●トドマツ精油の蒸留体験●
~北海道下川町のフプの森を訪ねて~
IMSI学院長 冨野玲子
アロマセラピストであれば、一度は体験してほしいこと・・・。それは、精油の産地を訪ねること!
実際の植物に触れて、生の香りを楽しむ体験は、ボトルに入った精油を眺めて、化学成分を勉強するのとは全く違うインスピレーションをセラピストに与えてくれるのです。フランスのプロヴァンスも良いのですが、実は、日本にも素敵な精油の産地がたくさんありますよ。
私がこれまでに、仕事でもプライベートでも何度も訪れた、大好きな場所があります。それは、北海道・下川町です!
ここは、アロマセラピストだったら絶対に訪れてほしい場所なのです。春、夏、秋、冬、どのシーズンに行っても、素晴らしい景色が待っていてくれます。
下川町とは:
旭川の北方100Km に位置する下川町は、面積は東京23区とほぼ同じ大きさで、町の約90%を森林が占めています。
この森林を活かした林業が町の基幹産業となっているのですが、そのゼロエミッション(廃棄物ゼロ)の木質資源活用、FSC(Forest Stewardship Council)取得などで、全国でも注目を集めている場所なのです。2000年より下川町森林組合が、それまで使われていなかったモミ(トドマツ)の葉から精油を抽出し始めました。現在は、精油の抽出と販売はフプの森(http://fupunomori.net/)に引き継がれていて、良質の国産北海道モミ精油を全国のアロマセラピーサロンやクリニックなどに届けています。
今回は、フプの森の皆さまにご協力をいただき、旅好きのガブリエル・モージェイ先生と共に、北海道下川町を旅してきました。
まずは、フプの森が所有する森へ。
ここは、野生のトドマツ(精油名は北海道モミ)が生きています。森に入るだけで、既に芳香が漂っています。ガブリエル先生、我を忘れてずーっと写真を撮っていました。
林業では売ることのできない生え方をしている木を選び、伐倒します。
香りをお届け出来ないのが残念ですが・・・、フレッシュなコニファー調で、甘さと辛さと爽やかさが素晴らしいハーモニーを奏でているトドマツの葉です。切り口からにじみ出る松脂は、また違った芳香エネルギーで、本当に良い香りでした。
丁寧に葉っぱを取って、袋に詰めます。トドマツの蒸留は、新鮮さが重要。すぐさま、車で蒸留工場へ運びます。
さて、工場に着いたら、休む間もなく、葉っぱの計量。これは、認証を取る上で重要なのだそうです。
籠にたくさんトドマツの葉を詰めて、籠ごと蒸留釜へ。フプの森の蒸留装置は、なんと、森林組合で蒸留を始めた頃に、オリジナルの設計で創ったのだそうです。
ボイラーからの蒸気が蒸留釜の中に入り、トドマツのエッセンスと蒸気の混合がタンクの中の冷却コイルで冷やされて精油と芳香蒸留水になります。
2時間後、釜を空けて、ホッカホッカのトドマツの葉を取り出します。
なんと、トドマツで足浴という、嬉しいサービスをしていただきました。
通常は、このトドマツの葉は枕の中身として使われるのだそうです。
そして、タンクから精油を丁寧にすくいます。
上に浮いているのが精油で、下が芳香蒸留水。美しく輝いていました!
スポイトで、瓶に詰めて、できあがり!
「トドマツの精油には、五行の全てが詰まっている!」と、ガブリエル先生も大絶賛でした。実際、神経鎮静作用、呼吸器系への作用、筋肉への作用など、トドマツの精油には様々な作用が知られています。
今回、トドマツの採取から精油の抽出までの全てを見せてくださいました、フプの森の皆さん、ありがとうございました。
皆さんの、トドマツを愛する気持ち、誇りを持ったプロフェッショナルなお仕事っぷり、温かいホスピタリティーに感激しました。トドマツ精油と芳香蒸留水、大切に使わせていただきます!
北海道モミ精油は、IMSIウェブショップでもご購入いただけます
http://www.imsishop.com/
国際プロフェッショナルアロマセラピーディプロマコース<英国IFPA資格対応>
http://www.imsi.co.jp/course/aroma/diploma.html
英国IFPAアロマセラピーオープンキャンパス
http://www.imsi.co.jp/session/