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●ウガンダでのリフレクソロジーボランティア●

ウガンダでは、政府軍と反政府勢力との間で、和平に向けた動きがあるものの、依然として戦闘が続いています。地域住民や避難民キャンプが襲撃され、虐殺、四肢の切断、児童の拉致、レイプ、強盗、窃盗、外国人NPO職員の襲撃など、残虐な暴力が大規模に行われています。更に、部族対立による武力衝突も多く発生。衛生状態も悪く、きれいな水、食料も、医療も不足しています。

そんな中、英国AoR会員リフレクソロジスト達が、現地の人々にリフレクソロジートリートメントを教えるボランティアを続けています。
AoR会員によるレポートをご紹介しましょう。

Reflexology Outreach International (ROI)リフレクソロジー・アウトリーチ・インターナショナルは、2000年に設立された英国政府公認のチャリティー団体です。アフリカ、アジア、インド、ウガンダなどの発展途上国において、HIV/エイズや重い病気に苦しむ患者のケアをしている貧しい人たちを対象に、無償でリフレクソロジートレーニングを行っています。2001年から計5回、様々な国へ使節団を派遣し、ウガンダ国内だけでも今まで600名に対して、リフレクソロジーを伝授してきました。

ROIメンバーは、2004年10月、一年ぶりにウガンダへトレーニング遠征を実施しました。まず、カンパラという町にあるThe Aids Support Organisation (TASO)エイズ・サポート・オーガナイゼーションで、リフレクソロジーの短期集中トレーニングを行いました。

生徒は皆、大変熱心に学び、リフレクソロジー実技や解剖生理の理解に対して、素晴らしい能力を示してくれました。基礎コースは一日3時間、合計5日に及び、全日程を修了して初めて認定書が授与されます。これよりレベルが上の、リフレクソロジートレーナーを目指すには、さらに試験を受け、ケーススタディを6ケース(それぞれに対し、6回以上のトリートメント)取ることになっています。

カンパラ滞在中の二日間、ムラゴ病院にて午後の時間を“クリニックデイ”としました。基礎クラスをすでに修了しているアドバンスレベルの生徒たちに対して、AoR会員リフレクソロジストのデモンストレーションにより、どのように医療臨床現場でリフレクソロジーを実践するかを見学してもらいました。

その後、ムバレ、トロロという町でも、TASOのメンバーとナースなど医療スタッフ向けに、同じ研修を行いました。ムバレの看護士は非常に熱心にリフレクソロジーを学び、リフレクソロジーを病院へ導入したいと思っているようでした。どの町でも生徒はみな学習意欲が盛んで、医療現場での関心を非常に高く持っていました。去年基礎コースを修了した生徒たちも、更なるレベルアップを目指して、再びトレーニングに参加してくれました。各地でコースを修了し、それぞれの素晴しい卒業生たちに認定書を渡す時は、大きな達成感を感じるとともに、言いようのない別れへの切なさがこみ上げてきます。

今回の遠征で、ウガンダでは126名へリフレクソロジーを伝授、カンパラ9名、ムバレ2名、トロロ1名の計12名のトレーナーを育てて帰国しました。アドバンスドコースの生徒が取ってくるケーススタディはどれも非常に興味深く、驚くべき発見も多く、HIV/エイズ患者への臨床データーという意味でも、大変貴重な情報源となっています。私達は、この研究の重要性を強調し、もっと広く世界の人々に知ってもらいたいと、意欲を燃やしています。

ウガンダ各地に広がりつつある、TASOのリフレクソロジーによるHIV/エイズ患者へ貢献度は大きく、将来へ期待が寄せられています。しかしながら、人々の間にはまだHIV/エイズ患者への偏見があり、「TASOへ通うことを人に見られることで、患者だと知られたくないから」という理由で、リフレクソロジートリートメントを受けにこられない男性患者が多いのも事実です。こうした社会文化的な理由がトリートメントの普及を阻み、病気の蔓延につながっていることは、大変残念なことです。

 

2005年AoRが行ったチャリティー活動

英国内に数多く存在する各種チャリティー団体と、AoRメンバーとの協力活動は、積極的に行われています。2005年、AoRはThe Association of Children’s Hospices (ACH)を支援。ACHは英国政府公認のチャリティー団体で、英国全土にあるすべての児童用ホスピスの組織です。英国各所のホスピスでAoRメンバーが活躍しています。

日本ではなじみの薄いこのチルドレンズホスピスとは―成人に達する前、もしくは、成人後わずかな期間で死を迎えると診断された子供や若者、その家族と友人をサポートする施設です。ホスピスを利用している子供や若者はみな、ニューロンセロイド脂褐素症*
などの遺伝的疾患、筋ジストロフィー、致命的ながんや心臓の病気など、大変重い病気を患い、苦しんでいます。子供がよくかかる病気、もしくは小児病の多くは、遺伝的な要因もある為、兄弟にも同じ病気の子供がいるというケースも珍しくありません。こういった病気の多くは、現在の医療技術をもってしても治療方法が確立されておらず、もし治療法があったとしても効果を奏さず、治療目的の医療行為から、苦痛緩和の緩和ケアへと移行しています。

子供たちが闘っている病気の多くは、長い年月をかけてゆっくりと悪化していくため、家族の人生にも、同じ期間非常に重い試練が課されることになります。旅行や家族の行事も制限されるか、もしくは全くできなくなり、両親は自分たちのプライベートな時間はおろか、食事や睡眠さえまともに取れない日々が続きます。兄弟に健常者がいれば、両親の愛や注目はすべて、病気の兄弟に向けられたような気持ちになり、孤独や疎外感を覚えてしまいます。

チルドレンズホスピスは、看護婦、セラピスト、医師、教師、ソーシャルワーカー、カウンセラーなど、専門分野のプロチームからなる総合施設です。ここでは緩和ケアや症状の管理、ビリーブメントケア(死別のケア)、ショートステイなど、家族へのケアも充実しています。家庭でも、ホスピスで受けられる無料のサービスを提供したり、24時間電話によるサポート、相談窓口も設けています。

チルドレンホスピスは生活する場所―「家にいるようなケアを」を目指し、子供一人ひとりに柔軟に対応し、家庭的で、患者と家族の希望に合ったケアを行っています。ここでは、楽しむこと、ゲームやアクティビティを通じて一人ひとりが笑顔で過ごせることを第一としています。

*幼少期に発病する、神経系の遺伝性疾患。不治の病。

『現在、英国内に住む0-19歳の子供うち、1万人に12人が、限られた命を懸命に生きようとしています。その半数は、今まさにこの瞬間に、緩和ケアを必要としているとのことです。13-24歳の生命を脅かす病気を患っている若者のうち、症状管理と日常の緩和ケアで命がつながる人は6000人から一万人いると言われています。技術の進歩や末期症状の管理によって、一日でも長く生きられる若者が、多くなっています。』(ACH関係者談)

 
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