SEMINARS & EVENTS

●インガ・ドーガン来日ワークショップ
「セラピューティック・リフレクソロジー~腸内環境と東洋医学~」開催報告●
2015年(IMSI学院長 冨野玲子)

インガ・ドーガン先生と

セラピューティック・リフレクソロジーとは、南アフリカ共和国で国家資格として行われているリフレクソロジーです。

私は2011年に初めてインガ先生と出逢い、東洋医学とリフレクソロジーを融合させて治療効果を実現させたそのメソッドと、国の法律まで変えリフレクソロジーを国家資格に導いたインガ先生の情熱に感激し、その年の秋に初めてIMSIとしてインガ先生を日本に招待しました。

そして2012年に私自身が南アフリカのディプロマコースを受講し、2014年に卒業。同時にDougans International認定講師の資格を頂き、IMSIでアジア初のDI認定セラピューティック・リフレクソロジーのディプロマコースを開講しました。

2015年は、日本のディプロマコース開講1周年となる特別な年。
アジア初のセラピューティック・リフレクソロジストの皆さんと一緒にインガ先生を日本にお迎えすることになりました!

今年のインガ先生の来日の模様を報告させて頂きます。

 

●ワークショップ1日目 6月13日(土)

経絡を活用したセラピューティック・リフレクソロジーとは

胆経の経絡

「昔は病気だらけだったけど、リフレクソロジーを始めて36年間、一度も病気になったことがない。健康保険にも入っていない。」という自己紹介から、今回のワークショップが始まりました。

足を刺激して身体の状態を改善するというその秘訣は、実は、経絡を刺激しているからだというのがインガ先生の理論です。

片頭痛を例に挙げると、医師は鎮痛剤を処方しますが、経絡を熟知したセラピューティック・リフレクソロジストは、側頭部を通っている経絡(胆経)の問題だと認識します。
片頭痛の痛みは、胆経に毒素が溜まったために、身体が警告を発しているに過ぎず、鎮痛剤で痛みを止めても、根本から解決されない限りは、また毒素が同じ経絡上に症状を引き起こすということに繋がります。

そこで、足裏の胆嚢の反射区に加えて、足の第四趾を通る胆経を丹念に確認し、しっかりと刺激を加えることで、片頭痛はもちろんのこと、同じ経絡上に現れる病気(例えば股関節痛、顎関節症、卵巣の問題、乳房の問題、肝臓、胆嚢の問題など)の予防や改善に繋がると考えられるのです。

このように、セラピストが経絡を知ることで、クライアントに見られる症状からヒントを得て、根本の原因を探り、症状の改善やさらなる病気の予防に繋がるというのがセラピューティック・リフレクソロジーの特徴です。

 

経絡が分かると禁忌が変わる!?

経絡に気が通り毒素を破壊するイメージ図

海外講師による来日ワークショップで必ず参加者から出るのが「禁忌」についての質問。

特に南アフリカではリフレクソロジーは国家資格ですから、様々な難しい病気をお持ちの方もリフレクソロジーを受けており、「この病気だからリフレクソロジーは受けられない」といった禁忌は特にありません(もちろん、注意点はあります)。
そのため、日本に限らず、欧州でも、インガ先生のワークショップでは、禁忌についての質問が多数寄せられるようです。

例えば、「糖尿病の患者には膵臓の反射区は施術しない」というリフレクソロジストもいます。
しかし、頭部や首の反射区を刺激しようと第一趾を施術すれば、脾経を通して膵臓を刺激することになります。

同様に、「妊婦には子宮の反射区は施術しない」という方もいますが、耳の反射区を刺激しようと第五趾(腎経の内枝は第五趾を通る)を施術したり、太陽神経叢の反射区(湧泉のツボ)を施術したりすれば、腎経を通して子宮を刺激することになります。

このように、複数の療法においては、触れる部位がオーバーラップしているのに理論が異なるため、ある療法では「これは禁忌」というものでも、他の療法では「そんなことはない」ということは多々あり、リフレクソロジストが特定の反射区を避けたとしてもあまり意味がないというのがインガ先生の理論です。

「私達が行っている施術は、趾(あしゆび)先で“遊んで”いるようなもの。
その結果、経絡に気が流れているだけ。病気の方に行ったとしても危険なことはありません。
気が流れれば、後は身体が自分を癒してくれるのです。
恐れないで、刺激しましょう!」
というインガ先生の力強い言葉に、多くのセラピストが勇気づけられました。

 

セラピューティック・リフレクソロジー実技

実技指導の様子

実技指導の様子

シンプルなのに効き目は抜群!

午後は、セラピューティック・リフレクソロジーの一部である、趾先の経絡トリートメントが行われました。
施術者の親指を鉤(かぎ)状にしっかりと曲げて受け手の趾に当て、グルグルとしっかりと回して圧をかける「ローテイティング・サム・テクニック」という技術を使います。

趾は、反射学では首から上の反射区ですが、経絡を知っていると、第一趾は脾経と肝経、第二趾と第三趾は胃経(第三趾は内枝)、第四趾は胆経、第五趾は膀胱経と腎経(内枝)と、足を通る6本の全ての経絡を刺激することになります。

経絡を刺激する効果は、その名前の付いた臓腑を活性させるだけではありません。

例えば、前述の胆経を例に挙げると、足の第四趾を刺激することで、気が膝外側、股関節、卵巣、脾臓、胆嚢、肝臓、肋骨部、乳房外側、肩、首の側部、顎関節、側頭部へと流れ、これらの部位の問題に働きかけると言われています。

実習では、強い圧を入れている訳ではないのに、「痛い!」と叫ぶ人が続出しました。
しかし、同じ圧で全ての趾を刺激すると、痛い趾と痛くない趾があるのに気づきます。
「痛い」と感じられる趾を通る経絡には、毒素が溜り気が滞っている証拠。
身体の症状をズバリと言い当てられて驚く受講生も多くいらっしゃいました。

セラピューティック・リフレクソロジーの技術は「No Pain, No Gain(痛くなければ、得られるものがない)!」。
しかし、不快な痛みではなく、経絡独特の一瞬のピリッとくる痛みで、すぐに爽快感に変わるのが特徴です。

「シンプル、クイック、パワフル!」というインガ先生の掛け声の下、相モデルで15分~20分の趾と足首のみのミニセッションを行いました。

 

●ワークショップ2日目 6月14日(日)

施術後の反応

次々に寄せられる受講生の声

「よく眠れた」「目が良く見える」「膀胱炎が軽くなった」「むくみが取れた」「お通じが良くなった」「姿勢が改善された」「歯の治療の痛みが復活」「月経血が増えた」「昔の手術痕が痛んだ」、 etc.……。

2日目の講義は、前日の施術を受けた後のフィードバックを一人一人発表することから始まりました。驚くことに、「何も変わらなかった」という方は一人もいませんでした。

「経絡理論を知らなければ、私たちは単に趾マッサージで遊んだだけ。
誰も、身体に起こったことが施術後の反応だとは気づかないでしょう。

でも、皆さんが感じた症状は、滞っていた経絡の気を流したことによる反応。

気が流れると、毒素は、眼、鼻、口、耳、尿、便、月経血、皮膚など、どこでも良いから出口を見つけて、外に出ようとするのです。
だから、好転反応を恐れてはいけません。しっかり流して、クライアントに説明をしましょう。」というインガ先生の言葉に、大きくうなずくセラピストの姿がありました。

 

壊されるセラピストの常識?

「痛みを与えてはいけないとスクールで習った」というリフレクソロジストもいました。
これに対するインガ先生の答えは、「昔の食べ物は自然のものばかりだったため、体調不良も少しの刺激で改善できたかもしれない。
しかし、現在の食べ物は毒素にまみれており、現代人の身体の状態は深刻。
そのため、パワフルなバイブレーションを経絡に与えて、毒素を破壊する必要がある。時代が変われば理論も変わらなくてはならない」とのことでした。

また「体調が悪いから予約をキャンセルします、というクライアントもいるが、これはナンセンス。
体調が悪い時こそリフレクソロジーが必要!」と、インガ先生は言います。

「もし感染症のクライアントが来ても、リフレクソロジストが十分に健康であれば、感染することはありません」。

参加者一同、インガ先生のトークに惹き込まれるとともに、セラピストとしてのこれまでの常識が、どんどん壊されていきました。

 

大腸の疾患と予防法

大腸の疾患と東洋医学の関連性

今回のワークショップテーマは、「腸内環境」。
便秘、下痢、虫垂炎、憩室炎、大腸ポリープ、大腸癌、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎など、腸内環境の悪化が原因で起こる様々な大腸の疾患について、インガ先生独自の理論による説明がありました。

「どんな病気も、突然発症した訳ではないはず。
膝や手首の痛み、指の関節炎など各部のマイナートラブルは、経絡に毒素が溜まっているという身体からの警告であり、無視し続けると、毒素がついに内臓を犯し、病気になる」とインガ先生は言います。

そして、「医師は病名を付けたがるし、患者も病名を付けてもらうとホッとするから、世の中には色々な病気があるけれども、どんな病気であっても、予防するにはまず酵素のたっぷりと含まれた健康的な食事を摂ること、そして胃液や膵臓からの消化酵素がしっかりと分泌されていること」なのだそうです。

インガ先生は、人体を車に例えて説明しました。
車が正常に働くにはガソリンが必要だが、食べ物は原油のようなもの。
そして、原油を質の良いガソリンに精製してくれるのが胃の働き。つまり、質の良い食べ物を食べて、胃の働きがしっかりしていれば、身体の機能は正常に保たれ、病気を防ぐことができるのです。

「病気を外からの原因(大気汚染やストレス)のせいにしてはいけません。
あなたが食べたものから作られるのです」という、耳の痛い言葉もありました。

しかし、インガ先生は、厳格な食事制限を勧めるわけではなく「ケーキを食べても良いのです」と言います。
「でも、放置しておいたら、カビが生えたり腐ったりするような“生きた”食べ物を食べることが大切。

現代、スーパーで売られている食品のほとんどに、保存料などの添加物が入っています。
これらの“死んだ”食品を食べると、酵素が得られるどころか、それを分解するために身体は大量の酵素のストックを使わなければなりません。
食べ続ければ、やがて身体の酵素のストックは枯渇し、病気につながり、死期を早めてしまいます」。

 

「腸内環境」とセラピューティック・リフレクソロジー

食生活と同様に大切なことは、毒素が入ってきたらきちんと出すことだそうです。
「現代に生きる私たちは、毒素をシャットアウトするのは無理。だから、毒素を出すために、定期的なトリートメントを受けることが必要不可欠です」。

セラピューティック・リフレクソロジーは反射区と経絡を融合させた療法ですが、大腸経は、手にあります。
しかし、リフレクソロジストが施術するのは足。そこで重要なのが、「大腸を通過する足の経絡」ということになります。

足を通る6本の経絡(腎経、脾経、肝経、胃経、胆経、膀胱経)の全てが大腸を通過しますが、最も重要なのが、上行結腸と下行結腸を通る脾経と胃経、つまり足の第一趾、第二趾、第三趾(胃経の内枝)だそうです。前述の、病気の予防には、胃酸と酵素が大切という理論にも一致します。

 

セラピストが東洋医学を学ぶ大切さ

ワークショップ参加者の皆さん、お疲れ様でした!

2日間のワークショップを通して、インガ先生は「とにかくセラピストが東洋医学を学ぶことは絶対必要!」と強調しました。
南アフリカでのセラピューティック・リフレクソロジーの国家資格取得コースでは、1年間はリフレクソロジーを学び、次の1年間は東洋医学(経絡、陰陽五行、東洋医学的診断法など)をみっちりと習得します。

もちろん、日本ではリフレクソロジーは国家資格ではないことは承知です。
それでも「東洋医学は、その人の不調の原因を見出し、根本から改善する医学。
セラピストが東洋医学を学べば、もっとクライアントの健康状態を改善することができるのです。

“病気の治療”と宣伝しなくても、トリートメントで不調が改善されれば、クライアントが定期的に通ってくれることになるでしょう」と、インガ先生は言います。

南アフリカの地にリフレクソロジーを伝え、リフレクソロジーを国家資格化に導いたインガ先生の次なる目標は、「学校や職場で、リフレクソロジーを受けることを義務化すること」だそうです。

インガ先生の東洋医学を駆使したセラピューティック・リフレクソロジー、そしてその熱意とパワーに、日本のセラピストはこれからも学ぶことが多くありそうですね!

 

●南アフリカDI認定セラピューティック・リフレクソロジーディプロマコース第1期&第2期卒業記念「インガ先生を囲む会」

オーガニックレモンジュースとリンゴ酢。
デトックスだけでなく、胃酸分泌や血圧調整にも
良いのだそうです

「インガ先生を囲む会」では、1期生による症例報告や、難しい病気をお持ちの家族やクライアントを持つ受講生からの質問などが寄せられました。

インガ先生からのメッセージは、
「皆さんはセラピューティック・リフレクソロジスト。
しっかり勉強して、疾患をお持ちのクライアントであっても、怖がらず、刺激をすることを恐れないで!」
ということでした。

 

インガ先生の東洋医学的アセスメントと
施術デモンストレーション

そして、熱~いリクエストにより、本邦初公開!

……というか、南アフリカでも見られない、インガ先生による東洋医学的アセスメント&施術のデモンストレーションが行われました!

問診しながら、顔を見て、手を見て、足を見るという、丹念なボディアセスメントと解説。

弱まりのある所がピタリと当たります。
インガ先生の施術は、シンプルなのに、効果はパワフル、そして反応はクイック!

参加者の皆さんは、いつも行っているこのシンプルな施術の中に、改めてスゴイ可能性を感じられたのではないでしょうか?
沢山の必要な方にセラピーの手が届きますよう、日本初のセラピューティック・リフレクソロジストとして、共に頑張りましょう!

 

●おまけ

長谷寺の仏足石とインガ先生

来年も会いましょう!

帰国前日、インガ先生にお見せしたかったものをお見せすることが出来ました!
鎌倉・長谷寺の仏足石です。

「次の来日はいつ?」と、早くも次回の来日を期待する声が聞こえてきましたよ。
インガ・ドーガン節をこれからも伝え、日本のセラピストの知識と技術をもっともっと豊かにできるよう、2016年秋頃に来日して頂けるように交渉中です。

最新情報はIMSI TIMESやブログ、メルマガ、フェイスブックなどをご確認くださいね!

 
ページトップへ