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●南アフリカより インガ・ドーガン先生来日ワークショップ報告●
2014年(冨野玲子)

2014年6月8日&9日、私のリフレクソロジーの恩師インガ・ドーガン先生の来日ワークショップが開催されました。地球の裏側からはるばるやってきてくださったインガ先生。疲れた顔も見せず、元気に登場してくださいましたよ! 2日間の模様をお伝えいたします。

1日目:陰陽五行の新しい応用

インガ先生、元気に来日してくださいました!

昨年から、インガ先生と二人で練りに練ったワークショップ内容。

「折角、陰陽五行を学んでも、使いこなしているセラピストがあまりいないのが現状……」そんな相談をインガ先生にした所、「それなら、実践的に、現代的に、解釈していこう!!」ということで決まったのが、このテーマなのです。

 

通常の五行

インガ流コンポスト(堆肥)の五行

通常の五行は木⇒火⇒土⇒金⇒水という関係性ですが……。
インガ・ドーガン流五行では、体をコンポスト(堆肥)に例えます。

このコンポストは、最も重要で基本の要素=「土の要素」そして、経絡では「胃・脾・膵経」です。
健康的なコンポストを作るのには、適切な植物と水を加えることが重要ですが、これが人体にとっての食べ物(木の要素)と飲み物(水の要素)です。

コンポストに間違えてプラスチックなど人工物を捨ててしまうと、コンポストが分解できず、蓄積してしまいます。また、コンポストに水を入れ過ぎてしまうと、腐ってしまいます。逆に、質の良い植物と水を与えれば、堆肥はバランスが保たれ、健全なガス(金の要素)と熱(火の要素)を生み出します。

同じように、人体(土)に質の良い食べ物(木)と飲み物(水)を適量与えれば、ハーモニーが保たれ、質の良い呼吸(金)とエネルギー(火)が生まれるのです。「食べ物と飲み物が、いかに大事か!」といった事を、チョコレートの箱を片手に、力説して下さいました。

 

皆さん真剣です!

そして、インガ・ドーガン流「細胞の五行」。
「食べ物の質が木、pHと血糖バランスが土、ナトリウム・カリウムバランスが水、エネルギーと電解質バランスが火、ビタミン・ミネラル・酵素が金」と例え、1つの細胞の中にも、五行のサイクルがあること、そして、細胞の五行が乱れると経絡の気の流れに乱れが生じ、滞りが起こることを学びました。

最初は、膝痛、腰痛、胸のしこりなど、経絡の主流に沿って身体の外側に症状が起こり、その根本の原因を正さずに放置したり、対症的な方法で症状を押さえていたりすると、結果として経絡の内枝の症状に発展して、「糖尿病」などの病気となって現れるのです。

「健康の基本は、木・水・土を整えること、
その経絡である、肝・胆経(木)、腎・膀胱経(水)、胃・脾・膵経(土)の経絡は、全て足から内臓を通っているため、足のトリートメントがいかに大事か!!
定期的なトリートメントと食事のケアで、病気を予防することができる!!
セラピューティック・リフレクソロジーの最も素晴らしい効果は、病気になる前に、病気を予防できること!」
と、力強く語ってくださいました。

なるほど、インガ先生の五行は、いかに足のトリートメントが大切か、を裏付ける重要な理論なのです。

 

2日目:東洋医学的アセスメント

人気者のインガ先生です!

2日目は、セラピューティック・リフレクソロジーの要であるボディアセスメントです。
「アセスメント」というと、直訳すると「評価」となりますが、ここでは、身体の状態を深く探り、分析し、セラピストとしてどのように健康に導いていくかを考える指標とすることを指します。

リフレクソロジストであれば、反射区図をベースにアセスメントしていきます。インガ先生のメソッドには、これに「経絡」が加わります。

例えば、足の母指球の反射区は、通常のリフレクソロジーでは「甲状腺」の反射区ですが、経絡を見ると、この部位は「脾・膵経」になります。
外反母趾のような母指球のトラブルは、脾・膵経の経絡の滞りの表れであり、脾・膵経の経絡の滞りを放置すると、その経絡の走行に沿った問題、例えば、膝の痛みや子宮、消化器系のトラブル、乳房の外側の不調が表れてくるかもしれません。

更に放置すると、経絡の「内枝」にまで影響が及びます。脾・膵経の経絡は、身体の内側では、膵臓、心臓、甲状腺、喉、口を通っています。結果的に、糖尿病になって口が渇いたり、甲状腺、心臓のトラブルに発展したりすることにもつながります。

もし「外反母趾」=「甲状腺」とだけ覚えていたら、外反母趾をお持ちでも甲状腺に異常が無いクライアントに対して、説明やアドバイスをすることが難しいのですが、このように経絡を取り入れると、現在出ている症状の説明加えて、将来起こりやすい病気を予測し、予防対策のアドバイスがどんどん広がってくるのですネ。

 

ボディアセスメントの実習タイム

その他にも、よく見られる足裏の第一趾と第二趾の延長上にある「ハイヒールダコ」。ここは、食道の反射区でもあるのですが、ハイヒールを履いていなくても、食道に問題がなくても、よく見られる症状ですよね?これは、ズバリ「胃経」です!

また、多くのクライアントが敏感に感じる、外踝付近の卵巣・精巣の反射区。これは、「腎経」です!

それぞれ「胃が悪い」「腎臓が悪い」と短絡的に考えるのではなく、経絡の走行を辿って、よくクライアントを観察すると、セラピストとしての景色が全く別の物になってくるのですよ!

実習タイムは、ペアになって顔、手、足のアセスメントを行っていきました。足のタコ、イボ、ウオノメなど。これまであまり気にしなかった症状も、経絡の知識を応用すれば、身体からの大切なメッセージとして、しっかりと語りかけてくれます。

 

顔もくまなくチェック!

ボディアセスメントで不調を発見!

インガ先生とランチ会

著書にサインをもらう列が絶えませんでした

顔も重要ポイントです。クマ、シワ、たるみ、ホクロやシミの部位をよく見て、経絡と重ねていきます。問題を発見した時、「あなたは〇〇(臓器の名前)が悪い!」と診断するのではありません。

その問題のある部位の付近に、前後から両手を当てて、「この辺りに違和感があるかどうか、ご自身で感じてみてください」と尋ねるのです。本に載っている経絡図や反射区図は2次元ですが、身体は3次元。セラピストが手を当てることによって、クライアントさんに自分で感じて頂くのがポイントだそうですよ。

インガ先生から学んだ方は、足のトラブルだけでなく、乳腺のトラブル、ニキビやシミ、副鼻腔炎、股関節の痛みなど、どんな症状をとっても「何の経絡かな?」という事を頭に思い描いてほしいのです。「それにはまず、経絡、覚えなキャ~!!」と、今回のワークショップに出られた多くの方が感じたのではと思います。

そう、インガ先生は「セラピストは経絡を知っていて当たり前!常識です!!」と言っているのですよ~。皆さん、一緒に頑張りましょう!東洋医学、本当に面白いし、実用的です!

インガ先生は、35年のリフレクソロジー人生の中で、本当にたくさんの病気の症例を持っていますが、最も重要なリフレクソロジーの効果は「病気の予防」だそうです。

「35年間一度も病院に行っていない!健康保険にも入っていない!医療費の高い南アフリカで保険に入っていないなんて、変な人だと思われるけど。私には“万が一病気になったら……?”という恐れもありません。リフレクソロジーがあるから!」という力強いお言葉に、一同勇気づけられました。

参加者の皆さん、2日間のインテンシブコース、大変お疲れ様でした!2日間で得た知恵を使って、皆さんが、クライアントさんやご家族・友人、そして、自分自身を、もっともっと健康に導いていくことができますように!

「インガ先生の次の来日はいつ?」なんて、気の早い声も聞こえてきましたよ。「まだまだ学びたい!」という声が多数挙がりました。

私も、まだ興奮冷めやらぬ状態です。ワクワクしながら次の来日企画を考えたいと思いますので、楽しみにしていてくださいね!

 

2日間お疲れ様でした!

番外編 書籍「セラピューティック・リフレクソロジー」出版までの道のり

インガ先生からのセラピューティック・
リフレクソロジーディプロマ授与

「海外で学んだ本当に効果のある自然療法を、日本のセラピストに伝えていこう!」

そんな想いで、これまでIMSIの中でたくさんの生徒さんとお会いし、技術や知識をシェアさせて頂いてきましたが、この度「書籍」という別の形で、様々な方に自然療法をお伝えする機会を得ることができました。

ご協力くださった皆さん、ありがとうございます!

 

セラピューティック・リフレクソロジーの書籍

出版記念パーティーでの
インガ先生のデモンストレーション

もしインガ先生の本を書籍化できるのであれば、いつも読者として愛用させて頂き、たくさんの自然療法の教えを頂いたフレグランスジャーナル社さんで……と思っていました。

電話でアポを取って企画書を持参し、「南アフリカではリフレクソロジーが国家資格だなんて、日本のセラピスト達に夢を与える内容だと思いませんか???」と、プレゼンで力説。会長が首を縦に振って下さり、あれよあれよと言う間に出版が決定しました。それが、2012年8月のことでした。

さて、そこからフレグランスジャーナル社の担当者さんと二人三脚が始まりました。版権の交渉は初めての経験でしたが、「へぇ~、本ってこうやってできるんだ!」と、新たな発見の連続でした。「字がミッチリ!専門用語タップリ!」の、原書で325ページと及ぶこの本の翻訳、どうしよう……。

実は、「この半分のボリュームの本でも翻訳に1年半かかった」という噂を耳にしたのですが、「いやいやいや、それでは遅すぎる!」「なんとか1年以内に翻訳を終えて、2014年春には出版したい!」そんな想いもあり、色々模索した結果、翻訳者2名+私が監訳者という3名体制のチームで臨むことにしました。

翻訳チームを結成したのが、2013年4月のこと。そして「出版社への提出締め切りが12月末」「2014年5月に出版!」「2014年6月にインガ先生を呼ぼう!!」と目標が設定されました。

「監訳」というと、当初、専門用語だけを調べて監修するというイメージだったのですが……。
私の性格からか、それともインガ先生の書籍へのこだわりからか、結局私も最初から最後まで原書を読み、訳者の方と同時並行で、自分の頭の中でも翻訳作業をしていくことになりました。

 

たくさんの方にご興味を持って頂きありがとうございます!

フレグランスジャーナル社の木村さん(左)と

実は、インガ先生の東洋医学の中には、東洋古典を自由自在にアレンジした、独自解釈も多く入っているのです。

きっと、日本の鍼灸師さんや東洋医学に詳しい方が見ると「?」という部分もあるでしょう。途中、中国古典を調べたり、英語版の黄帝内経を取り寄せて調べ、「うーん……」と悩んだりもしましたが、最終的にはほぼ原書通りに訳させて頂きました。

西洋人から学ぶ東洋医学だからこそ、東洋の古典には載っていない自由で柔軟な解釈があり、生活習慣病や食生活との関連性など、今の時代を生きる私達に必要なメッセージがたくさん含まれているのですから!

2013年秋から年末年始にかけて、仕事の日は毎日早く起きて出勤前に作業し、お休みの日は1日の全てを本の作業に捧げる日々を過ごしました。
この頃は、本当にセラピストらしからぬ、超・不健康な毎日でしたよ(笑)。

結果、少し遅れてしまいましたが、1月15日に出版社に第一版を提出。その後は、編集者の方と一緒にチェック作業、ルビ振り、索引作り、図や絵のチェックなどを行いました。最後にタイトル決定、そしてデザイナーさんにカバーのデザインをして頂きました。

編集者の方もお休み返上で作業して下さり、遂に2014年6月1日にやっと出版することができました。出来立てホヤホヤの本を手に、インガ先生を成田空港で迎えた時、本当に感無量でした。

 

セラピューティック・リフレクソロジー -東洋医学と反射学の融合によるアプローチー
インガ・ドーガン著 冨野玲子監訳

定価3200円+税 ISBN978-4-89479-245-6

世界的に絶大な信頼を得ている南アフリカ共和国の国家資格として認定された、インガ流リフレクソロジーの特徴は、足の反射区だけでなく経絡にしっかりと働きかけていく独特の技術です。
リフレクソロジーと東洋医学を融合させた“セラピューティック・リフレクソロジー”の基礎から応用まで、その施術の全貌を紹介。補完医療や予防医学として、自然療法に興味のある初心者から様々な分野のプロセラピストまで、幅広くご活用いただける画期的なリフレクソロジー完全ガイド。

IMSIウェブショップ(http://www.imsishop.com/)またはスクールにて販売しております。

 
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