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●ガブリエル・モージェイ来日3年間の軌跡と2013年来日に向けて●
2013年(冨野玲子)

ガブリエル先生との出逢い

「セラピストになりたい!」と思い立った人にとって、最初の悩みは「どのスクールに行こうか」ではないでしょうか。後のセラピストとしての方向性を決定づける重要な決断なのですから、慎重に比較検討して選ぶ方が殆どでしょう。

そう思うと、私の選択はラッキーだったとしか言いようがありません。「本場イギリスで学びたい!」という希望だけで、大学の先輩にたまたまご紹介頂いた学校が、The Institute of Traditional Herbal Medicine and Aromatherapy(ITHMA)。当時は、その一校しか知らなかったのです。インターネットで検索するという術もなかった時代ですから……。

そのITHMA校長がガブリエル・モージェイ先生でした。鍼と指圧の免許を持ち、東洋医学とアロマセラピーを融合させた第一人者。薬用植物を漢方薬のように「冷・温・湿・燥」の特性に分け、東洋医学的診断から精油を選択する独特のアプローチにより、世界の植物療法カンファレンスでも引っ張りだこ。当時は自身が創始したRQA(IFPAの前身)会長を務めており、まさに「雲の上の人」というくらいスゴイ存在だったのです。初めてお会いした時は、「少年のように目がキラキラしていて、エネルギッシュなオーラが出てる~!」と感じましたよ。

少年の様に目を輝かせるガブリエル先生

ITHMAでのスクール生活

ガブリエル先生のクラスでは、「一体、いつになったらアロマセラピーの話をするのだろう……」と思う程、東洋医学の話ばかり。イギリス人のクラスメイトは、キョトンとしていましたが、ベトナムで民間療法に出逢ったことがきっかけで自然療法に興味を持った私にとってはまさに「ツボにはまった」スクールでした。

授業では、「陰陽五行説」「気血水」「臓腑理論」などの理論、そして問診や舌診など東洋の診断学の基礎を叩きこまれ、東洋医学から人をホリスティックに診る神髄を教えて頂きました。東洋医学用語、始めの頃はチンプンカンプンだったのですが、慣れる事はスゴイ事!気が付くと、クラスメイト同士の普通の会話も、「勉強しすぎでキドニー・チ(腎気)不足だわ~」なんて、東洋医学用語が炸裂していましたヨ(笑)。今でも、このガブリエル先生の教えが、私のセラピーのベースとなっており、精油選びをする時にはいつも「舌を見せて!」と言ってクライアントを驚かせています。

イギリス留学時代、ガブリエル先生とのツーショット

当時私が通ったITHMAのIFPAディプロマコースは6か月の集中コース。夢中で勉強し、あっという間にディプロマコースが終わってしまいました。日本に帰国する前に、一度クラスメイト達と、ガブリエル先生のお宅に遊びに伺ったのです。それまでは、恐れ多くて、プライベートのお話を聴く機会がなかったのですが、卒業して初めて、ガブリエル先生が、「わかめ」「こんぶ」「ひじき」など日本食を愛する大の親日家だという事を知りました。すごい親近感です!「ガブリエル先生から、もっと勉強したい!」と思いましたが、既に時遅し……。その時は、泣く泣く帰国の途についたのです。

IFPAカンファレンスで再会“Do you remember me?”

英国のIFPAカンファレンスでガブリエル先生と再会

帰国後、IMSIで講師として活動を始めた私は、2003年に再渡英し、IFPAカンファレンスに参加しました。そこで、恩師ガブリエル先生と再会! 「私の事、覚えていてくれているかなぁ……」と自信もない状態で、「Do you remember me?」と、恐る恐る話しかけたのを覚えています(笑)。

その後、IFPAカンファレンスやスクールミーティングで何度もお会いすることになりましたが、人気者のガブリエル先生の周りには、いつも質問の行列ができている状態。同じIFPA講師という立場になっても、やっぱり私にとっては「スゴイ恩師」で「雲の上の人」という遠い存在だったのです。

 

鍼灸学校へ……そしてガブリエル初来日に向けて

その後、フェイシャルリフレクソロジーのロネ先生、ディエンチャンのチャウ先生など、東洋医学と縁のある先生方達との出逢いにも恵まれました。そして「東洋医学を、どうしても一から日本語で勉強してみたい!」「先生方のように、東洋医学を自然療法に取り入れて、日本のセラピストに伝えていきたい!」という気持ちが強くなり、鍼灸学校へと進みました。ガブリエル先生にメールでその報告をした所、「東洋医学の世界にwelcoome~!」と、喜んでくれましたよ。
(私が東洋医学を学んだ経緯などは、過去にコラムに書いていますので、よかったらwebでご覧くださいね。
http://imsi.co.jp/library/teacherscolumn/tomino/12_acupuncture.html

鍼灸学校2年生の2010年、自分でもビックリするような転機が訪れました。IMSIが主催して初めてのIFPAジャパンカンファレンスを東京で開催することになり、「ガブリエルを日本に呼ぼう!」という声が挙がったのです。

「ガブリエル先生からもっと習いたい!」なんて思っていたものの、自分がオーガナイズするなんて、夢にも思っていませんでした。恐る恐るガブリエルに「日本に来てくれますか?」というメールを出して「Yes」という返事をもらった時の喜びは、今でも忘れません。

「ガブリエル先生の理論を、きちんとお伝えする事ができるのだろうか……?」
「東洋医学とアロマセラピーの融合が、日本のセラピストに受け入れられるのだろうか?」

そして、「日本食大好き!なんて言っているけれど、ホントに大丈夫なのだろうか」等、様々な不安が入り混じりながら、ガブリエル先生の初来日が実現しました。成田空港でゲートから出てくる恩師の姿を見た時、目がウルウルするほど、本当に感激しました。

ガブリエル・モージェイ来日セミナー3年間の軌跡

2012年サーティフィケートコース参加者の皆さん

ハラハラドキドキの初来日から、3年の月日が経ちました。無我夢中で3年連続ガブリエル・モージェイ来日セミナーのオーガナイザーを務めさせて頂き、お陰様で、どのセミナーも大反響を頂きました。

「ガブリエルの著書を読んでアロマセラピーの道に進んだので、著者から直接習えて感激した!」
「ガブリエルのアプローチは、目から鱗!でも、東洋人である私達にとって、最も自然な方法だと分かった!」
「東洋医学って難しいと思っていたけど、ガブリエルの説明で良く分かった。これからドンドン使っていきたい!」

受講後アンケートには、そんな声をたくさん頂き、嬉しく思いました。

授業後はいつもサイン会

当人の、ガブリエル先生の方はと言うと……、今やすっかり日本人になりきっています(笑)!一人でレンタカーを借りて国内旅行をし、「クロモジ」「ニオイコブシ」「ヒメコマツ」等、日本の植物の名前もスーラスラ!そして何より、「日本のセラピストの真摯に学ぶ姿勢に感動した!1年に1度日本のセラピストに会えるのがとても楽しみ!」と仰っています。

オーガナイザーとして、日本のセラピストの皆様とガブリエル先生の接点をつくり、双方に喜んで頂けること、こんなに嬉しい事はありません!セミナーに来て下さった皆様、サポートして下さった皆様、本当にありがとうございます!

ここで、ガブリエル・モージェイ先生来日セミナーの3年間の軌跡

2010年

呼吸器系疾患に対する精油の使用と経絡的アプローチ

東洋医学における「肺」の機能について説明し、不調和を起した際にどの精油が使用に適するのか解説していきました。また、気管支炎、喘息、扁桃炎、副鼻腔炎など様々な呼吸器系疾患を東洋医学的に解釈し、それぞれに対する精油ブレンディングを紹介しました。

筋骨格系対する精油の使用と経絡的アプローチ

筋肉・腱・関節の痛みとコリ、骨関節炎、関節リウマチなど、東洋医学における「痺=痛みのある循環障がい」に対して効果的な精油ブレンディングを、経穴を用いたアプローチと共に紹介しました。

頭部のツボと作用についての講義

 
精神と感情へのエナジェティックアロマセラピー

緊張、不安、うつなど、心理的疾患に対するホリスティックな精油の使用方法を、伝統的な東洋医学の診断と科学的観点の両方に基づき深く考察していきました

精油と五行の関連性の講義

2011年

婦人科系における精油の使用と経絡的アプローチ

東洋医の腎や肝における婦人科系の役割とトラブルの原因を考察し、PMS、月経困難症、無月経、更年期障害などに対する東洋と西洋の理論を癒合させたアプローチを学びました。

皮膚系における精油とハーブを使用するアプローチ

東洋医学の臓腑と皮膚の関連性やトラブルの原因を深く探り、湿疹、乾癬など皮膚のトラブルを例に挙げ、精油、ハイドロゾル、浸出油などのアプローチを紹介しました。

ガブリエル特製抗炎症クリームのレシピと実演

陰陽五行説に基づくエナジェティック&サイコロジカルアロマセラピー

精油を芳香エネルギー別に分類し、それぞれの心理的作用、エネルギー的作用、東洋医学の臓腑や気血への作用を詳しく解説していきました。東洋医学の柱である陰陽五行について造詣を深め、精油選びに応用させていく方法を学びました。

抗うつ作用のある精油を東洋医学的に分類

2012年

アロマティックメリディアンマッサージ サーティフィケイトコース

満を持してやっと開講しました!東洋医学的・エネルギー的・科学的の3つの要素を含む、ダイナミックでユニークなアロマティックメリディアンマッサージ。精油の陰陽五行への分類と、人体の主要なツボの効用を詳しく学び、精油とツボの相互作用を最大限に活用するテクニックを習得していきました。

なんと、全てのセミナーにパーフェクトに参加されている生徒さんもいらっしゃるのですよ!皆さんの、ガブリエル先生の発する一語一句を「全身が耳!」という状態で必死に吸収する姿に私も感激しました!

ガブリエル初の実技指導 アロマティックメリディアンマッサージとは?

3年間の来日セミナーを振り返って、特に印象に残っているのは、やはり2012年の初の実技指導です。ガブリエル先生による実技指導、実は、私も初めてだったのです……。ITHMAでは10年以上前からマッサージは他のインストラクターが担当していますから、「ガブリエルが実技指導? ホントですか?」と、イギリス在住の方からお問い合わせ頂いたくらいですよ。

イギリスでは見られない! ガブリエル先生の実技デモンストレーション

コースでは、主要なツボの効用を詳しく勉強し、相当する精油を学んでいきました。例えば、胃経36番足三里は、胃気と脾気の強壮作用を持ち、身体に陽のエネルギーを与えてくれるツボで、これに相当する代表的な精油はマジョラムとジンジャーです。また、眉間のツボ印堂は、神(しん)を安定させ、気を調整する作用を持ち、これに相当する代表的な精油はフランキンセンスです。  実技においては、これらの精油ブレンドを実際に用いて、ツボに対して施術を行うのですが、ガブリエル先生の技は、ブレンドオイルを塗るだけではありませんでした。東洋医学的に「虚(気血が足りない)」の状態に対しては「補う」ためのテクニック、「実(邪の入った)」の状態に対しては「散らす」ためのテクニック、そして「滞(気血水の滞り)」の状態に対しては「調整する」ためのテクニックと、技術を使い分けていくのです。

ツボの位置も分かりやすく指導してくれます

プロのアロマセラピストの方も、鍼灸師の方も、あっと驚くような斬新な考え方。それでいて、精油と人の手があれば、いつでも何処でもできる、シンプルなテクニック! リラクゼーショントリートメントの中に自然に組み込むことのできる、セラピューティックなアイディア満載の素晴らしいトリートメントでした。  また、手と足のツボをそれぞれホールドして身体の内側の流れに働きかけるバランシングテクニックや、ツボに「声」を使っていくサウンドメディテーションなど、日本のアロマスクールや鍼灸学校では決して学べない特別な技を、惜しみなく披露してくれましたよ

サウンドメディテーション

サービス精神満点のガブリエル先生の授業では、3日間ミッチリと学んでも、「エ? もう終わりですか? もっと学びたい!」の声が……。私も、ディプロマコースで6か月学んでも「まだまだ学びたーい!」と思ったくらいですから、無理もありませんね。これからも、実用性バッチリの、日本のセラピストをもっともっと豊かにしていく様なガブリエル先生の授業を皆様にお届けできるよう、頑張っていきます。

2013年に向けて

さて、2013年は、一体、ガブリエル先からどんな学びがあるのでしょう……?ガブリエル先生とずーっと相談し続けて、やっと決定しました。今年は、ガブリエル先生の長年の研究テーマだった「芳香の五行分類と心理的作用」を詳しく学び、そしてどのフィールドで活動するセラピストにも有用な「痛みのケア」と「感情へのケア」の実技トリートメントを行います!

例えば、「不安」や「フラストレーション」などの精神面のトラブル、または関節痛、筋肉痛、リウマチなどの身体のトラブルに対して、五行のどのエレメントの乱れから生じるのかを深く考察し、五行から精油を選び、そして関連性のある経穴を刺激する事で心身のバランスを回復させていく、究極のアロマティックメリディアンマッサージです。 ガブリエル先生は「東洋医学の専門家を育てたい訳ではない」と言います。「目の前のクライアントを、ホリスティックに診立て、根本からアプローチできるセラピストが必要。そのために、東洋医学と精油の知識を使って下さい」と言っています。

2013年の来日コースは、正にガブリエル先生が日本のセラピストの皆さんに伝えたいメッセージのこもった渾身の3daysコースとなります。「スピリットとアロマテラピー」を読まれた方、過去にセミナーにいらして下さったガブリエル・ファンの生徒さんは勿論の事、本当にホリスティックなアロマセラピーを学びたい方、セラピューティックな精油の使用に興味のある方、東洋医学にご興味のある方にとって本当に素晴らしい内容となっています。是非学びにいらして下さいね。

身長差30cmのコンビでお待ちしています!

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