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●誰からも愛されるベトナムの美と健康の秘訣ディエンチャン●
~2017年ディエンチャン顔反射療法アドバンスコース開催報告~
IMSI学院長 冨野玲子

2017年12月、ベトナム医道センターのタム先生と奥さんのティー先生が来日し、ディエンチャンアドバンスコースが開催されました。

病気になっても病院に行けなかったベトナム戦争の経験から生まれたディエンチャン。現在でも、薬や医療に頼り過ぎない健康的なライフスタイルを送りたいベトナム人に愛されている自然療法です。

このディエンチャンを本場の講師から直接学ぶために、全国各地よりたくさんの受講生が集まりました。

 

≪Day1≫

医師よりも主婦の方が上手にできる?

「セラピスト活動をしている人は?」という問いに、約半分の手が挙がりました。

「ベトナムの受講生には、医師もいれば主婦もいる。でもディエンチャンはとても平等で、時には主婦の方が医師よりも上手に施術をすることもある。

だから、セラピストでない方も自信を持って!」という励ましのお言葉から、コースが始まりました。

 

基本の組み合わせで、無数の病に対応

はじめに、大切なディエンチャンの基本原則の確認です。

「東京には、何万ものドアがあって、鍵穴もたくさんあるが、鍵の修理屋は、何万もの道具を使う訳ではなく、いくつかの道具を組み合わせて全ての鍵を開けてしまう。

ディエンチャンの原則は、鍵を開ける道具のようなもの。基本に立ち返って、いくつかの原則を組み合わせることで、無数の病気や症状に対応できる」というタム先生の言葉に、一同感銘を受けました。

ベトナム医道センターには、重篤な病をお持ちの方、医師に匙を投げられてしまった方、原因不明の病の方などもいらっしゃいます。

ベトナム医道センターの先生方は、どんな患者さんに対しても、基本原則に従って施術をしているのです。

 

ディエンチャンの救急救命術(食べ物の詰まり、重いお産、心臓発作など)

ベトナムでは急病人や怪我人が出た時、日本のようにすぐ救急車が来てくれる訳ではないため、ディエンチャンでは救急救命術が必修です。

基礎コースで学んだ内容に加えて、アドバンスでは背中の技を学びます。救急救命術のはずなのに、寝ている方や、笑っている方も。緊急でないとき使うと、コリがほぐれて、とても気持ち良いテクニックなのです。

背中をほぐすことが救命に繋がるということは、普段から背中のコリをほぐしておくことが重要なのですね。

食べ物を喉に詰まらせた場合、お産を軽くする方法、心臓発作など、様々な救命法が伝授されました。元ベトナム航空のCAのティー先生は、ホーチミン―パリのロングフライト中に、何度も急病人をディエンチャンで救った経験があるそうです。ディエンチャンセラピストが一家に1人は必要ですね!

 

事故の後遺症/アイカルディ症候群/捻挫/アトピー性皮膚炎/パーキンソン病

ディエンチャンアドバンスは、病気や症状をお持ちのご家族や友人をモデルとして連れてくることができるのも特徴です。

午後は、タム先生のモデルに対する施術のデモンストレーションが行われました。事故後遺症による耳の気圧調節の困難には、手に対して行う「同形説」の施術に効果が見られました。

施術で不快感が半分くらいに軽減したら、後は家庭でのセルフケアで十分効果を持続させることが可能です。

 

アイカルディ症候群のお子様には、2人の女の子を持つタム先生とティー先生の愛情たっぷりの施術が行われました。

道具は使わず指で顔の反射区を擦るというシンプルなケアですが、途中で声を出したり、身体を動かしたり、普段向けない方向に顔を向けたりするなど、アクティブな反応が見られました。

 

足首の捻挫に対しては、一瞬で痛みが軽減(ヤラセではありません)! 
また、アトピー性皮膚炎に有効なティー先生おすすめの肝臓デトックス法も教わりました。このデトックス法は、アトピーだけでなく、現代人は月に数回、定期的に行った方が良いそうです。

受講生よりパーキンソン病に対する施術の質問もあり、「天羅地網(てんらちもう)」と命名された、首から上の症状へ有効な総合フォーミュラも伝授されました。

パーキンソンには、ツボ1つだけでも効果があるし、フォーミュラを使うこともあるのです。

 

たくさんの道を知ることで、早く目的地にたどり着ける

道が渋滞していたら、1つの道しか知らないと時間がかかるけれども、たくさんの道を知っていたら、早く正確に目的地にたどり着くことができる。

ディエンチャンに、様々な選択肢があるのは、このためです。

そして、ディエンチャンの良い所は、「難しいからできない」という人が一人もいないことです。

「今日から私もやってみよう!」そんな声があちこちから聞こえてきました。ディエンチャンという手法は、子どもでもできる程シンプルで、効果があることが特徴なのです。

 

≪Day2≫

大切なのは、身体の声を聴くこと

ディエンチャンには、たくさんのツボや反射区がありますが、一つのツボであっても「ギューッと長い時間押す」と「チョンっと短く押す」など押し方の違いで効果が異なることがあります。よって施術のパターンは無限大。その中から、どうやってベストの施術法を見つけるのか、その答えは「身体の声を聴くこと」なのだそうです。

「まずはやってみて、効果を見る。効果があれば続けるし、無ければやり方を変える」これがディエンチャンの基本。ディエンチャンの施術は、自由で、柔軟。施術者としてだけでなく、人として大切なこともディエンチャンから学びます。

 

病人の顔の観察から生まれた8リンパ反射

基礎コースで学ぶ「6つのリンパ反射」のグレードアップバージョン、「8リンパ」が伝授されました。

これは、タム先生が病人の顔を長年観察した結果生まれた新しいテクニックです。

 

病人の顔には、青黒い色が現れることがあります。色の変化は、身体が「ここを刺激し欲しい」と訴えるサインなのだそうです。
もちろん、病気でない方が行えば、予防効果があります。

陰陽気功

身体を陰の状態(リラックス、よく眠れる、涼しい)、陽の状態(元気、活動的、温かい)と、自由自在に調節ができるようにするための気功です。

この気功は、陰陽バランスを取るだけでなく、脳が活性化され、よりクリエイティブな思考になれるという特徴があります。心を落ち着けて、ゆっくりと、静かに呼吸をすると、驚くことに、全員が手の温かさなど、陰陽気功の効果を感じることができました!

妊婦さんにも大変おすすめの気功です。

 

バセドウ病

バセドウ病をお持ちの男の子が施術モデルとして来てくださいました。

内分泌系の調節効果のあるフォーミュラ、甲状腺のツボ、心拍を押さえるツボなどが紹介されました。

ディエンチャンの手法の良い所は、甲状腺の機能低下も、亢進も、同じフォーミュラが使えるということです。

これは、自然療法ではよくあることで、身体の自律的な調節機能を使うのが理由です。

 

≪Day3≫

入院中の友に、遠隔ディエンチャン

「友人が緊急入院した!」という受講生さんからの報告により、遠隔ディエンチャンの講義に。「この世で一番大きなエネルギーは、愛」であり、母と子が見えない線でつながっているように、遠くにいても、家族、友人、クライアントさんと愛でつながることができるのです。

写真を使ったり、指をつかったり、言葉を使ったり。特別なトレーニングを積まなくても、ディエンチャンを学べば、誰でもこういった遠隔アプローチが可能になります。タム先生から、家族や友人、患者さんなどの大切な人はもちろん、蟻やゴキブリ、魚などにも「愛情のフォーミュラ」の遠隔アプローチをした話などもあり、皆さん、大笑いしながらも、温かな気持ちになりました。

 

12脳神経と内分泌へのアプローチ

脳卒中の後遺症で麻痺がある場合や、顔面神経麻痺、三叉神経痛、嗅覚や視覚、聴覚、平衡感覚などの問題に対して、問題のある神経にズバリとアプローチできるツボを学びました。顔面神経麻痺への施術は、通常の人がやったら、顔のリフトアップにもなるそうで、皆さん、実習にも熱が入ります。

内分泌に対するケアとしては、視床下部、松果体、下垂体、甲状腺、膵臓、生殖腺などに対するツボを学びました。松果体のツボは、時差ボケにも使えるそうで、現代人には便利ですね。

子どもの発達 / 骨粗鬆症 / リウマチ / 高血圧

受講生からの質疑応答では、子どもの言葉の発達の遅れ、骨粗鬆症と高齢者の骨折、リウマチ、高血圧のケアが紹介されました。

最後は、生後すぐのペニシリン注射の後遺症で脚を曲げられないという受講生さんに、タム先生が施術して、あっという間に脚の曲がりがスムーズになりました。

「セラピストとして、意識が変わりました!」「施術に自信が付きました!」などの声もあり、受講生の表情も、自信に満ちたディエンチャンセラピストの顔に変わってきました。

 

≪Day4≫

喘息のケアと発作の対処 / 病院へ行く見極め

喘息のケアとしては、肺と腎を強化することが大切なのだそうです。鍼を使わなくても、顔の反射区とツボを知っていると、簡単に臓器の強化も可能です。

発作が起きた時の対処法としては、肺の反射区を指で擦ること。急な発作は道具を準備する暇もありませんので、指でも良いのです。家庭で誰でもできる対処法を知っていると安心ですネ。

「ディエンチャンを修得したら絶対に病院に行かない」という教えではありません。重い喘息や糖尿病、高血圧、心臓病などは、薬で症状をコントロールしながら、ディエンチャンを行なうことも必要だと教わりました。自然療法で様子を見るのか、西洋医学に頼るのか、ディエンチャンを知っていることで、その「見極め」もしやすくなるのです。

 

体質や症状に対するツボのフォーミュラ

ディエンチャンには、様々な体質や症状に対するフォーミュラ(ツボのグループ)があります。「気を上げる」「気を下げる」「分泌を上げる」「分泌を下げる」「解毒」「抗腫瘍」「脂肪解消」「止血」「筋肉拘縮抑制」「利尿と尿抑制」「免疫力アップ」 etc・・・。

これらを上手に使うことで、様々な症状への対処や、体質改善が可能になります。

例えば、気を上げるツボは、うつなどの精神状態に加えて、子宮脱や痔に。分泌を上げるツボは、高齢者の変形性関節症に。解毒のツボは、アトピー性皮膚炎などの皮膚病や、肝臓のケア、毒虫に噛まれた時にも。脂肪解消のツボは、肥満、内臓脂肪、高コレステロールなどに。止血のツボは、月経過多にも使いますが、外傷にも。ベトナムでは事故に遭った時にも使われたそうです。頻尿や尿漏れなどのトラブルも・・・、ディエンチャンセラピスト達は、将来に渡って、無縁で過ごせそうですネ!

 

足がつる / 敏感肌 / 肋骨の痛み / 眼圧が高い

受講生からの質問により、足がつった場合の対処、敏感肌や脂漏性皮膚炎、肋骨の痛み、眼圧が高い場合へのケアなどが紹介されました。

眼に関しては、緑内障、白内障、近視、遠視、ドライアイなど、目の問題一般に使える総合フォーミュラが伝授されました。ベトナム医道センターでは、白内障の手術が必要と言われた80歳の患者さんが、見事回復し、手術が不要になったのだそうです。

タム先生のベトナムでの現場経験に基づいたお話をタップリと聞くことができて、皆さんが、セラピストとして確実に自信が付き、パワーアップしています。

 

≪Day5≫

自閉症のケア

自閉症をお持ちのお子さんについては、陰陽の性質の観点から「陽が強すぎて動きが止まらない場合」と「陰が強すぎて反応が鈍い場合」の2つのケアを学びました。ディエンチャンでは、どんな病気や症状も、陰陽の乱れを観察します。

そして、道具を使って簡単に陰陽バランスを取ることが可能です。簡単だから、毎日でもできるのです。皮膚が敏感で、触らせてもらえない場合は、寝ているときに行うことや、気功を使ったケアも有効なのだそうです。

 

美の秘訣

クマや目の下のたるみなど、美容法も紹介されました。「外食続きで、顔がむくんでしまった」というティー先生に、タム先生が、ササッとディエンチャンでケアを行っていました。「いいな~、こんな旦那さん欲しい!」なんて声も(笑)。

誰もが羨む美男美女カップルのタム先生とティー先生ですが、一番の美の秘訣は、「人を助ければ、自分も美しくなれる。人を幸せにすれば、自分も幸せになる。ディエンチャンの施術をすることは、自分自身を美しく、幸せにする」なのだそうです。受講生の皆さんも、人を美しく、幸せにすることに、気合が入りますね!

 

前立腺肥大

前立腺肥大の手術の後遺症で、オムツが必要になってしまったお爺さんの症例。医師には内緒で、ティー先生からディエンチャンを受けていたところ、3週間でスッカリ改善し、オムツとさよなら。そしてティー先生に花束を贈られたのだそうです。

「このように、病院で手術してから、ディエンチャンに駆け込んで来る人も多いが、本来なら、まずはディエンチャンを試して、改善されなかったら病院に行くという方が良い」とのこと。手術が必要と言われても、ディエンチャンを受けて治ってしまうことも多いのだそうです。

現代はベトナムも豊かになり、人々も病院を利用するようになりましたが、それでも「病院は検査を受けるために行く、病気はディエンチャンをやって自分で治す」という人が多いとのことでした。

 

東洋医学の五臓に対応するツボ

他の理論と柔軟に組み合わせることのできるディエンチャンは、東洋医学の古典的な考え方に沿って行うことも可能です。

例えば、骨や歯に問題がある時は、腎のツボ、筋肉や靭帯に問題がある時は肝のツボ、皮膚や粘膜に問題がある時は肺のツボなど、東洋医学の理論と組み合わせれば、原因に対するアプローチが可能になりますね。

「薄毛の対処法は?」なんていう質問も飛び出しましたが、東洋医学理論を使って原因に対するアプローチ(この場合は、腎)、そして局所理論を使って局部(この場合は、頭皮)のアプローチをすれば、簡単ですネ。

 

≪Day6≫

不妊のケア

ベトナムでも、不妊の問題は増えてきているようで、ディエンチャンでも多くの症例があります。

ティー先生からベトナムでの症例を聴き、腎臓、卵巣へのアプローチや、子宮を温めるツボなど、様々なアプローチを学びました。

不妊に限らず、冷えやストレス、婦人科系疾患や慢性疲労など、多くの現代人に活用できそうです。

 

糖尿病/神経痛

糖尿病で大切なのは、直接的に関係のある膵臓はもちろんのこと、脾臓、肝臓、腎臓など、隠れた原因へのケア。そして、東洋医学的には三焦経へのアプローチも有効なのだとか。糖尿病の症状が進み、足を切断しなければならないと言われたお爺さんが、ディエンチャンを受けて改善した症例も紹介されました。

神経痛のケアには、手を使います。ドライヤーを使って温めるなど、家庭で簡単にできるケアも紹介されました。また、施術者が「どうですか?」と訊き、クライアントが患部に意識を向けることも、痛みの軽減につながることがあるのだそうです。ディエンチャンに限らず、他のセラピーでも使える内容が盛りだくさんの充実した講義です。

 

顔診断

「ディエンチャン」というベトナム語は、元々「顔診断」という意味。顔は人体の縮図であり、ホクロやシミ、シワなど顔に現れる徴候を見て、病気や弱まりのある部分を知る方法を学びました。

「色々分かり過ぎて、コワイ!」という声も上がりましたが、「病気を予測し、準備ができれば、乗り越えることができる。道に穴が開いていることを予め知っていたら、避けられるではないか!」というタム先生の心強いお言葉に、一同納得しました。

 

眼の問題 / 味覚障害 / 耳鳴り / 足のタコ / 脳腫瘍 / ヘバーデン結節 / 自律神経失調症

最終日は、時間の許す限り、様々な健康の問題に対するアプローチが紹介されました。

眼のケアのデモンストレーションでは、みるみる顔色も明るくなり、表情も豊かになり、声のトーンまで変わってきたことに、受講生から感嘆の声が!

ディエンチャンは、見ている皆さんも、笑顔に、幸せな気分にさせるセラピーですね。

 

味覚障害、耳鳴り、足のタコ、脳腫瘍、ヘバーデン結節、自律神経失調症etc・・・。
難しいと思われる疾患も、反射区とツボを使えば「何もできない」ということは決してありません。もちろん、日本では治療行為はできないのは百も承知ですが、家族や友人、困っている人に対して「何かしてあげられることがある」というのは、人の人生を変えることにもつながります。

今年もたくさんの「ベトナム医道認定ディエンチャンセラピスト」が誕生しました。おめでとうございます!

タム先生、ティー先生は、長年のディエンチャンの施術からの経験談の他、知っていること、伝えたいこと、創始者チャウ先生の想い、正に全てをこのアドバンスコースで惜しみなく受講生に与えてくださいました。

受講生の皆さんは、ディエンチャンの技術や知識はもちろんのこと、心の在り方、健康や病気との向き合い方、臨機応変・柔軟・自由な発想、応用力など、人生においても必要な、多くのことを学んだのではないでしょうか? そして、よく食べてよく笑い、いつも元気で、好奇心旺盛の夫妻から、たくさんのエネルギーをもらったようですね。私たちも、いつも明るくパワフルで、周りの人たちが自然に元気になってしまう、そんなセラピストを目指したいですね! ご参加の皆さま、本当にありがとうございました。

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