NATURAL THERAPIES OVERSEAS

●リフレクソロジーの聖地・南アフリカで初開催!
ディエンチャン顔反射療法ワークショップ●
2020年(IMSI学院長 冨野玲子)

2020年2月、南アフリカ、ヨハネスブルクにあるセラピューティック・リフレクソロジーのDougans Internationalにて、ディエンチャン顔反射療法のワークショップを開催してきましたので、ご報告します。

 

南アフリカとのご縁のはじまり

南アフリカとのご縁は、そもそも「南アフリカでリフレクソロジーが国家資格」と聞いて、居ても立っても居られなくなり、国家資格化の立役者で世界的に有名なリフレクソロジスト、インガ・ドーガン先生にいきなりメールを送って現地を訪ねたことから始まります。

2011年春のことでした。どこの誰かも分からない、いきなり日本からやってきたセラピストを、インガ先生とそのご家族が優しく歓迎してくださいました。きっと、熱意が伝わったのでしょう。

2011年の出張報告コラムはこちらから

 

指一本で行う経絡治療

初めて訪れたインガ先生のアカデミーで出逢った光景を、今でも忘れません。なんと、東洋医学の叡知がふんだんに取り入れられているのです!

「リフレクソロジー」というより、「指一本で行う経絡治療」。グリグリと親指一本で、足の6本の経絡を隈なく刺激していくスタイルに、あっという間に魅了され、惚れ込んでしまいました。

そして何よりも、現地では予防医学としては勿論、様々な疾患をお持ちの方たちへの「治療」として役立てられているというのも、衝撃的でした。治療的効果が認められているからこそ、現地では「リフレクソロジー」ではなく「セラピューティック・リフレクソロジー」と呼ばれているのです。

 

国家資格とはいえ、国土の広い南アフリカでは、通信教育と集中スクーリングで受講ができることが分かり、その翌年に、晴れてDougans Internationalの学生になりました。

日本と南アフリカを行ったり来たりする生活はハードでしたが、足から気血の滞りを改善していくパワフルなセラピーに、感動する日々でした。

「本当に効果があって、禁忌がない!」これぞ、私が世界を旅して探していたセラピーです。

2013年に無事に卒業し、念願の南アフリカDI認定セラピューティック・リフレクソロジストになりました。

 

そして、「この素晴らしい施術を日本のセラピストに伝えたい!」と直談判して、認定講師にしていただき、2014年より、毎年、日本でセラピューティック・リフレクソロジーのディプロマコースを開講。また、これまでに、インガ先生を日本に招致して、来日ワークショップも、5回開催しました。

 

リフレクソロジーの聖地でのディエンチャンワークショップ開催の経緯

出逢った頃は「雲の上の人」だと思っていたインガ先生は、実はとっても気さくでナチュラルな人。

プライベートでもすっかりと仲良くしていただき、2018年の夏、ヨーロッパ滞在中にデンマークに里帰り中のインガ先生を訪ねました、ご自宅に泊めていただき、手料理もご馳走になり、至れり尽くせり…のお礼に、何かできることはないかと尋ねたところ、思いもよらぬ言葉がインガ先生の口から飛び出したのです。

「レイコ、あのフェイスブックによくアップしている顔の施術、私にやってみてくれる?」

 

そう、ベトナム医道ディエンチャン顔反射療法のことです。いつもディエンチャングッズを持ち歩いている私。海外旅行でも必携のグッズは、この時もカバンに忍ばせてありました。そこで、光栄にも、インガ先生のお顔にセラピーをさせていただくことになったのです!

「リフレクソロジーと出逢って約40年、一度も病院に行っていない!」「薬も飲んでいない!」「健康保険にも入っていない!」という自然療法界の巨匠に、いったい“生きたツボ(気血の滞り)”なんてあるのかしら・・・?と、恐る恐るお顔に触れると・・・? 額上部の生え際辺りにある腰の反射区に、僅かな滞りが見られました。

そして、「えーっと、これは腰ですかね・・・」と解説しながら、その部分を丁寧に刺激すると、なんと、インガ先生の腰の調子が改善された様子! わずか、3分で!

ご機嫌になられたインガ先生より、またまた、思いもよらぬ言葉が飛び出しました。「レイコ、これはすごい! 南アフリカでCPD(卒後のブラッシュアップ)コースに登録して、卒業生にこの技術を教えてみない?」

なんと、国家資格保持者のセラピューティック・リフレクソロジスト達のアドバンスコースに登録してくださるというのです。もちろん、国家認定コースのCPDですから、登録には、「南アフリカ関連医療専門職協議会」というお堅い組織による審査があります。

審査には、セラピーの内容がリフレクソロジストのブラッシュアップに役立つ上級コースに相応しいかだけではなく、講師の審査もあるようで、ドキドキしながら申請を出しました。

そして、帰国後数か月経ってから、Dougans Internationalより、「審査が通ったので、正式にディエンチャンのモジュール1(2Day)をCPDコースとして開講してください」というオファーを受けたのです。

 

ワークショップの準備

セラピューティック・リフレクソロジーディエンチャン顔反射療法

同じリフレクソロジー(反射療法)であり、東洋医学をベースとしているところも同じ。そして、足と顔、触れる部位は異なっても、「気血の滞りを探りながら解消する」という基本姿勢は、同じなのです。

国や文化は違っても、人体をどこまでもホリスティックに見て、「薬を使わずに自然治癒力で治す」ことだけを考えると、「反射学と東洋医学の融合」という、同じところに行きつくのではないかと思います。わずか3分施術を受けただけで、セラピューティック・リフレクソロジーとの共通点に気づき、「良いものは良い!」と認めるインガ先生は、やっぱりすごい人です。

さて、ディエンチャン顔反射療法が、南アフリカでセラピューティック・リフレクソロジストのCPDコースに認定されたのは良いのですが、はて、ワークショップの準備は、どうしましょう・・・・?

英語のディエンチャンの教本がないため、自分で一から教材を作りました。そして、1日7時間、計2日間の講義の内容は、まずは日本語で原稿を作り、自分で英訳して、音読の練習を重ねました。でも、仕事の準備と同様に、いやそれ以上に大事にしたのは、体調管理! 健康がウリのお仕事ですから、自分が健康でなくては説得力ゼロになってしまいます。

出発は、2月半ば。インフルエンザも流行っていますし、新型コロナウイルスの騒ぎが大きくなり始めて来た頃です。風邪をひいては、大変! そこで、1日8時間以上の睡眠をしっかりと確保して、自然療法でのセルフケアを入念にするようにしました。

そして、準備したのは、滞在中に食べる日本食です。私は普段、海外に行ったら、現地のものをいただくのが楽しみなのですが、大役を仰せつかった今回は、「ワークショップが終わるまでは自炊!」と決めました。スーツケースの殆どが日本食という状態で、南アフリカのヨハネスブルクに向けて出発しました。

 

ドキドキワクワクのディエンチャンワークショップ 2日間x2回転

このディエンチャンのワークショップに申し込みが殺到し、結局「土日コース」と「平日コース」と2回に分けて、合計4日間も開催することになりました。参加者は全員、国家資格保持者のセラピューティック・リフレクソロジスト。ケープタウンなど、遠方から飛行機でやってきた受講生さんも多くいらっしゃいます。

様々な人種が混ざり合うクラス。南アフリカは、アフリカ系、ヨーロッパ系、カラード(混血)、インド系など様々な人種が暮らしている国ですが、ヨーロッパ系の人々の中にも、イギリス系、ドイツ系、ギリシャ系、アフリカ―ナー(植民地時代に主にオランダなどから入植した人々)など、本当に様々な人がいます。

ドキドキワクワクの、ディエンチャン2 Daysワークショップ in 南アフリカが始まりました!

まずは自己紹介と、ベトナムについての紹介から。戦争で唯一アメリカに「負けなかった国」。だからこそ、戦後は厳しい経済制裁を受け、医療が受けられない時代が長く続いた。そこで、鍼灸師のチヤウ教授が「誰もが自分の主治医になれる!」をテーマに開発したのがディエンチャン。

足のリフレクソロジーチャートは1種類ですが、ディエンチャンでは複数のチャートを自由自在に組み合わせて使うこと、鍼灸がベースなので、道具を使うこと、決まったルーティーンはなく、セラピストが必要な手技をその場で考えながら行っていくこと。

足のリフレクソロジーとの違いはあるけれども、「気血の滞りを見つけて、解消するという基本スタンスは、セラピューティック・リフレクソロジーもディエンチャンも同じ!」という言葉に、皆さん深く頷いてくださいました。

 

参加者全員から「効果を感じられた!」

ディエンチャンの基本、「生きたツボ」の探し方を紹介。そして、基本チャートの紹介と、デモンストレーション。

「事故の後遺症よる腰の痛みが改善した!」「目の疲れが消えた!」など、ディエンチャンの手軽さと即効性に驚いていらっしゃいました。さすがプロのセラピューティック・リフレクソロジストの皆さん。実技もとってもお上手で、あっという間に基本をマスターして、様々な反射区チャートを使いこなしていました。

Day2は、全員にセラピー後のリアクションをお聞きしました。すると、「膝の痛みが取れた!」 「数か月なかった月経が来た!」「よく眠れなかったのがグッスリと眠れた!」「首のコリが取れた!」などなど、とてもポジティブな反応をお聞きすることができました。

全員に何らかのリアクションがあったことに、インガ先生もびっくり! 皆さんに、ディエンチャンの効果が伝わって、とても嬉しいです。

内臓のチャートとその応用や、顔以外のチャートの実習を行いました。皆さん、東洋医学を学んだセラピストですから、筋肉の問題には肝の反射区、骨や歯の問題には腎の反射区など、東洋医学の応用もバッチリです。

 

どんな病気や症状にもアプローチできることがある!

国家資格を持つセラピスト達ですから、受講生さんたちのクライアントの病気や症状も、多岐に渡ります。

「むずむず足症候群へのケアは?」「脳卒中の後遺症にはどうするか?」「癲癇(てんかん)の患者さんにはどうしたらよいか?」「アルツハイマー病の患者さんには?」「糖尿病の方にはどうするか?」「坐骨神経痛には?」「椎間板ヘルニア、脊椎すべり症、脊柱管狭窄症の方へのおすすめは?」「自己免疫疾患の方へのケアは?」などなど、質問や疑問が次々に湧いてきます。

でも、私たちは医師ではなく、セラピスト。病気や症状に直接アプローチするのではなく、症状の根本の原因を考え、体質改善をしながら、クライアントが自然治癒力で治っていくのをサポートするのが仕事です。そのような考え方を持ち続けていれば、どんな病気や症状をお持ちの方が来ても、アプローチする方法はあるのです。

逆に言うと、ディエンチャンの施術には、「この症状にはここ」という決まったルールがありません。セラピストが常に考えながらセラピーを組み立てていきます。

 

セラピューティック・リフレクソロジストにも大ウケだった救急救命法

授業の終盤「人が突然意識を失ったら、どうしますか?」言ったところ、受講生の皆さんがキョトン。これこそ、足のリフレクソロジーにはない、ディエンチャンならではの手技です。

「顔は、心臓の反射区でもあり、脳の反射区でもあります。医療を受けることができなかったベトナム人々は、緊急時のケアでさえ、ディエンチャンで対処していたのです。」とお伝えしたところ、一同興味津々でノリノリになってきました。

「人が突然意識を失った、喉に物を詰まらせたなど、いざという時はこれをやってください!」というディエンチャンの救急救命のデモンストレーション。真剣な手技ですが、モデルさんの反応に一同大爆笑で、写真を撮りまくっていました。

 

愉しければ、自然治癒力もあがる!

セラピューティック・リフレクソロジストという仕事を選んだ皆さんは、本当に大変だけれどもやり甲斐のある、素敵な仕事です。

ディエンチャンの施術をする上で必要なことは、「クリエイティブ」「フレキシブル」「自由自在」。そして、セラピスト自身が、率先して、セラピーを愉しむことをしっかりとお伝えしました。楽しければ、自然治癒力も上がります!

「どうぞ、学んだ知識と技術を、お仕事だけでなく、大切な人のケアにも活用してください。セルフケアも、忘れずに!」こんなメッセージで、2日間x2回転のワークショップが無事に終了しました。

今回、アフリカ大陸で初めて、62名の方がディエンチャンワークショップ(モジュール1)を終了されました。日本やベトナムと同じく、愛と笑いと感動に溢れた、温かなワークショップでした。南アフリカらしく沢山の方とハグをして、ベトナムらしく沢山の方と写真を撮りまくって、アカデミーを後にしました。

今回の出張で学んだことは、「セラピスト同士、通じ合える!」「セラピーに国境はない!」ということ。

これからも、本当に効果があって禁忌のないセラピーを、国内外でお伝えしていきたいと思います。

 
ページトップへ