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●ニューロフットリフレクソロジーアドバンスコース「筋肉へのアプローチ」●
2012年(飯野由佳子)

ロネ・ソレンセンによる神経系を介した斬新なフットリフレクソロジー、それがニューロフットリフレクソロジーです。コースは3段構えになっており、「ベーシック-骨格系」が基本理念・技術となり、その上にアドバンスとして「脳へのアプローチ」、「筋肉へのアプローチ」が加わり完結します。

2011年9月「筋肉へのアプローチ」が開講され、3コース全てを受講し、西国IRから認定された"ニューロフットリフレクソロジスト"もはじめて誕生しました!  足への刺激と身体の筋肉系が関連するの? と、疑問を持つ方は多いと思います。これからロネ・ソレンセンの世界をご紹介しましょう。

筋肉反射区アプローチとの出会い

ロネと運命的に出会ってすぐ、ロネのデンマーク人の親友サンドラが"スポーツリフレクソロジー"を専門にしている、と聞きました。

「スポーツリフレクソロジーって何ですか?!」
「身体の筋肉各部が足裏や甲に投影されていて・・・」
と、ロネはさらっと続けました。

私が学んできたアメリカ、イギリスのリフレクソロジーは肺、心臓、胃など臓器をターゲットにしたもので、具体的な筋肉反射図やセオリーは聞いたことがなく大変驚き、大いに興味を持ったのです。そしてまもなく、ロネから筋肉反射チャートを貰い受けたのですが、当時は「ニューロフットリフレクソロジー」「筋肉へのアプローチ」のクラスも開講されておらず、これをどう使い、どのように組み合わせていくの?と悩んだまま、そのままにしていたのでした・・・。

そして時が流れ、ニューロフットリフレクソロジーコースをIMSIで開講するにあたり、 ロネから筋肉アプローチの概念を改めて聞き、幅広いクライアントに役立てられる可能性を感じました。このメソッドは、単に身体の筋肉をほぐすことだけが目的ではありません。足という働きかけやすい場所を利用することがメリットとなり、神経、脳、感情、経絡へと一度に多方面へアプローチができるのです!ここに、大きな魅力を感じました。

 

筋肉系へのアプローチとは

筋肉へアプローチするソレンセン式リフレクソロジーは、経絡と神経系の2つのシステムから成り立っています。これはフェイシャルリフレクソロジーと同じ概念で、東洋医学の経絡と西洋医学の中枢神経系に働きかけることが出来る為、効果が上がると考えられます。

ニューロフットの名の通り、中枢神経への働きかけになりますが、31対の脊髄神経と12-14対の経絡が、同じ筋肉に到達することがあり、そこに働きかけるため成果に結びつくのです。中には神経支配のみの筋肉もありますが、ほとんどが二つのシステムによる筋肉反射で色分けされています。 足に触れているのに肩こりが軽減するのは、全身をコントロールする中枢神経と、こりの感じられる部分に走行する経絡に働きかけるからなのです。

ロネは以前、サッカーのナショナルチームのトリートメントを担当していたそうです。 他にもゴルフ選手、バレーダンサーもトリートメントしていたとのことで、自らの豊富な経験から、パチパチと指を鳴らして「これくらい瞬時に結果がでる」と言います。ニューロフットベーシックで学ぶ足裏ゾーンと脊椎反射区へ働きかけ、続いて筋肉群反射区へのトリートメントをプラスし、バランシングを行い、トータルで45分から50分位を目指します。

行い方は、初回にまず全ての筋肉反射区に働きかけ、一番筋緊張のある場所を確定させます。それぞれの筋肉反射区は6色に色分けされていますが、最も弱まりのあった筋肉と同じ色の全ての反射区に働きかけます。例えば、脊柱起立筋の反射区に一番の筋緊張を感じたら、僧帽筋、腸骨筋、前脛骨筋など、脊柱起立筋と同じ色の反射区全てに働きかけます。筋肉は単体で動いているわけではないので、関連する筋群反射区全てをトリートメントするのです。ボティーマッサージで時間や労力が掛かるところを、フットリフレクソロジーで働きかければ時間も短く、セラピストの負担もなく、クライアントは痛みを感じることもなく、トリートメントが楽しめるというわけです。

次回からはチャートに彩られた全ての色、全筋肉反射区をトリートメントしなくてよいのですが、全反射区を行う事は有効、可能ですし、大変心地の良いケアになります。クラス内では、全ての反射区を実技で練習したのですが、クラスの皆さんは驚きながら「コリがほぐれた~」とおっしゃっていましたよ。すぐに効果が実感でき、翌日の皆さんはすっきりと晴れ晴れしたご様子でした!

 

筋肉と脳機能の関係

筋緊張が慢性化すると筋肉がぎゅっと固くなるので、周りの筋肉を引き寄せてきます。これが長期に渡ると近くの筋群にも影響が及び、それが脳や顔の筋肉に及ぶこともあります。ひいては脳機能にも影響を与えてしまうのです。 例えば首の筋肉、頚椎に緊張があれば、早い段階で脳や顔の筋肉に影響しますし、肩や胸の筋肉にも悪影響が及びます。

首周りの筋肉は胃経の対応する筋肉になり、胃・脾経では、脳領域の前頭葉が関連します。前頭葉は、IQ,知能、行動、感情コントロールを司る部分です。多動や行動障害の問題がある子供の多くは、胃・脾経に滞りがあり、足ではやはり胃・脾経の筋肉反射にこりやはりが感じられるかもしれません。

筋肉へのアプローチによって、身体の筋緊張が改善され、行動障害の改善を目指していくことが可能なのです。脳の周りを囲む脳脊髄液は、7.9mm位の平均した幅になっており、"頭蓋の呼吸"と言うくらい繊細な動きで循環しています。これが平均していないと、呼吸のように動ける部分が減ってしまうわけですが、首の筋肉がはりやこりによってぎゅっと縮むと、後頭部の筋肉も引きつられ、ひいては前頭の筋肉も引っ張られます。すると中の脳も、呼吸のような細かい動きが出来なくなってしまうのです。前頭部のあるべき幅が縮まり、脳への負荷も変わり、脳の機能低下に結びついてしまうのです。

 

スウェーデンとアメリカとの共同研究で、筋緊張と脳機能とが関連あることを追跡し、教師による子供へのボディーマッサージ、遊びながら子供同士が行うボディーマッサージを学校や幼稚園で導入したそうです。デンマークでも国が検討したそうですが、タッチすることがセクハラに向かってはまずいということで、取り入れられなかった経緯があります。

その時ロネは、身体にタッチすることで誤解が生まれる可能性があるなら、足をタッチすればよいと思ったそうです。足だけで、全身の筋肉に触れることが出来、全身の調整を図ることが出来るからです。

 

急性の痛み

急性の痛みや炎症を取り去る為の方法として、足のトリガーポイントを刺激する方法もあります。トリガーポイントとは、痛みの原因となるポイントのことです。例えば肘の痛みがある場合、足裏に反射されている肘部分のトリガーポイントがあり、この反射点と、ベーシックトリートメントで見出した最も滞りのある経絡に対応するバランシングポイントとを、同時に刺激します。

急性の痛みや炎症を取り去る為のトリガーポイント

更に、ベーシックコースで学んだボディーゾーンを使用する方法もあります。ボディーゾーンで肘部分の支配は頚椎6であり、足裏に反射されたトリガーポイントと、脊椎反射区上の頚椎6とを、ぎゅっと強い圧でバランシングします。そして痛みが緩和したら手を離します。ロネがスポーツ選手を担当していた時、起こった痛みを今取り去り、すぐに試合に出なければならないという状況の中、このバランシングのみを行ったこともあったそうです。

スポーツ選手は常に身体コンディションを整えている為、効果が出やすいので、バランシングだけでも有効になりますが、残念ながら一般の人は同じようにはいかないそうです。ですが、このように簡単に見えるトリガーポイントバランシングは、痛みの緩和と改善速度の違いで、やったのとやらなかったのとでは全く状況が変わるほど、驚くべき効果があります。

 

慢性の痛み

痛みに限らず、慢性の症状がある場合、どの筋肉のこりで、どこにゆがみがおこり、どの経絡に影響を与えるか、それによってどんな不具合(症状)が出るか、もクラスで学びます。

例えば、大腸経と大腿筋膜には関連があり、更に胸椎12も関連しあっています。胸椎12番の慢性的な圧迫により、大腸経も乱れ、臓器にも影響をきたし、特有の症状が現れてしまうのです。
例えば消化器の疾患、過敏結腸、便秘、下痢、胸痛、脚の痛み、歩行困難などの症状が出てきます。

こういった場合、ニューロゾーンチャートの大腸反射区と、筋肉チャートの大腿筋膜反射区、更に脊椎反射区の胸椎12を全てしっかり繰り返し働きかけます。テキストには、このような情報が全経絡に対して記載されていますので、是非クラスにいらして下さいネ。クライアントを今までとは違った角度から深く掘り下げてアプローチすることが可能になり、効果の出方も違ってくるのですから!

 

筋肉系と感情のリリース

感情と五行説。ディポジットと症状によって精油の組み合わせを決めます

感情は筋肉にも影響を与えますが、例えばストレスを負えば胃・脾経に影響を与え、長期間に渡れば体へも悪影響が及び、もちろん胃経、脾経に対応する筋群にも影響が及びます。そこで、胃・脾経に関連する筋群反射区全てをトリートメントしていきます。もし怒りの感情があれば肝・胆経に影響を与えますので、肝・胆経に関連する全て筋群反射区に働きかけます。

筋肉系の疾患ととらえられている線維筋痛症は、体中が痛み、症状が多岐に渡ることで知られています。バルセロナの研究で、この線維筋痛症は大脳辺縁系に問題があることが分かり、その中の扁桃体が関わっているのではないか、という発表がされました。

扁桃体はネガティブな感情や経験が蓄積され、生き延びる為の危険回避に存在するのですが、現代ではそこがすぐに埋まってしまうほどストレスフルな環境にあります。ここがいっぱいであるほど痛みをより感じてしまったり、溢れかえるほどいっぱいになってしまうと、がん、多発性硬化症、線維筋痛症などの疾患につながるのでは、と言われているそうです。 つまり、筋肉系の疾患と心に掛かる負荷とは関連があるということです。

扁桃体への働きかけはフェイシャルリフレクソロジーのトリートメントが効果的ですが、足の親指からも扁桃体反射区を刺激し、感情のリリースが可能です。ロネの経験から、特に精神的問題があるクライアントには、足と顔とのバイポーラ(双極)の組み合わせが一番有効とのこと。

 

プランを立てている授業風景

クラスでは、拒食・過食、麻薬・アルコール依存症、統合失調症に対するフェイシャルリフレクソロジーのアディショナル選択から、引き続きニューロフットリフレクソロジーではどのようなアプローチを組み入れるかまで、総合的なプランの立て方も学びました。

結び

なぜ足を触れているのに全身筋肉への効果が及ぶのか。それは足を通じて、一度に沢山の伝達が出来、トータルな調整をするからです。

こりや痛みのある筋肉反射区と、それに関連して動く筋肉群反射区へ容易に働き掛けることができ、その反射区に届いている末梢神経を通じた中枢神経への働きかけをし、臓器にも影響が及びます。更に弱まりのある筋肉に関連する経絡を整え、トリガーポイントへも刺激が可能。

ロネによると「身体の筋肉にだけ働きかけていく方法は何度も何度もしていかないといけないが、この方法で様々な方面へアプローチすることによって、ぶり返さず、効果も早い」とのことです。

私は寝たきりの方や歩くのが困難な方をトリートメントする機会も多いのですが、服の着脱や体勢を変える事が難しい方も多くいらっしゃいます。そんな時に足に対するアプローチで筋肉系を刺激できる事をお伝えすると、ご本人はもちろん、ご家族からも大変喜ばれます。チャートをお見せしながらトリートメントをすると、皆さん「おもしろい!丁度ここが首の筋肉で、こっちは背中の筋肉なんだね。なるほど!」と感心され、自分の足にも身体にも興味を持っていただき、楽しくトリートメントを受けていただいています。

 

臓器の反射よりも、筋肉の反射の方が自分でじかに感じとれる為、関心を向けてもらえるのではないかなと思います。

スポーツ損傷、心に掛かる負荷、ストレスからの筋緊張、ただの姿勢のゆがみ、麻痺などの障害からも筋肉の慢性的なこりへと移行し、身体にゆがみが生じ、神経を圧迫します。

それが臓器機能の低下を引き起こし、免疫が下がり、疾患に結びつく・・・これに対応するのが中枢神経刺激と経絡との融合を果たした「筋肉へのアプローチ」。今までご説明させていただいたように、このメソッドはまさにホリスティックアプローチです。

ロネ・ソレンセンによる、顔とは違ったリフレクソロジーのツールを手にすることができ、また新しい可能性を手にしたような気がします。この技術をクライアントだけではなく、プロフェッショナルセラピストの方々、ロネ・ソレンセン・メソッドやリフレクソロジーにご興味のある方々と、一緒に分かち合えたらと願っております。

 
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