NATURAL THERAPIES OVERSEAS

●フランスで学んだディエンチャン●
2013年(冨野玲子)

ディエンチャン・アカデミイ in Paris のクラスメイト達

「トミノ、ディエンチャンをもっと学びたいなら、パリに来なさい」そんな驚きのメールがイエン先生から届いたのは、まさに2013年のチャウ先生来日の真っ只中でした。

2009年にベトナムでモジュール6を修了して以来、コースオーガナイザーとして日本の受講生の学びをサポートさせて頂いていました。その間“進化し続けるセラピー・ディエンチャン”は、いつの間にかモジュール10まで増えており、「受講生に最新情報をお伝えするためにも、私自身が学び続けなければ・・・」という思いが募っていたのです。

ディエンチャン国際本部のあるパリでは、あのチャウ先生が“ボス”と呼んでいるイエン先生が、全世界のコースのスケジューリング、書籍やテキストの監修などを行っています。チャウ先生は、年に合計3か月ほどフランスで過ごし、ここでディエンチャンのモジュール10まで開講しているのです。以前よりチャウ先生から「フランスでは、ヨーロッパ各国から受講生が集まり、本場ベトナムを凌ぐほどの勢いでディエンチャン受講生が増えている」と聞いていて、ディエンチャンが欧州でどのように受け入れられ、発展しているのか、とても興味を持っていました。 「Oui!」と、すぐにイエン先生にメールの返事をし、フランス行きが決定しました。

 

イエン先生とは?

ベトナム系フランス人のイエン先生。元々はチャウ先生の一生徒だったイエン先生が、ディエンチャン・インストラクターとなり、あっという間にパリにディエンチャン・アカデミイ、そしてディエンチャン国際本部を立上げ、欧州にディエンチャンを広めたのです。まさに、ディエンチャン世界進出の立役者!プライベートはフランス人の旦那さんと息子さんと暮らす、スーパー・ワーキング・マザーです。

日本でのディプロマコース1&2期生の皆さんは、イエン先生のことをよく覚えていらっしゃるでしょう。最初の2年は、チャウ先生&イエン先生のコンビで来日したのです。朝はチャウ先生のために朝ごはんを作り、コース中はチャウ先生のアシスタントとして立ち回り、時には母のように、時には女房のように(本当にチャウ先生の奥さんだと思っていた生徒さんもいらっしゃいました!)チャウ先生を支え、無償の愛を注ぐ姿がとっても印象的でした。

そのイエン先生が切り盛りするディエンチャン・アカデミイ in PARIS にいざ突入!久しぶりにチャウ&イエンコンビと再会です!

 

フランスのディエンチャンクラス

フランスでも大人気のチャウ先生

落ち着いたパリの街並みに、突如現れるディエンチャンワールド「。ボンジュール!」と、元気よく受講生の皆さんが教室に入ってきましたよ。チャウ先生の周りは、世界中どこでも笑いの輪。しかし、ここはフランス。笑いに加えて、キス&ハグの嵐です!受講生ひとりが教室に入る度に、既に教室にいる全員にキス&ハグをするものですから、なかなか授業が始まりません!

「あのぉ・・・、これって、フランスでは普通なんですか?」と隣の生徒に聞くと「いやいや、ディエンチャンのクラスは特別なんだよ!これはディエンチャン・カラン(Calin、愛情表現のハグ)!」。授業が始まる前からこのテンション。「ディエンチャンワールドに、キター!」と、こちらも4年 チャウ先生ぶりに生徒気分が盛り上がってきましたよ!

フランスの生徒さん達

今回のクラスはベトナム系の方は3人だけ。あとは、キプロス島在住の方、仏領タヒチ在住の方、レバノン系フランス人、中国系フランス人など、様々な人種の受講生が参加されていました。受講生の多くは、既にプロとして何らかのセラピーを行っている方。リフレクソロジスト、フェイシャルセラピストの方が多くいらっしゃいました。メディカルドクターもいらっしゃいましたよ。

コースはベトナム語/フランス語で行われます。イエン先生が席順を決めておいてくれたのですが、それは、私の左右に英語を話す生徒を座らせるためでした。私が分からなくて困っている時は、すかさず左右の生徒が英語で助けてくれます。こうして、共通言語は「DienChan」という多民族クラスが始まりました。

 

ベトナム医道のプログラムの全体像

ベトナム医道のプログラム全体は、このようになっています。モジュール1~3の基礎コースでは、「一元論」というベトナム民間療法の神髄を元に、数々の反射区チャート、顔に600もあるツボの見方と基本フォーミュラ(ツボのグループ)、「6リンパ」などの病気の予防法や、「線引き」という救急救命法などを習得。「自分や家族の主治医になろう!」というコンセプトでディエンチャンの基本精神を学びます。

モジュール4~6のアドバンスコースでは、プロのセラピストとしてディエンチャンの施術を行うのに必要なテクニックを学びます。東洋&西洋という両面で病気を捉え、内分泌、神経に対するツボや、痛み、痒み、詰まり、分泌増加、分泌低下等、様々なフォーミュラを学び、「どんな症状に対しても、“お手上げ!”“何もできない”ということがない」という状態を目指します。そして、チャウ先生の究極の元気と長寿の秘訣“陰陽気功”がこのモジュールで伝授されます。現在、日本では、ここまで開講されています。

さて、モジュール7以降は、「指導者・研究者養成コース」と呼ばれています。ここを卒業すれば、習ったフォーミュラを使うのではなく、自分でフォーミュラを作れるようになり、人に指導ができるそうなのです。スゴイ!待ってました!

 

ツボの深~い意味

ツボチャートと体躯のチャート

クラスは、まず、一つ一つのツボの意味を深く知ることから始まりました。例えば、1番のツボは、鼻にあるのですが、「背中」という意味があります。

これは、鼻を背中に見立てた「体躯の反射チャート」から来ています。背中の痛みなどのトラブルに使うのですが、もし1番で症状が変わらなかった場合、口角横の222番を代わりに使うと良いのだそうです。222番も「背中」という意味があるのですが、口角横は、「体躯の反射チャート」で言うと膝の反射区。なぜ膝なのに背中かというと、膝裏には東洋医学の「委中」というツボがあり、主に背部のトラブルに使われます。222番は、まさに「委中」の反射ポイントなのだそうです。

なるほど!ディエンチャンの「自由自在」の精神は、顔の反射区学と東洋医学の経絡を繋げることもできるのです。深い!

 

クライアント症例とプレゼンテーション

テニス肘に対する施術

お次は、クライアント症例のプレゼンの授業です。生徒で実際に何か疾患を持っている人がクライアント役に選ばれ、全員でコンサルテーションを行います。そして、2人組で施術のパターンをできるだけ考え、当てられたペアが前に出で、実際に施術を行うのです。

「テニス肘」の症例には、体躯のチャート、感覚運動のチャート、痛みのフォーミュラのほか、顔だけではなく背中における腕の反射区など、色々なアイディアが飛び出していました。

 

感覚運動のチャート

私は、医師のフレデリックとペアで「頸椎症」の方へのプレゼン&デモを行いました。ディエンチャンの施術に上手い・下手はありませんが、先生や20名もの生徒の前で施術するのは、やっぱり緊張します!頚椎症の施術も、鼻筋、耳の前など様々な反射区を使ったり、「骨のトラブルだから、五行では腎」ということで腎臓のツボを使ったり、「あの手この手で何とかする」という民間療法の知恵を駆使しました。

ディエンチャンの施術では、100%痛みを取ることを目指しません、「反射区やツボに表れた反応を変化させること」を目標に施術します。皮膚表面の反射区やツボを変化させることで、気の滞りを改善し、それは必ず根本の原因を改善するのに役立っているのです。

さて、私も不本意ながら、クライアントに抜擢!?されてしまいました。幼少から呼吸器&腎臓が弱く、大人になってからアトピー性皮膚炎を発症したのです。皆さんから、コンサルテーションを受けて質問攻めに。

私は頸椎症の施術を担当しました。

質問内容は、
① 陰か陽か(寒い、暑いなど)
② いつから、期間、症状が出る時間帯など
③ 住環境、職場環境、寝室など
④ 食べ物
⑤ 心理状態、ストレス、眠り
⑥ 消化、吸収、排泄
⑦ 五行のごれか(性格)?
⑧ 血圧
⑨ その他、動物は飼っているか?動物は?等

そして、発表者から、施術を受けさせて頂きました!色々な施術を受けて席から戻ったら、発表者ではないグループの方が、施術内容やアドバイスをノートに取っておいてくれましたよ。

 

施術内容

① 6リンパ
② 神経系のツボ 124、34、14、16、0
③ 痒みのフォーミュラ 17、61、3、38、85、50、41、124、34、0
④ 陰血補足フォーミュラ 22、127、17、19、39、37、1

アドバイス

  • 一日少しでも、自分だけの時間・空間を作る
  • 働き過ぎない!休む!
  • 部屋を19度以上の温度にしない
  • カーペットを敷かない
  • 窓をあける
  • 動物に触れない
  • コットンの服を着る
  • アロエを育てる(電磁波などに良いのだそうです)など。

本当に素敵なクラスメイト達です。Merci!

ランチタイムの様子

ランチタイム

「クラスは家族」というディエンチャンの精神は、ここでも同じ。コース期間中は、毎日みんなでランチ。中華に行ったり、イタリアンに行ったり。ランチ休憩は2時間(笑)もありましたので、お喋りに花が咲きました!セラピスト集団ですから、どこでもセラピー大会が始まってしまうのです。

ランチタイムに家族や恋人を連れて来たり、卒業生が遊びに来たりしましたよ!「ディエンチャンで開業しました~!」という卒業生が、名刺を配っていました。励みになります!

ベトナムとは違い、フランスも日本も「医師法」にあたる法律がありますので、「ディエンチャンは病気を治療する効果がある!」とは宣伝できません(国家資格である南アフリカのリフレクソロジーも、そのような宣伝の仕方はしませんネ・・・)。それでも、「心身ともに健康で楽しく暮らす!」をテーマとしたトリートメントとして、たくさんのクライアントさんから愛され、支持されているようです。

 

自動体操

ダイエット自動体操

「陰と陽のバランスを整え、気血を巡らせる」というのが東洋医学の基本。このクラスでは、陰陽気功の応用編、気功をしながら体を動かす「自動体操」を学びました!瞑想しながら各部を動かすことで、痛くて動かせなかったところなどにも効果があがるのだそうです。

指、首、手首、足首、そして股関節など、あらゆる関節を、呼吸をしながら動かしていきます。ダイエット自動体操も習いました。お孫さんがいる年齢の生徒さんが、身体を張ってデモをしてくれました。さすがディエンチャンファミリー!クラスメイトの皆さん、本当に若々しくてお元気でした。孫がいるなんて、言われなければ全然分かりません!

 

ディエンチャンの新商品

ディエンチャングッズの新商品

「最も多くの健康グッズを開発した人」としてベトナムのギネスブックにも載っているチャウ先生。今回フランス出張は、運よく新商品のお披露目とも重なり、新発売グッズとも沢山出逢ってきましたヨ。

元々は、鍼灸師として働いていたチャウ先生。全身の疾患に、顔への施術が最も効果があると確信し、顔に鍼を打っていたそうですが、ある日突然、鍼を“お箸“に持ち替えて、“誰でもできる顔反射療法”に発展させたのがディエンチャンの発祥。 そこから、まるでアイディアの玉手箱のような自由な発想で、現在は200種類近くの道具があるのです。もちろん、全ての道具を揃える必要はありません。直観、そして「楽しい!」という気持ちを大切にするディエンチャンでは、道具選びもまた脳にポジティブな刺激を与えてくれますね。

 

陰陽食養生

生春巻き作成の図

生春巻き完成の図

お料理教室が始まりました~!ディエンチャンの陰陽食養生のクラスです。陰陽のバランスを取るには、食事もやっぱり欠かせません。お料理をしながら、一つ一つの食材の陰陽を学んでいきます。

生野菜全般は陰。エビは、お肉に比べたら陰となります。(ウナギ、エスカルゴも陰なのだそうです)。皆で、ライスペーパーで具を巻いて・・・、ベトナムの陰の代表料理・美味しそうな生春巻きの完成!

ベトナム料理は「タレ」が肝心!五行の味のバランスが完璧に整ったベトナムの調味料ヌックマムに、陰(ライム、砂糖)と陽(とうがらし、ニンニク)のバランスを合わせたタレもつくりました。まさに、陰陽五行のハーモニーです。

さて、ここで皆で試食と思いきや・・・、「今度は陽のベトナム料理でーす!」と、陽の食材が出てきましたよ。お肉、玉ねぎ、にんじん、きくらげなどを、フードプロセッサーにかけます。そして、ライスペーパーで巻いて、揚げ春巻きを作りました。

 

陽の食材をフードプロセッサーにかけます。

楽しい試食会

「キッチンがないのに、どうするのだろう・・・?」と思っていたら、なんと、ある生徒が、イエン先生に、「隣のイタリア料理屋さんに行って、揚げてもらってきなさい」と突然言われていましたよ。

ぷぷぷ。さすがイエン先生、強引だなあ~!しかし、隣のイタリア料理屋さん、今日はお休みでした・・・。

結局、揚げ春巻きは、希望者が持って帰ることになりました。ホテル住まいの私は、食べられず・・・(残念)。

結局、生春巻きだけになりましたが、楽しいベトナム料理パーティーとなりました。パリで手作りベトナム料理が食べられるなんて!しかも、みんなでつくった生春巻き、美味しかったです!

 

ディエンチャンのオイルマッサージへの応用

ディエンチャンフェイシャルのデモ
チャウ先生も楽しそうです。

さて、ディエンチャンの最後のプログラムは、「VINAマッサージ」と呼ばれる、手でオイルを使って行うディエンチャンです。「最後のモジュールになって、何故オイルマッサージなのですか?」と、質問すると、「最初からリラックスのマッサージを教えると、“リラックス”で終わってしまう生徒がいるかもしれない。だから、最初のモジュールで、徹底的に反射区やツボを使って“セラピューティック(治療的)”に教える。先にセラピューティックな方法を習っておけば、その後、どんなリラックスマッサージを習い実践しても、全てがセラピューティックな効果のあるトリートメントになる」のだそうです。

なるほど! 確かに、私も思い当ります。ディエンチャンで徹底的に顔ツボや反射区を学んでいるので、現在は、アロマフェイシャルトリートメントなど、他のフェイシャルの施術を行っても、全てクライアントの顔にツボや反射区を重ね合わせて見てしまう癖が付いていて、セラピューティックなアプローチになってしまうのです。

 

ディエンチャンフェイシャルの実習

実習タイムは、アロマオイルの香りが漂って、教室が癒しの空間となりました。勿論、オイルトリートメントになっても、ディエンチャンの精神「自由自在」は健在。決まった手技や手順はありません。

オイルマッサージしながら生きたツボを見つけ、反射区やツボと重ね合わせながら体の声を聴き、そして、優しくほぐす。手でも良いし、道具を使っても良いのです。私も、心を込めて、トリートメントさせて頂きました。技術チェック&カメラマンのチャウ先生も、皆さんの実習の様子にご満悦でした~。

最後はオイルボディの実習だったのですが、私はデモを見ただけで残念ながら終了!IMSIでの担当授業が入っていたため、最後のモジュール10のクラスまで出席できずに、帰国しなければならなかったのです。温かいクラスメイトの皆さん、チャウ先生、イエン先生に、“Merci!”と、濃厚なディエンチャン・カラン(ハグ)で、クラスを後にしました。

 

毎日楽しかった

2014年も来日が決定しました!

今回、最後までの受講はできなかったものの、ベトナム医道のプログラム全体の概要がやっと分かりました。そして、日本の生徒さん達の熱意が通じ、「2014年は執筆活動に専念するために来日はしない」と言っていたチャウ先生、なんと、2014年も来日することになりましたよ~!

2014年は、内容を少しリニューアルしてお届けする予定です。私・冨野がモジュール3までの基礎コースを全て担当することになりました。東洋医学とベトナム民間療法の「心」を大事に、丁寧にご指導していきたいと思います。モジュール4-6のアドバンスコースは、昨年同様、チャウ先生来日の6日間連続コースです。熱心な生徒の前でノリノリのチャウ先生語録、今年も楽しみです!!

今回私が受講してきたモジュール7-9は、まだ日本での開講の目途が立っていません。そのため、リクエストの多い「陰陽食養生」の1dayセミナーを開催することになりました!ただし、お料理教室の実習はありません(笑)。また、モジュール4-6のアドバンスコースで毎朝行う陰陽気功のワークショップは、単発でも受講可能となりました。

このように、ディエンチャンのプロを目指す方はトコトン学べ、施術者でない方も気軽に学べる、という学びやすい体制が整いました。プロのセラピストを目指す方、「自分と家族の主治医」を目指す方、そして食養生にご興味のある方、是非ベトナム医道の門を叩いてみてくださいね!

 
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