

私自身は「器用とは、自分という器(うつわ)を活用していくこと、活用しやすいように整えていくこと」だと捉えています。

それから、先ほどの国語辞典にもあるように、自分の才能を引き出しながら、自分にも周りにも役立つこと、これを理想としてワークを提供しています。

私が日頃していることで、器用を磨いていくためのポイントを選び6つほど書いてみます。

① 思考と感情・行動にストレスがなく、連携していること

アタマだけでもダメ、自分の身体の先までみておく

自分の気持ち感情を無視して行動したり、アタマ(思考)だけで判断して行動したりすると、脳の中で葛藤や混乱が生まれます。すると、脳の指示系統が不安定になり、よりよい行動に結びつかないのです。

反対に、思考・感情・行動の3つのバランスがとれ、上手く連携してくると、途端に人は能力を発揮しやすくなります。

 

②  器用の土台となる、身体への刺激(動きや筋肉、神経のルート開発)を行うこと

親子イベント「ブレインジム&アート」楽しく身体を動かす

自分らしさを決定しているのは「脳」とそこから生まれる「動き(行動)」です。

ストレスなく身体が楽に動くことは「器用力」につながります。そのためには、脳とつながりを持つ、身体への刺激が大切。子どもはもちろんのこと、大人でも神経ルートを開発していくことができます。

 

③ 五感を活用していくこと

アロマ&ブレインジムの組み合わせから相乗効果が生まれる

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚……皆様もご存知のように、五感の活性は人の成長に欠かせない要素です。

実は、不器用だと感じている人は、単にこれらの機能を上手く活用できていないだけのことが多いのです。

五感を有効に使うことに対して、人はたくさんの潜在力を持っています。

 

④ 他人と比較しないこと、基準を意識しすぎないこと

人と比較して、自分はできないから頑張る、というような目標設定をすると他人軸になってしまいます。

軸が他にあると、自分の脳と身体の連携が難しくなります。器用であることとは、自分の器(うつわ)を活用しやすいように整えていくことですから、最も意識したいのは自分自身です。

⑤ 自分の一番苦手なことから解決しようとしないこと

新体操の先生からフープを、
簡単そうなことから教えてもらっている

最も苦手なことは、悔しかったり、苦しかったり、悲しかったり……
たいてい、ネガティブな感情とセットになって記憶されています。

不器用から器用に変容するときに、今までの歴史を切り替える作業が必要ですが、最も苦手なことに対しては、ここに時間がかかります。

少しだけ苦手なことから始めたり、今すでにできることを、レベルアップさせていく方から始めたりすると、効果が期待できます。

 

セミナーに参加された人の声 (ブレインジム認定コースから)

五感や左右の脳を刺激しながら器用の土台をつくる

「不器用」について、弱点の克服や、対処法のみのトレーニングでは、なかなか幸せに結びつきません。
「脳と身体の発達」や「人の可能性を広げていくこと」を意識したトレーニングが大切です。

○ 40代 スポーツ指導者
思考と感情、感覚のバランスは、自分で整えることができる、と知るだけではなく、体感をできたこと、周りと競争しなくてもよい、ということを改めて気づけたことが、とても役立つと思います。自分の身体で、まだ眠っている部分があることがわかり、楽しみながら学べました。学ぶ場の空気がとても大切なのだと改めて感じました。すごくリラックスして学べました。先生には、仕事につながる色々な材料を教えていただきました。本当に全員の方に感謝です。ありがとうございました!

○ 40代 教育従事者
目と手、耳、足の感覚統合のためには脳の統合が必要であること、また気づき(感情や体感)が本当に重要なのだとわかりました。自分が無理そうだと思ったことも、自分の脳の状態や体感覚を知り、気づきを得ながら学びのメニューをすれば統合され、ラクに目標に向かっていけるのだ!!ということを体験できました。嵯峨先生や、他の受講された方々の経験から、自分にもあてはまるような気づきをもらうことができました。ありがとうございました! この出会いに感謝です。

 

今、どちら側の脳が活性化しているのかを確認中!

⑦ 40代 セラピスト
悩みは自分で作っていて、また、自分で簡単にとりのぞくことができる。いろいろな発想に気づく、大切さがわかりました。「脳と身体のつながり」が前回よりもさらに実感できました。自分を大切にする、肯定することが、人にとってものすごく良いエネルギーになることを体感しました。ブレインジムの体操を使って問題をクリアにしていきたいです。色々な体験談を聞く機会が持てたことがよかったです。前に進もうとしている感覚が伝わってきて、いい刺激を受けました。何よりも、とーっても、楽しかったです!

○ 30代 商品企画
シンプルなアクティビティがこんなにも生活(身体や心の状態)をよくしてくれるとは思っていませんでした。コースで学んだことは、自分をみつけたり、目標の決め方が楽にできるようになったりしたこと、PACEの大切さ、音楽の大切さです。集中できないとき、まとめなければいけないとき、事務仕事、家事、子育てに、人生においてブレインジムをすることで、ひとつ上のステージに進めた気がします。皆様と楽しくて、幸せな時間が過ごせました。ありがとうございます。今後も是非つながっていたいです。嵯峨先生の声の導きに癒されました。感謝です。

 

自分らしさや強みに気づき、器用を磨いていくこと

脳と身体の調和を伝える仕事は天職なのです

不器用と感じる方に、「器用貧乏」は必要ないのです。世にはたくさんの人が暮らし、助けながら生きているのだから、ひとりがオールマイティでなくてもいいのです。

オリンピックでメダリストを育てた指導者などのお話を伺うと、意外にも「○○は本当に不器用でね〜。長く、パッとしていなかった。でも、これだけは、という光るものがあったんですね。そこを大切に伸ばしていっただけなのです」という話をお聞きします。また、スポーツ選手だけでなく、著名な芸術家や、音楽、ビジネス分野でも、自分の人生を振り返り「不器用だった」と話される方が大変多くいらっしゃいます。きっと、不器用だったことを自分の強みに変えて、自分ならではの器用さを創りだしてきたのだと思います。

誰もが知っているような有名人ではなくても、優秀な指導者や、素晴らしい子育てをする親は、「なんでも、すぐに、そつなくできた人」は少ないのです。きっと、不器用だった体験が、自分だけでなく、人に役に立つときに強みになっているのでしょう。

ですから、今、不器用で悩む方も、簡単にあきらめたり、自分を否定したりする前に、今の過ごし方にちょっとの工夫を加えていくことを提案いたします。これからの過ごし方によっては、思わぬ才能を開花していくチャンスがあるのですから。

 

原始反射や脳への理解は、
セラピーをする時にとても役立つ

初めは、自分の強みや自分らしさを見つけるのは難しいと感じるかもしれませんが、信頼できる人たちに出会い、助けをかりながら徐々に気づいていくことができるのです。

私自身もいい指導者や友人に恵まれました。
そんな感謝も込めて、自分の個性をいかしながら、器用さをさらに磨いていくことで、これからも家族、会社、社会での役割も果たしていきたいと思っています。

 

おまけのお話「競技スポーツと器用、不器用

小学生低学年では運動が楽しくなるための土台を!
皆、試験も合格に!

~運動が得意なはずのスポーツ選手でも、緊張やプレッシャー、怪我、コミュニケーション力不足から、不器用に感じられることがあります~

7月、8月は夏休みシーズン。幼稚園から中学生までのお子さま向けのレッスンが続きました。海外からのスポーツ留学帰りの中学生、野球少年など、スポーツブレインジムや原始反射について、お母さまが独自にリサーチされ「子どもに学ばせてあげたい!」と親子で参加。遠くは、船や新幹線にのり、はるばる、私の提供するワークをみつけてご参加いただき、ありがたい思いです。

世には、様々なことに対して、○○ができるようにテクニックはたくさんありますが、「学ぶための土台に働きかける」のメソッドは珍しいものです。日頃、お伝えしているメッセージが広がり、セラピストや子育て中の保護者さま、スポーツ指導者の中でも共感される方が増えてきました。そういう方からの嬉しい報告が増えるようになり、笑顔がこぼれます。

 

全国大会での活躍が目標。
選手自身も「脳と身体」を使いこなす学びを!

今後のセミナー予告をひとつお知らせします。競技力向上委員会での指導者講習会ですが、このコラムを読まれる方にはスポーツをされている方、スポーツをするクライアントを持たれる方、運動部に所属するお子さまをもつ保護者さまもおられると思いますので、講座の内容を紹介します。

『緊張の中でもパフォーマンスを発揮していく選手のために』
〜脳と身体が心地よく成長していくアプローチ〜

このような指導者の方へ
☆自分が選手の時に緊張をしやすかったので、その対応についてもサポートしたいと思われている方
☆自分は本番に強い方なので、なぜ選手が緊張するのか実感しにくく、良い方法を模索中の方
☆一方的に「教える」だけでなく、選手を「育てていくこと」を大切と感じる方
など。

<主な内容>
○ 緊張があるとき、人間の内側ではどのようなことが起きているのか? 選手の立場から理解していきます。
○ 緊張に対して、人間の内側ではどのような準備をしたらいいか、実践的なアイデアとエクササイズを紹介します。
○ 毎日の練習でこそ取りいれたいこと、について話します。
○ 子どもへの指導、大人への指導で、どのような違いがあるか、お伝えします。
○ 選手のアタマの中は、指導者からの言葉でいっぱいです。言葉がけで意識したいことについて、触れていきます。

<主 催> (公財)大田区体育協会様
<後 援> 大田区

スポーツ選手と不器用は一見、関係なさそうと思われがちですが、実は同じような学びが役に立つことがあります。なぜかというと、スポーツをしている人は楽しい「だけ」でやっている人を除き、多かれ少なかれ、勝負をしています。勝負で順位をつけるということは「他との比較」が普通にあり、例えば、他者に対して自分より器用でセンスがあると感じたり、自分はセンスがないと思いやすい状況があります。また、大会では緊張やプレッシャーによって、身体が上手く動かないときもあり、一時的に不器用な状態を体験することもあります。

一時的に不器用になるのは、緊張やマイナス思考、恐怖や怪我などの理由で、練習でも大会でも日常的に起きます。そんな時には、不器用になる仕組みについて知ることが役立ちます。これらに気づき、準備をしていくことは、個性を強化していくことと同じように重要なのです。

このような考えは単に「指導者向け」だけでなはなく、選手自身が知っていても便利ですし、小学生から高校生くらいまでの選手なら、毎日生活を共にしている保護者が知っていると強力なサポートになると日々の活動から実感しております。

脳と身体がつながって、よりよいパフォーマンスが発揮でき、緊張に苦手意識のある選手でも確実に成長していくためのサポート。「誰でも可能性を引き出していく」とう視点から、今後もお伝えしてまいります!

 
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